2019年03月21日 10:42 弁護士ドットコム
退職しようとしたら同僚と不倫した過去をバラすと社長に言われたーー。ある男性から、こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。
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相談者は過去に同僚の女性と不倫し、相手を離婚させてしまったことがあるという。同僚女性の夫から慰謝料請求があったものの、払えないと返事をしてそれきりだったそうだ。
その後、会社に退職の意向を伝えたところ、社長から「不倫相手の旦那に全てしゃべって、改めて慰謝料請求させる」と言われたという。
会社が、従業員の不倫問題に立ち入り、脅しをかけてくることに法的な問題はないのだろうか。江上裕之弁護士に聞いた。
「損害賠償をちらつかせながら働かせることは法的に許されません
退職時のトラブルに関する相談が増えており、退職代行サービスを扱う民間企業も出てきています。今回の相談も退職時のトラブルに区分される問題ですが、『損害賠償請求をちらつかせながら働き続けさせる』というやり口は法的に許されるものではなく、悪質な問題といえます」
具体的に、どのような法的な問題があるのか。
「社長の言動は脅迫罪・名誉毀損罪等の犯罪行為になりうる悪質なものです
社長は、退職するなら不倫相手の夫に暴露すると言っているようですが、この発言自体脅迫罪に該当しうるものです。また、社長が実際に相談者の過去の不倫を暴露した場合、態様によっては(従業員に吹聴するなど不特定多数の人に拡散されうる方法で暴露した場合)、名誉毀損罪等の犯罪が成立します」 どう対処すればいいのか。
「退職時の会社の対応に不安を覚えた場合、弁護士への相談をおすすめします。
このような会社では、退職できたとしても、離職票の発行など退職に伴う手続きをしない、離職票の記載が不当(失業給付の内容に影響しうる)というトラブルも予想されます。
また、相談者が退職を決意した理由が業務過多により医師から休養を勧められたためということであれば、すぐ退職届を提出するのではなく、休職制度を利用して休養するという選択も考えられます。
このように退職届の提出だけでは解決しない問題も多々あるため、退職時の会社の対応に不安を覚えた場合、弁護士に相談することをお勧めします(退職代行サービスの内容は、労働者の代わりに退職届を提出することだけに限られています)」
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(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
江上 裕之(えがみ・ひろゆき)弁護士
日本労働弁護団・九州労働弁護団所属。主な取り扱い分野は労働問題と医療問
題で、平成24年からは公益社団法人全国労働基準関係団体連合会の委託を受けて、全基連の主催する個別労働紛争処理研修の講師も務めている。
事務所名:岡部・江上法律事務所