TAIROKU Racing with B-Max engineeringの300号車フェラーリ488 GT3 ハリソン・ニューウェイが脅威のコースレコードを刻み、TAIROKU Racingデビュー戦を予選3番手からスタート!!
全日本F3選手権を戦う山口大陸が、新たにTAIROKU Racing with B-Max engineeringを結成し、今シーズンのスーパー耐久シリーズに参戦することとなりました。スーパーGT、GT300クラス最多勝を誇る高木真一選手を監督兼Dドライバーに迎え、Aドライバーに山口大陸、Bドライバーに今シーズンから全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するハリソン・ニューウェイ、CドライバーにイタリアGT選手権チャンピオンのニコラス・コスタを擁し、フェラーリ488 GT3で最高峰のST-Xクラスに挑戦します。
3月23日(土)デビュー戦となる開幕戦、鈴鹿。まずは予選が実施されました。練習走行から何度かトップタイムをマークしたTAIROKU Racingですが、予選直前に実施されたフリー走行ではライバルたちも好タイムを連発し、激しい接戦が予想されました。
予選は登録ドライバーが全員走られるのですが、グリッド順位はAドライバーとBドライバーの総合タイムで決定されます。まずはAドライバーの山口大陸がコースイン。しっかりとタイヤを温め、3周目にアタックに突入したのですが、デグナーカーブで目の前のマシンがコースアウトし、そのアタックラップは不本意なタイムに終わりました。
それでも集中力を切らさなかった山口は、グリップダウンしはじめたタイヤを丁寧に扱い、全セクターで自己ベストを更新する走りを見せ、2分02秒937で4番手タイムをマーク。続くBドライバーのニューウェイにバトンをつなぎました。
初めてのGT3マシンで、フリー走行から好調な走りを見せていたニューウェイは、タイヤをしっかりと温め、前後のマシンとの間隔をあけて一撃必殺のアタックに突入。それまでのコースレコードを約2秒も更新する驚速の1分58秒748をマークし、トップに躍り出ました。
その結果、総合タイムで3番手に浮上し、TAIROKU Racingはデビュー戦を予選3番手から5時間耐久レースの決勝を迎えることとなりました。
■山口大陸のコメント
「今日の結果は、我々のチームにとって素晴らしいスタートだと思います。僕自身、ずっとフォーミュラでレースを続けてきて、初めてのGTマシンということで最初は戸惑いましたが、ハリソンやニコラス、そして高木監督のコーチングもあって、とても短期間でマスターすることができたと思います」
「予選ではタイヤが一番おいしいラップで不運に見舞われましたが、気を取り直して頑張りました。できる限りのアタックはできたと思っています。そしてハリソンが想像もできない驚異的な走りを見せてくれたおかげで、予選3番手グリッドが獲得できました」
「ニコラスの決勝を想定したロングランのペースもかなり良いので、明日のレースは最後までミスなく走りきって、優勝を狙いたいと思っています」
■ハリソン・ニューウェイのコメント
「初めてのGT3マシンで、僕なりに最高のパフォーマンスをみせることができて嬉しいです。ただ、実際にはヘアピンコーナーで突っ込みすぎてミスをしたのですが、なんとかリカバーしてまとめることができました」
「それがなければコースレコードはもう少しだけ速くなったかも知れません。タイロクもフォーミュラから乗り換えてそのマシンの重量感に慣れるのは大変だったと思いますが、短い時間のなかで、素晴らしい進化をみせてマシンを自分のものにしています」
「予選3番手は満足のできる結果だと思います。でも予選は予選。決勝は気持ちを切り替え、ステディに走りきることでチーム一丸となって優勝を狙います」
■高木真一チーム監督兼Dドライバーのコメント
「3人のドライバーは、初戦にもかかわらず最高の仕事をしてくれました。予選3番手スタートは、充分に優勝を狙えるポジションだと思いますし、自分自身予選でフェラーリ488 GT3をドライブして、その特性やセットアップの方向性を確認できたので、3人のドライバーのコメントがより深く理解でき、エンジニアとマシンを煮詰め、戦略を練ることができました。長いレースではありますが、ミスなく戦い最高の結果を追い求めたいと思います」
スーパー耐久デビュー戦ウインを夢見た直後、まさかの悪夢。トップ争いを展開するものの、無念のクラッシュでレースを終える
決勝レースは快晴の鈴鹿サーキットで、午後12時35分10秒にスタートを切りました。予選3番手からスターティングドライバーを務めたのはニコラス・コスタ。初めてのスーパー耐久ということで、スタート直前までレギュレーションの確認に余念がなかったニコラス・コスタは、順調な滑り出しを見せ3番手キープで序盤の周回を重ねました。
