3月23~24日、鈴鹿サーキットでピレリスーパー耐久シリーズ第1戦『SUZUKA“S耐”春の陣』が開幕する。2019年のシーズン開幕戦だが、このレースに長年WEC世界耐久選手権をはじめ、さまざまなレースでアストンマーティンのワークスドライバーとして戦うダレン・ターナーがD'station Vantage GT3のドライバーとして参戦する。
ターナーは1974年イギリス生まれのベテラン。F1テスト経験もあるが、長年アストンマーティンのワークスドライバーとして活躍しており、ル・マン24時間では3回のクラス優勝を誇っている。また、2019年に本格的にデリバリーが開始された新型バンテージGT3の開発ドライバーも務めている。
そんなターナーは、今季スーパーGT GT300クラスではD'station Racing AMRの第3ドライバーして登録されているほか、ピレリスーパー耐久シリーズのST-Xクラスでは、D'station Racingから第1戦鈴鹿と第2戦SUGOに参戦することが決まっている。
3月22日、鈴鹿サーキットに到着したターナーは、午後の専有走行2からさっそくD'station Vantage GT3のステアリングを握った。長年多くのキャリアを積み重ねているターナーだが、実は鈴鹿サーキットは初めて。とは言え、そこはさすがの実力で、そつなくドライブをこなすと、開発ドライバーの経験を活かし、チームのセットアップも向上。Aドライバーの星野敏は「乗りやすくなりました」とポジションも上げてみせた。
走行後、ターナーに話を聞くと「いい雰囲気だね。今日は専有走行2回目から参加したんだけど、鈴鹿サーキット自体が初めてだったんだ。それに本当にいろいろな種類のクルマが走っていて、今までこんなにスピードが違うクルマが走っているレースはあまり経験がないよ。その点は勉強しなければいけないね」とGT3カーのST-Xからフィット、デミオ等が戦うST-5までが混走するスーパー耐久ならではの雰囲気に驚いていた様子だった。
「日本のシリーズに参戦するのは初めてだし、今回はレースを楽しむのはもちろん、日本の文化や人々を楽しむつもりだ。それに鈴鹿は本当に楽しいサーキットだ。クルマをしっかり進歩させて、日曜に向けていいレースをしていきたいね」
また、今回初加入となったD'station Racingのスタッフたちともすぐに打ち解けている様子だった。ヨーロッパのワークスドライバーたちは、こうしてさまざまなカスタマーレーシングチームに派遣され、メーカーの威信を背負って戦うことも多いが、こうして打ち解ける能力もまたワークスドライバーに必要なものだろう。
「チームもいい雰囲気だ。メカニックもエンジニアもとてもプロフェッショナルで、とてもポジティブだ。すごく強いチームだと思うよ。まだ一緒に過ごした時間も少ないので、これから短時間で週末に向けてもっといい仕事をできるようにしたい」とターナーはチームを評した。
「それに次のSUGOのレースもあるし、スーパーGTでも一緒に働くことになるからね。今回はすごく嬉しい歓迎を受けたよ」
すでにスーパーGTのテストではアストンマーティン・バンテージGT3はテストを重ねているが、今回のピレリスーパー耐久シリーズ開幕戦は、日本での実戦デビューとなる。そして、日本はおろかアジアにおいても、新型バンテージGT3のデビューレースでもあるのだ。
「D'station Racingにとっても、アストンマーティンのパートナーチームとなって初めてのレースとなるし、すでにアブダビ12時間では走っているけど、そこでは良い感触があった」
「このバンテージGT3とは、これまでともに開発テストから長い“旅”を過ごしてきたけど、こうしてアジアでの初レースを一緒に戦うことができるのは素晴らしいことだね」