トップへ

日向坂46 東村芽依、欅坂46 鈴本美愉との共通点 「ときめき草」MVのソロダンスから考える

2019年03月21日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 欅坂46のダンスメンバーとして有名なのが鈴本美愉。一方で、日向坂46のダンスメンバーと言えば、“やんちゃるめいちゃん”こと東村芽依だ。2月11日にけやき坂46(以下、ひらがなけやき)から改名し、3月27日に『キュン』で念願のシングルデビューを果たす日向坂46。リリースを前にカップリング曲が次々と解禁される中、青春感満載の「ときめき草」(TYPE-C収録)のMVも公開された。メンバー各々のイメージシーンが魅力的に描かれているが、中でも東村のソロダンスが特にかっこいいと話題になっている。


(関連:日向坂46が取りに来たひらがなけやき時代の忘れ物 原点の地・Zepp Tokyoで見せつけた成長


 表題曲の候補にもなった楽曲と加藤史帆がブログで書いている「ときめき草」は、解禁前にデビューシングル収録曲がすべて披露された『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』で初パフォーマンスし、ファンから高い評価を得ていた。公開されたMVは日向坂の「JOYFUL LOVE」や欅坂46のデビュー曲「サイレントマジョリティー」、乃木坂46の「制服のマネキン」のMVなども担当した池田一真監督が手がけた。欅坂や乃木坂など、かつての坂道系のMVをオマージュしたようなシーンだったり、センターである小坂菜緒が『欅って、書けない?』(テレビ東京系)に初登場したときのようなセーラー服を身に纏い、一人乗っていたバスを降りて、みんな違う服を着て歩くメンバーの群れに加わるという描写が、長濱ねるの「乗り遅れたバス」のその先の話、もしくは別の未来の話にも見えたり、様々な解釈ができるシーンが数多く仕掛けられている。


 また日向坂になってから振付は主にCRE8BOYが務めているが、「ときめき草」は馴染みのTAKAHIROが担当しているだけに、欅坂やひらがなけやき時代を彷彿とさせる迫力のダンスが印象的。日向坂になって、ひらがなけやきの名残をバッサリと切り離すのではなく、その魂を楽曲に残したようにも思える。「キュン」の明るく前向きな恋愛ソングに比べ、「ときめき草」は情緒感のあるクールな楽曲と対照的だが、どちらの路線でも行けるように表題曲候補となったのも納得だ。


 MVで、東村は一人学校のパソコンルームで、感情を爆発させたかのような圧巻のダンスを魅せている。普段のキャラとのギャップが実にかっこいいシーンだ。東村と言えば、20歳の生誕祭で『はじめてのおつかい』(日本テレビ系)のテーマ曲を背景に入場したことからもわかるように、無邪気な子供のよう性格。仲が良い高本彩花が「めいめい(東村)は本当に赤ちゃんなんだよ」と表現するように、最近は泣かなくなったが、相変わらず『ひらがな推し』(テレビ東京系)ではニコニコしながらしゃべらないという無言ボケを連発したり、制御不能でテンションが高く楽屋女王と呼ばれたりしている。一方、2017年に放送された『全力!欅坂46バラエティー KEYABINGO!3』(日本テレビ系)で、小学校の時のマラソン大会は1年から5年までずっと1位だったと語っていた東村。その時に行われた60分間耐久ダンスでは、みんなが苦しむ中、終始ニコニコしながら踊り続けるというフィジカルモンスターでもある。持久力に加え、特技のカラーガードや助走なしのハンドスプリング、足の速さ、跳躍力など、運動神経抜群の一面も。


 そんな東村は、『ひらがな推し』(テレビ東京)で「ダンスが上手いメンバーランキング」1位に輝き、高本は「小さいのに存在感がすごく大きい」、佐々木美玲は「HIPHOP系は東村芽依!」と評している。可愛さとかっこよさが共存する日向坂のダンスメンバーとして、結成当初から支持を集めている東村のダンスパフォーマンスは、ライブでフィーチャーされることもしばしば。普段はふわふわしているが、いざダンスナンバーが流れると豹変し、小さい体を大きく動かしながら、カラーガードで鍛えたキレのあるダンスを見せる。東村のダンスを実際に生で目にすると、やはり惹きつけられるものがあると感じた。ライブ中もニコニコしながら、最後まで苦しさを一切見せずに踊りきり、「誰よりも高く跳べ!」では人一倍キレッキレで躍動感たっぷりに踊る姿は、本当にダンスが楽しいんだろうなと思わせ、頼もしささえ感じさせる。


 ただそれには東村なりの流儀があるようで、『EX大衆』2019年4月号で彼女は、握手会で「パフォーマンスが好き」と言われることが多く、「ダンスで恩返しできたらいいな」という思いがあると明かし、また「それぞれの癖がありすぎてバラバラになってしまうとよくないので、揃えることを意識しながら、背が低いので手足を伸ばして踊ろうと心がけています」と答えている。揃えることを意識しているのは、欅坂の鈴本も同じようなことを語っていた。バラエティでは口数が少なく、パフォーマンスでファンに答えていく職人肌なところも共通している。鈴本が侍や武士と言った寡黙なイメージなら、東村は躍動感のある忍者や道化師といったところか。そして日向坂になり東村は「パフォーマンス力をもっとあげたいです」とコメントしていた。日向坂は佐々木美玲や齊藤京子といったダンスと歌を得意とするメンバーが目立つ中、パフォーマンスに特化したメンバーとして、東村はグループを引っ張っていく大きな存在になるはずだ。


 今までのMVでは、東村のダンスがフィーチャーされることはあまりなかったため、シングルデビューのタイミングで、東村本来のダンスのキレを改めて堪能できることは嬉しい。最近『ひらがな推し』で日向坂のファンになった人や、シングルデビューすることで興味を持った人にとっては、新たな発見となったはず。“ある時ふいに舞い降りる無敵モード”というコンセプトにピッタリの東村のダンス。ここを入口にして、3月23日に放送される『MTV LIVE PREMIUM:日向坂 46 -1st Story-』や、過去のライブ映像を見直すのも楽しいだろう。きっと「誰よりも高く跳べ!」での東村のアジテーションに驚かされるはずだ。


 今回は東村に注目したが「ときめき草」のMVは他にも、加藤と佐々木久美という普段から仲の良い二人が「悩み苦しむ人物(加藤)とその人を愛で包み込む人物(久美)を表しているダンス」(引用:加藤史帆ブログ)を披露していたり、齊藤が上村ひなのにリップを塗る様子があったり、柿崎芽実が花を撮る姿が収められていたりと、大人(日向坂)の階段を登る途中の描写なのか、ひらがなけやきで過ごしてきた彼女たちと何かリンクをしているような意味深なシーンも多く登場している。曲の良さもさることながら、それぞれメンバーの背景も掘り下げたくなるMVだ。(文=本 手)