途中、後方からメルセデスAMG GT3が激しく追いすがりましたが、コーナーの立ち上がり速度で勝るフェラーリ488 GT3の強みを生かした走りで、最後まで押えきったコスタは、31周目にSCYが出たタイミングでピットインし、ハリソン・ニューウェイに交代しました。
トップとの差は16秒。毎ラップ1秒から2秒その差を縮め、42周目には2番手のマシンにその差2秒まで縮め、44周目には2番手のマシンとテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込んだニューウェイは、続く45周目の第1コーナーで一気にインから2番手のマシンをパス。さらに前をいくトップのマシンを追い始めます。
47周目にはトップとの差を0秒523まで縮め、48周目の第1コーナーで再びインから飛び込み待望のトップ奪取。その後は着実にリードを築いていたのですが、51周目にクラッシュしたマシンのためセーフティカーが出ました。
そのタイミングで53周目に山口大陸にドライバー交代を果たし、3番手に後退。57周目にレース再開されると、後方からプロドライバーが激しく追い上げてきたことで、63周目には4番手にドロップするものの、想定されたペースで着実にラップを刻み、落ち着いた走りで山口は周回を重ねます。
燃費の問題もなく、タイヤの状態も良いまま67周目にはライバルたちのピットインにより3番手、そして73周目には予定どおり2番手へと浮上しました。残り時間を計算し、ピットではドライバー交代の準備をして山口を呼び戻そうとしたそのラップに、遅いマシンを抜こうとしてアウト側にラインをとったところ、300号車のフェラーリ488 GT3のアウト側からマシンが飛び込んでくるような形で接触し、2台がもつれるようにスプーンカーブアウト側のスポンジバリアに激しくクラッシュ。デビュー戦優勝を夢見たTAIROKU Racing with B-Max engineeringは、まさかのリタイアとなってしまいました。
計算上ではニューウェイ、コスタとつなぎ、最後にはトップに復帰できる可能性がみえていただけに、チームはショックを隠せませんでした。激しい衝撃を受けたものの、幸いドライバーに怪我はなく、チームはほっと胸を撫で下ろしました。
シリーズはまだ始まったばかり。次戦の雪辱に向けてチームはこのアクシデントの悔しさをバネに、さらなる一致団結のもと、さらに強くなってサーキットに戻ってくることを誓いました。
■山口大陸のコメント
「悔しい気持ちでいっぱいです。自分のスティントでコースのダストを拾ってしまい、タイヤがグリップを失ったタイミングで後ろのクルマに抜かれてしまいましたが、2周もするとグリップが回復し、それからはいいペースで走れていました」
「アクシデントの瞬間は、何が起こったかわかりませんでした。ブレーキングを終え、ハンドルを切り込んだ瞬間にリヤからドンっという形で衝撃が走り、コントロールを失ってしまいました」
「結果的にはレーシングアクシデントという判定でしたが、気持ちを切り替えて次のレースで雪辱を果たしたいと思います。チームは素晴らしい仕事をしてくれましたし、ニコラスのレース強さ、そしてハリソンの速さを証明できたことは、大きな収穫だったと思います。次の菅生戦では、必ず優勝を狙います」
■ニコラス・コスタのコメント
「スタートから順調でした。後ろから速いメルセデスが迫ってきましたが、自分のほうがコーナー立ち上がりが良かったので、ブレーキングでしっかりと押えて相手のスピードを殺してしまえば抜かれることはないと自信を持って走りました」
「初めてのスーパー耐久ということもあって、遅いマシンとの速度差に最初は戸惑いましたが、すぐに慣れました。レース結果は残念でしたが、充分に勝てるポテンシャルは感じられました。次のレースを楽しみに帰国することにします」
■ハリソン・ニューウェイのコメント
「自分のスティントでは、前のマシンとの差をつめ、トップに立ってリードを広げて大陸さんにつなぐことがミッションでした。その意味では完璧な仕事ができたと思います」
「結果は残念ですが、まだシリーズは長いですし、我々のチームは高いポテンシャルを秘めているのは実感できました。初めての日本でのレースは、チームも素晴らしい仕事をしてくれましたし、自分自身、ベストを尽くせたレースだったと思います」
■高木真一監督のコメント
「結果だけを見れば残念だとしか言えませんが、とにかくドライバーが無事で良かったです。レースの内容は、我々の戦略と予想どおりの展開であり、さらにフルコースイエローーやセーフティカーのタイミングに対して、いい仕事ができたと思います」
「あとほんのわずかの幸運があれば、充分に勝てたレースだと思いますが、今回はほんのわずか不運に見舞われたという結果です。初めてのレースでチームもドライバーも多くのことを学びましたし、非常に収穫の大きな週末でした」
「次の菅生までにやるべきタスクをすべてこなし、必勝体制で臨みます。応援してくださったファンの皆さんに、この場をお借りしてお礼を申し上げます」