よく漫画などで描かれるチーズといえば、穴が開いているものが真っ先に思い浮かびます。あれはもとを正せば、スイスのエメンタール地方で作られるチーズが“モデル”になっているそうです。そのエメンタールチーズを使い、「音楽による熟成の違い」という実験を行ったところ、興味深い結果が得られました。
この実験は同国の著名なチーズ職人であるアントニー・ワイズさんが、大学の研究機関の協力を得て実現したもの。重さ10キロの熟成前のチーズ9個を、それぞれスピーカーが内蔵された箱に保管し、ひとつは全くの無音状態、その他のチーズには違う音楽を8か月間流し続けたそうです。その選曲はモーツァルトの「魔笛」や、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」などのほかに、ヒップホップやテクノなどさまざまなジャンル。もちろん単に音があれば効果があるのでは? という疑問にも答えるために、特定の周波の音を聴かせるだけのチーズも用意したそうです。
そして熟成後のチーズを試食したところ、最も味に変化が生まれ、美味しいとされたのがヒップホップを聴いて熟成されたチーズでした。「味、香りとともにフルーティーな仕上がり」で、他とは一線を画した味わいだったとか。チーズの酵母は(エメンタールに限って言えば)ヒップホップが好きだったのですね。
日本でも仕込み中のお酒や、畑の作物に音楽を聴かせることで、さらに美味しいものを作ろうと企業や農業家が試行錯誤を繰り返している……といったニュースがときどき聞こえて来ますが、今回のスイスのチーズを使った実験も、植物や微生物なども音楽に反応を示すという証明になったと言えるかもしれません。
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