北米で開催されているPWCピレリ・ワールドチャレンジに2018年から新設クラスとして組み込まれたTCR規定車両のシリーズ第4戦が、7月14~15日にオレゴン州ポートランドのインターナショナル・レースウェイで開催され、リアルタイム・レーシング(RTR)のFK8型ホンダ・シビック・タイプRと、激しい争いを繰り広げる強豪ブライアン・ハータ・オートスポート(BHA)のヒュンダイが、それぞれ勝利を分け合う結果となった。
アキュラワークスとして長年北米でのモータースポーツ活動を続け、昨季は同シリーズで新型アキュラNSX GT3の先行開発部隊も担当したRTRは、今季から新設されたTCRクラスに2台のFK8シビック・タイプR TCRを投入。
一方、インディカーを筆頭に北米の主要カテゴリーで活躍を続けるBHAは、今季からヒュンダイ・モータースポーツのカスタマー契約トップチームとしてPWCにエントリーを果たし、ワークスカラーをまとった2台のヒュンダイi30 N TCRを擁して、ここまでの3戦でRTRとシーソーゲームを繰り広げてきた。
そんな宿敵に対し、予選で先手を取ったのはライアン・エバースレーのシビックで、1分18秒342のタイムでレース1のポールポジションを獲得。コンマ3秒差の2番手にBHAのマーク・ウィルキンス、3番手にマイケル・ルイスとヒュンダイ勢が続き、このラウンドからエバースレーのチームメイトに復帰したマイケル・クーパーは5番手からのスタートとなった。
ポールシッターのエバースレーがリードを維持して始まったレース1は、2台のBHAヒュンダイと、RTRのシビック勢、計4台がBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整をモノともせず、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRやアウディRS3 LMSらを置き去りにマッチレースを展開。
31周目のチェッカーに向け、残り3周となったところで動きを見せたのは2番手を走行中のウィルキンスで、周回遅れやクラス違いのトラフィックを巧みに利用して首位エバースレーに襲いかかると、そのままオーバーテイクを成功させ見事に先頭へとおどり出る。
その間隙を突き、ウィルキンスの後を追うような動きを見せたルイスのヒュンダイi30 N TCRも続けて2番手に浮上し、BHAがワン・ツー・フォーメーションを構築。そのままの隊列でチェッカーをくぐることとなった。
一方、ポールからのレースで勝利を逃したエバースレーは、チームメイトのプレッシャーにさらされながら、なんとかコンマ9秒差を守りきって3位表彰台を確保。続く日曜レース2での雪辱を誓ってのフィニッシュとなった。
そのエバースレーの願いが通じたか、翌日のレース2フォーメーションラップではなんと前日勝者ウィルキンスのマシンが燃圧低下のトラブルでコース上にストップ。BHAにとってはスタート前に1台を失う悪夢となり、RTRにとっては宿敵1台にフォーカスできる状況でのレースに。
前日のレース終盤で2ポジションダウンの憂き目にあったエバースレーは、反省を活かしてタイヤマネジメントに集中。背後からはマシンを左右に振るBHAルイスの猛烈なプレッシャーが続くも、29周のトップランを守りきりフィニッシュラインへ。
コンマ8秒差でヒュンダイのルイスが続き、3位には他クラスとの接触などで大きく遅れながらも、RTRのクーパーが入り、この2チーム4台で週末の表彰台を独占するリザルトとなった。
これでシリーズランキングでも今季3勝のエバースレーが17ポイント差で首位をキープしている。PWCのTCRクラス次戦は8月10~12日にユタ・モータースポーツキャンパスで第5戦を迎える。