2003年のWRC世界ラリー選手権王者であるペター・ソルベルグを父に持つオリバー・ソルベルグが、北米の新興ラリー選手権であるARA(アメリカン・ラリー・アソシエーション)の第2戦100エーカー・ウッド・ラリーに参戦し、スバル・モータースポーツUSAのWRX STIとの初戦で2位を獲得してみせた。
WorldRX世界ラリークロス選手権でもタイトルを獲得し、こちらでもワールドチャンピオンの肩書きを持つペターは、英才教育の一環として現在17歳のオリバーをここ数シーズンにわたってラリークロス競技に送り込み、そのドライビングスキルを磨いてきた。
天武の才を受け継ぎ、そのラリークロスで頭角を現したオリバーは、兼ねてから「僕の最終目標は父のようにラリーで戦うこと」と語ってきたとおり、今季からアメリカ大陸にわたりスバルUSAとジョイント。この100エーカー・ウッド・ラリーが4輪駆動マシンで戦うグラベルラリーのデビュー戦となった。
そのオリバーの愛機になったのは、すでにアナウンスされているとおり父ペターがWRCでタイトルを獲得した当時を彷彿とさせる、WRブルーにゴールドのレタリングという世界的に有名なカラーリングをまとったスバルWRX STIで、このマシンとともに2019年シーズンのARAに6戦のエントリーを計画している。
そのオリバーは初のマシン、初のステージという難しい条件ながら、全16SS中6つのステージでベストタイムをマーク。勝者バリー・マッケンナ(フォード・フィエスタR5)から遅れること6.8秒の総合2位に入り、今季チームメイトを務める大ベテラン、デビッド・ヒギンズの3位を上回るリザルトを手にした。
「とにかく素晴らしいデビュー戦だった。スタートするまで知らないことだらけだったから、ここへ来てこんな良いリザルトが残せてハッピーだよ」と、4WD初ラリーで勝利目前まで迫ったオリバー。
「クルマは素晴らしい感触で、ステージはとてもハイスピードだったから最高に楽しかった。それに、このカラーのマシンをドライブできて感動的だったよ」と、父のタイトル獲得マシンを思わせるスバルWRX STIのパフォーマンスも称賛した。
「スバルという名前は、僕たち家族にとって本当に意味のあるブランドネームなんだ。だから僕がここでこうして、ソルベルグとスバルの組み合わせで新しいストーリーを紡いで行けるのは本当にクールな出来事だね」
ラリー初日にオリバーとの首位争いを展開した9度の北米王者ヒギンズは、デイ2に電気系トラブルに見舞われて後退。オリバー自身も初日のパンクで時間を失い、翌日にはSS走行中にボンネットが開いてしまい、フロントガラスが粉砕されるアクシデントに遭遇しながらも、最終SS前には1分近く開いていたタイムギャップをわずか1ステージで削り取り、6.8秒差まで詰めよってみせた。
「僕たちは、このラリーで勝利を狙える位置で戦えた」と続けたオリバー。
「最終的に僅差の2位に終わったけど、デビッド(ヒギンズ)にトラブルがなければ彼が前だった。いくつかの不運はあったけど、このリザルトには満足しているんだ。スバル・モータースポーツUSAとの素晴らしい旅は始まったばかりだし、次のワシントン戦が待ちきれないよ。そのオリンパス・ラリーでは勝利だけを狙って全開でいくつもりさ」
息子オリバーが北米での初戦で見事な走りを披露し、表彰台に上る姿を目にした父ペターは、感傷的な気分が高まっていることを認めた。
「金曜日にフライングスタートを出て行くオリバーの姿を見たとき、それは僕だけでなく妻のパニラにとっても特別な瞬間だった」と、英国オートスポーツの取材に答えたペター。
「そのオリバーが速さはもちろん、とても成熟した賢明なドライビングで2位のリザルトを手に戻ってきた。こんなに素晴らしいことはないよ。そして、この物語はこれからもまだ続いていくんだ」