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SHS-500、RK-100SP、AX-Edge……ライブにも重宝しそうなショルダーキーボード4選

2019年03月26日 07:11  リアルサウンド

リアルサウンド

 毎回、気になる楽器や機材を紹介する本コラム。今月は、再びブームが訪れているショルダーキーボード(キーター)を紹介したい。


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 ショルダーキーボードとは、シンセサイザーの鍵盤部分をギターのように肩からストラップで吊るし、演奏出来るようにした楽器のこと。YAMAHAのKX5、RolandのAX-1、KORGのRK-100など80年代から90年代初頭にかけて各メーカーから発売されたショルダーキーボードは一斉を風靡し、スティーヴィー・ワンダーやハービーー・ハンコック、日本では小室哲哉や坂本龍一、難波弘之らがライブなどで使用していた。


 まるでギターのようにシンセを演奏する彼らの姿は衝撃的で、当時は多くのキーボード少年たちにとって憧れの的だった。が、90年代に入るとブームは去り、一時期は「ダサい楽器」の代表格のような扱いをされ、近年はどのメーカーもショルダーキーボードの生産をやめてしまい絶版状態が続いていたのだった。


 ところが、ここ数年の80年代ブームによって再びショルダーキーボードが熱い注目を集めている。すでにRolandやAlesisはショルダーキーボードの現行モデルを発売しており、さらに『The NAMM Show 2019』では、YAMAHAとKORGからもそれぞれ新製品、新バリエーションモデルが発表されたのだ。


 ちなみにショルダーキーボードは和製英語であり、英語圏では「キーター(keytar)」と呼ばれている。もちろん、GuitarとKeyboardを組み合わせた造語だ。ちなみに日本でおなじみの略語「ショルキー」はヤマハの登録商標である。


・YAMAHA「SHS-500 sonogenic」


 まずは、YAMAHAが『The NAMM Show 2019』にて発表した、アプリと連動してキーボードプレイをたのしむことができる「SHS-500 sonogenic」(以下、SHS-500 )を紹介しよう。こちら、すでにヤマハが発売している「ボカキー」ことVKB-100(ボーカロイドの機能を搭載した「歌うキーボード」)の筐体をベースにしたモデルで、薄型のスタイリッシュな形状が印象的だ。


 鍵盤はミニタイプの37鍵で、シンセサイザーからドラムの音色まで30種類のプリセットを搭載。ピッチベントやモジュレーションホイールなど、様々なコントローラーを装備し多彩な音色を楽しめる。


 また「SHS-500」は、シンセサイザーなどの外部デジタル機器と接続できるMIDI端子はもちろん、スマートデバイスにインストールしてある音源アプリも楽しめるBluetooth MIDIも搭載している。中でもユニークなのは、無料アプリ「Chord Tracker」。これをJam Modeにした「SHS-500」と連動させると、手持ちの楽曲とセッションができる。どのキーを押しても、自動的に楽曲のコードに追従するため、音階やコードを知らなくても演奏できてしまうのだ。


 ただし、「Chord Tracker」のコード判定機能は、すべての楽曲に対応出来るわけではないので、あらかじめ確認することをオススメする(「Chord Tracker」と相性の良い、YAMAHAが作成したレコメンドソング集を参照に)。


 すでに国内での発売も決定。SHS-500B(ブラック)、SHS-500RD(レッド)の2種類で展開予定だ。


・KORG「RK-100SP」


 続いて紹介するのは、KORGが『The NAMM Show 2019』で発表した、ショルダーキーボード「RK-100S」のカラーバリエーションモデルのプロトタイプ「RK-100SP」シリーズ。


 「RK-100S」は、1984年に登場した人気リモートキーボード「RK-100」のアップグレードバージョン。「RK-100」のエッセンスはそのままに、現代のパーツで置き換えたスリムかつコンパクト(&軽量化)を実現し、デザインも現代的に蘇った。


 2つのリボンコントローラーやアルペジエーター、ヘッドセットマイクを使ってのボコーダープレイなど、ショルダーキーボードでのパフォーマンスには欠かせない機能ももれなく搭載。予め登録しておいた音色をワンプッシュで呼び出せる「フェイバリット・ボタン」機能など、ライブでも重宝しそうな名機だ。が、すでに生産終了となっており、多くのユーザーから「復活」が待たれていた。


 今回、『The NAMM Show 2019』に登場した「RK-100SP」は4色。迷彩を思わせる木目柄やシックなブラウン、ちょっと懐かしいカラーリングの青、赤と、レトロな雰囲気が印象的。リリースの正式発表を楽しみに待ちたい。


・Roland「AX-Edge」


 『楽器フェア2018』の会場にてお目見えし、他のメーカーに先んじて発表したのが「AX-Edge」。斬新なデザインのフルサイズ49鍵ショルダーキーボードだ。


 「AX-Edge」の特徴は、なんといっても「斧(axe)」をイメージさせるルックスとその大きさだろう。フルサイズ49鍵だけあってかなり大きいが(幅1,252mm。ちなみにコルグRK-100は830mm)、そのインパクトは絶大。カラーリングもかなり攻めていて、特に鍵盤が真っ黒の「ブラック」タイプはステージでの注目度抜群だ。エッジブレードパネルは交換可能で、スペアが1枚付属(ホワイト・モデルにはゴールド、ブラック・モデルにはシルバーのブレードが付属)。自分でカラーリングして、世界に一つだけのショルダーキーボードにしても楽しい。


 フルサイズ49鍵と4パートの音源構成により、レイヤーやスプリットも可能。エフェクト機能はもちろん、マスターコンプレッサーとEQ(イコライザー)も搭載しているので、ライブはもちろんレコーディングにおける細かい音色作りも自由自在だ。リボンコントローラー、モジュレーションバー、アサイナブルノブ、7個のアサイナブルボタンなど多機能コントローラーも他の追従を許さない。


・Alesis「VORTEX WIRELESS 2」


 最後に紹介するのは、Alesisが2014年に発表した「VORTEX WIRELESS」の後継モデル。本体の傾きに応じてさまざまな効果を得る加速度センサーや、RGBバックライト式のベロシティドラムパッド、自由にMIDIアサインが可能な8本のフェーダー(DAWなどもコントロール可能)などユニークな機能が搭載されており、根強い人気を誇っている。鍵盤数は37鍵でアフタータッチ及びベロシティに対応。音源は内蔵していないため、付属のレシーバーをパソコンに挿してソフト・シンセをワイヤレスで鳴らしたり、MIDI端子から外部音源モジュールに繋いで演奏したりして楽しむことができる。


 以上、話題にショルダーキーボードを4モデル紹介した。


 ショルダーキーボードの場合、「VORTEX WIRELESS 2」のように別途「シンセ音源」が必要なタイプがあるので注意したい。また、長時間使用の場合は重さの確認もしておいた方がいいだろう。乾電池駆動が可能かどうか、また駆動時間はどのくらいなのかも、ライブで使用する場合は重要なポイント。もちろんデザインも重要なポイントだが、自分のプレイスタイルや音楽性に合ったモデルを選びたい。(黒田隆憲)