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横浜市、PC作業の自動化で最大99%の労働時間削減 「反復作業から解放される」職員からは好評

2019年03月21日 09:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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横浜市は3月18日、NTTグループと合同で行ったRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の共同実験に関する報告書を発表した。RPAは定型的で反復の多い業務や、繁忙期に一時的に業務量が増える仕事、データ量が多く、ミスが発生しやすい業務などの効率化に向いているとされる。

市では、効率的な行政運営の推進、長時間労働の是正などを目的に、昨年7月から今年3月まで実験を行った。その結果、対象業務では平均84.9%、最も高いもので99.1%の労働時間削減に成功したという。

「シナリオを組むのが難しい」という声も 今後はITリテラシーのばらつき是正が課題


実験対象になったのは、総務局ICT基盤管理課、健康福祉局地域包括ケア推進課など7つの業務。今回はそれぞれ、

「庁内ネットワーク利用者以外のユーザーがログインするID/メールアドレスの申請を受け付け、審査、ID/メールアドレスの発行をする業務」
「エクセルで作成された一覧表を基に、外部システム上の画像ファイルをローカルフォルダに保存する業務」

などをソフトウェアに置き換えた。

総務局ICT基盤管理課では、年間で26時間かかっていたところを1時間44分まで短縮し、24時間16分(93.3%)の削減に成功した。また、健康福祉局地域包括ケア推進課では、年間400時間かかっていたものが3時間36分にまで減った。削減時間は396時間24分、率にして99.1%の削減になった。

横浜市の担当者は実証実験について、「新しい技術に驚く職員がとても多かった」と振り返る。知識としてRPAを知っていても、実際に動くところを見たことの衝撃は大きかったようだ。また、「大変な反復作業が、ソフトウェアに任せることで解放される」と好意的に受け止める声も多かったという。

一方、課題になったのは職員のITリテラシーのばらつきだ。今回の実験では、使用するソフトウェアに実行してほしいシナリオの作成も職員が行った。NTTなどは期間中、職員向けに操作の講習会を設けていたが、講習を受けても「シナリオを組むのが難しい」という声が一定程度あった。

昨年1月から4月にかけて2つの部署でRPAを試験的に導入したつくば市でも、職員から、「目的の作業をRPAで組むことのできる職員が少ない」という懸念が上がっていた。本格的にRPAを導入するには、シナリオのブラックボックス化を防ぐためにも、職員のITリテラシーの向上が不可欠になる。

横浜市の担当者は、「来年も改めて実験を行う予定。その時までに、どんな業務でRPAの導入を行えるのか、再度洗い出しをして考えたい」と話していた。