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西野七瀬、乃木坂46卒業で「女優」としてステップアップ 『あなたの番です』が勝負作に?

2019年03月22日 14:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 乃木坂46を卒業し、卒業後のソロ活動の一環として本格的に女優の道を歩み始めた西野七瀬。今クールの『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』(テレビ東京系)に続き、4月期に日曜ドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)出演も決定している。乃木坂のエースだった彼女なだけに、女優・西野七瀬の活躍に期待する声も大きい。そこで今回は、西野の過去作を振り返りつつ、女優としての可能性を考察してみたいと思う。


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 女優としての西野を振り返ると、ドラマ初出演は2013年放送の『49』(日本テレビ系)。スクールカーストのトップとも言える学園のマドンナ的存在でドSなヒロインを演じている。今なら白石麻衣が似合いそうな役柄だが、2015年に『non-no』の専属モデルになる前の西野は、茶髪で若干ギャル風の容姿だっただけに、ドSでグイグイくる感じが当時の西野に実にハマり役だったように思う。ドラマの植野浩之プロデューサーは「女の子が見てもかわいいと思う学校の中で頂点に立つルックスと、本質的に愛を求める寂しがり屋なところを併せ持っている」と起用理由について説明。今見ると、これ以降演じられる女優・西野七瀬のキャラが全て詰まっていたような、まさに原点となる作品だ。


 以降はロングヘアーをボブにし、段々とナチュラルなガーリー系のルックスとなっていき、人気は急上昇、乃木坂のヒロイン的ポジションに君臨。2015年の乃木坂46初主演ドラマ『初森ベマーズ』(テレビ東京系)や、2017年の映画『あさひなぐ』など、乃木坂主演の作品で主役を任せられる。乃木坂での透明感があるイメージは崩さず、純粋で儚く、何事も一生懸命頑張る、少女漫画に出てくるようなキャラがハマり、『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』(テレビ東京系)の主人公・天野アイ役が、乃木坂時代の一つの集大成と言える。最初は西野の演技に賛否両論はあったものの、前半の明るいキャラから後半にかけての儚い雰囲気、そして常に温もりを感じる演技は、最後まで見ると、天野アイという人工的美少女の儚さを表現するには西野以外のキャスティングはありえないと思えるほど。80年代のアイドルのような、演技力を超えた魅力というものが西野から伝わってくる。


 ただ、女優としてのさらなる可能性を感じたのは、2016年にネット配信された『宇宙の仕事』。『勇者ヨシヒコシリーズ』などを手がける福田雄一監督なだけに面白い演出というのもあるが、地球防衛軍のかわいい新メンバーという役柄で、いつものイメージとは違い、あざとい演技を見せている。宇宙侵略を狙う山本美月と言葉のタイマン対決で、猫を被る山本に「おいばばあ、可愛子ぶってんじゃねーよ」と悪態を付き、「ブサイク」と言い返されると、「地球の男はみんなあたしに夢中やいうてオラ」と、さすが大阪出身なだけに関西弁でまくしたてる演技が自然で、迫力があり、実に面白いのである。ここで演技が開花したかと思われたが、関西弁で凄む演技はそれ以降の作品では封印されてしまう。


 しかし、2018年11月14日リリースされた乃木坂46の22作目シングル『帰り道は遠回りしたくなる』に収録されている特典映像の“個人PV”『パワハラ部長 西野』で突如そのキャラが解禁される。関西弁を駆使し、異動してきた社員を無視してため息や舌打ちをしたり、意見を言われると「ここにはここのルールがあるんや!」と紙を投げつけ「やめてまえ」と静かに凄む。また、酒の席でビールを注がない社員に、グラスをコツコツ叩きながら無言で睨みつけ「上司のグラスぐらいちゃんと見とけドアホ! ボケが!」と怒鳴りつけたりと、西野部長があらゆるパワハラをするという作品で、これが本性? と思わせるほど、関西弁でのキレ演技が迫力満点。単にギャップが面白いのではなく、初出演ドラマでも見せていた気性の激しい役柄が性に合っているのではないかと思われる。この演技をドラマで活かすことができるようになれば、清純派から悪役や嫌味なOL役まで演技の幅が広がり、面白い女優になっていくはず。既に、乃木坂卒業後に出演した『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』では、斜に構えてあまりやる気のない銀行の窓口係を演じ、ツンデレっぷりがその片鱗を見せ、徐々に存在感を見せていた。


 さて、4月から始まる『あなたの番です』は、都内のマンションに引っ越してきた年の差新婚夫婦が、住民たちの“交換殺人ゲーム”に巻き込まれていくミステリードラマ。西野にとって乃木坂での全活動が終了してから初となるドラマ。2クール連続で放送されるこの作品で、今後女優として世間に認められるか否か、勝負のドラマと言っても過言ではない。乃木坂での経験値は豊富にあり、女優としての秘めたるポテンシャルは高いので、作り手側がどこまで西野の才能を引き出せるかに期待したい。


 西野は無色透明な雰囲気を持っているアイドルだったがそれとは真逆に、凄む演技が実はうまいことも証明されている。だからこそ『あなたの番です』は、西野のことを知り尽くしている秋元康企画原案なだけに、まだ女優として無色な西野にどんな役柄を与えるのか、そこに注目したいところだ。


(本 手)