富士通は4月1日付の人事で、45歳以上の全てのグループ社員を対象に、早期退職も含めたジョブ選択を検討しているという。3月18日、日経クロステックが報じた。
同社は2020年を目処に、グループ全体で5000人の配置転換を実施すると発表している。今年1月の第三四半期決算説明会では、塚野英博CFOが間接部門の人材について「会社が強化を必要とする直接部門(中略)にできるだけ移ってもらい、コストではなく利益を作っていってほしい」と発言。4月の人事もこの一貫と見られる。
「45歳以上」を対象にした人員整理は他の企業でも相次いでいる。カシオも昨年、勤続10年以上の45歳以上の一般職と50歳以上の管理職を対象に、希望退職者を募った。協和発酵キリンも今月11日から、勤続5年以上かつ45歳以上の社員向けに希望退職者を募集している。
複数の大手企業で「45歳以上」が1つの区切りとして出されているのはなぜなのか。人材研究所の曽和利光さんは「45歳以上はちょうど団塊ジュニアがいて、人がだぶついている」にも関わらず、「氷河期世代で、マネジメント経験を始めとするビジネス経験を積めなかった」ことが要因にあると指摘する。
「45歳なら、まだ脳みそもギリギリ若く、新しいことをやることもできる」
日本の企業は多くが年功序列型だ。勤続年数が長いにも関わらずビジネス経験の乏しい人材にある程度の給与を支払わなければならないのは、企業にとって重荷となる。
現在45歳の人は1974年に生まれた。第二次ベビーブーム世代にあたる。曽和さんは「受験戦争という言葉があったように、厳しい競争にさらされてきた世代でもある」と指摘。「45歳なら、まだ脳みそもギリギリ若く、新しいことをやることもできる」と鼓舞する。ただし、
「『シュリンク・トゥ・グロー、成長のために一度しゃがむ』ができるかどうか。生々しく言えば、報酬を半額にしてでも、新しい分野に新人として参入できるかが肝」
になってくるとも述べた。
新しい分野と言っても、これまでのキャリアを捨てる必要はない。曽和さん自身は、人事というキャリアを生かしてベンチャーの人事部長に転職したが、「そういう『ピボット』(軸足を残しながらの変転)がいいでしょう」とアドバイスする。
若い世代は「自分を引き上げてくれる上の人に、自分を知ってもらう努力をすべき」
今は若い会社員もいずれ早期退職やリストラの対象になる可能性がある。「会社に残りたいのであれば偉くなるしかない」が、重要なのは、自分を引き上げてくれる人がいるか見極めることだ。
「偉くなるのは誰かが引き上げてくれなければならない。なので、自分を引き上げてくれるような『上』の人がいるのかどうか、ちゃんと探して自分がどんな人間なのかを知ってもらう努力をしないといけない。『陰徳を積む』では誰も見出してくれないでしょう」
また、現在45歳以上で希望退職に応募するかどうか迷っている場合は、信頼できる上司や先輩に相談してみるのが良いとする。引き止めてくれないのであれば今後も見込み薄と判断して、応募することがお勧めだという。