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「スパイダーバース」小野賢章、宮野真守の“はるか上をいく演技”に驚き【インタビュー】

2019年03月19日 20:52  アニメ!アニメ!

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「スパイダーバース」小野賢章、宮野真守の“はるか上をいく演技”に驚き【インタビュー】
『スパイダーマン』の映画としては初となるアニメ作品『スパイダーマン:スパイダーバース』が、2019年3月8日に日本公開される。

アメリカでは2018年12月に公開され、第91回アカデミー賞の長編アニメーション賞、第76回ゴールデングローブ賞のアニメ映画賞、第24回放送映画批評家協会賞のアニメ映画賞など多くの賞を獲得している。

日本のファンも公開を待ち望んでいただけに、注目を浴びたのが、吹き替え版で主要キャラクターを演じる声優たち。
主人公のマイルス・モラレス役には、若干12歳であの『ハリー・ポッター』シリーズのハリー役の吹き替えを担当した小野賢章。さらに、これまでの実写『スパイダーマン』で主人公だったピーター・パーカーの吹き替えは、『ファンタスティック・ビースト』での活躍が目覚ましい宮野真守。
その他にも、悠木碧(スパイダー・グウェン役)、大塚明夫(スパイダーマン・ノワール役)、吉野裕行(スパイダー・ハム役)、玄田哲章(キングピン役)など、錚々たる顔ぶれが名を連ねた。

今回は、そんなファン待望となる『スパイダーマン』最新作で主人公・マイルスを演じる小野賢章にインタビュー。もともとマーベル作品が大好きで、「アベンジャーズ入りするのが夢だった」という小野が語る『スパイダーマン』の魅力や、宮野が演じるパーカーの印象についてなど、たっぷりと話を聞いた。
[取材・構成=米田果織]

■「夢が叶った!」小野賢章、スパイダーマン役に喜び

――『スパイダーマン』が大好きだという小野さん。ご自身がそのスパイダーマンを演じると決まった時、どのようなお気持ちになりましたか?

小野
「まさか自分が!」というのが一番大きかったです。もともとマーベル作品が大好きで、アベンジャーズ入りを果たしたいという夢があったので(笑)。
中でもスパイダーマンが一番好きだったので、本当に嬉しかったです。夢が叶いました!


――今回の『スパイダーマン:スパイダーバース』はアニメ作品ですが、吹き替えでのご出演となります。アニメを吹き替えるという作業は、アフレコと何か違いはあるものですか?

小野
お芝居をするという点ではあまり変わりはないと思いました。
原作のある作品のキャラクターを演じることと共通してくるのですが、表情などが確認できる“参考書”があるということに近いというか。なので、アフレコと特に違いは感じませんでしたね。


――『スパイダーマン』といえばアニメ化より先に実写映画化され、空前の大ヒットを飛ばしました。先ほど小野さんも好きだとおっしゃっていますが、今回の吹き替えで参考にされた部分はあったのでしょうか?

小野
もともと好きな作品なので、もしかしたらどこかで自分の演技に影響があった部分はあるのかもしれないですが、意図的に参考にした部分はありませんでした。

スパイダーマンといえば、他のアベンジャーズに比べてコミカルな要素が多いのが特徴。そういう部分は絶対に壊してはいけないと思って演じました。
アニメーションになって、もしかしたらグレードアップしているかもしれません(笑)。
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■予想のはるかうえを行く!? 宮野真守のピーター・パーカー

――演じるマイルスには、どのような印象を持ちましたか?

小野
マイルスは虚勢を張ったり、調子に乗っている部分があったりと、本当に“普通の”中学生。
スパイダーマンになる能力を得たにもかかわらず、最初は「なりたい」とは思っていなくて、むしろ嫌がっていたほど。確かに、急にヒーローになれって言われても、自分にできるかどうか不安になりますよね(笑)。
「ヒーローになる」ということを一度拒否する様子に、すごく人間味のあるキャラクターだなという印象を持ちました。

また、吹き替えるうえで一番大事にしたのが、見ている人が応援したくなるようなキャラクターにするということ。
実際、自分が作品を見て最初に思ったことが「応援したくなるキャラだな」だったので、それは崩さずにいこうと演じましたね。

――今回のマイルスのスパイダーマンは、みんなが知っているスパイダーマンとは、そういった性格の他に、スーツにも違いがありますよね。

小野
あの赤黒のスーツ、すごくカッコいいですよね!
ペンキな感じも、ストリートっぽくてすごくオシャレ。舞台がニューヨークなので、そのカルチャーを感じさせるデザインで、とても気に入っています。


――完成した作品をご覧になられて、自身が演じているスパイダーマンはいかがでしたか?

小野
自分が出ている作品って、いつも「もうちょっとこうした方が良かったかな」と反省しながら見ているのですが、今回はただただ作品が面白過ぎて、自分が演じたということを忘れて見入ってしまいました(笑)。
「こんな素晴らしい作品に関われたんだなぁ……」と感動したと同時に、本当に光栄に思いましたね。

――本作では、マイルス以外にも多種多彩なスパイダーマンが多数登場します。ズバリ、お気に入りのキャラクターは?

小野
(スパイダーマン・)ノワールが本当にカッコいい!
吹き替えが大塚明夫さんってところもズルいですよね。「渋っ!」って思いました(笑)。


――従来の主人公であるピーター・パーカーを演じたのが、宮野真守さん。『スパイダーマン』ファンとして、宮野さん演じるパーカーはいかがでしたか?

小野
実はマモさんとは収録が別だったので、「どんな風に演じるのかな?」と想像を膨らませていました。
実際に完成したものを見てみて、予想通りだった部分もあったのですが、「こんな演じ方をするのか!」と予想のはるか上をいっていたところもあって、驚かされました。


小野
マモさんの演技はポップで、見ていてすごく楽しめました。
それだけじゃなく、マイルスに情を感じ始めた瞬間だったり、諭すシーンだったり、表情だけではわからないピーターの優しさもマモさんの演技から伝わってきて、より一層魅力的なキャラクターになっていたと思います。
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■「僕もなれるんじゃ……?」小野賢章が思う、スパイダーマンの魅力
――映画公開を記念した特番も放送・配信されました。吹き替え収録後に撮影されたということですが、スパイダー・グウェン役の悠木碧さんも含めた3人でどのようなお話をされましたか?


小野
「あのお父さん良いよね!」や「あのおじさん切なかったよね……」など、芝居について話したというよりは、作品のどこが面白かったという話で盛り上がりました。
みんな収録は別だったので、リアルタイムで感想を語り合いたかった(笑)。それくらい面白い作品に仕上がっています!

――マーベルにはさまざまな作品が存在します。この『スパイダーマン』をきっかけに他のマーベル作品を見てみようと思っている方に向けて、いちマーベルファンとしてオススメの作品を教えてください。

小野
やはり『アベンジャーズ』じゃないでしょうか!
作品がたくさんあり過ぎて、どこから見ようかって迷われる方が多いと思うので、まず『アベンジャーズ』を見てお気に入りのヒーローを決めてみてほしいです。
どのヒーローを入口にしても、絶対に全部のマーベル作品が好きになると思います。

――そんな魅力的なヒーローがたくさんいる中で、ズバリ小野さんの思うスパイダーマンの魅力とは?

小野
他のヒーローたちは完成されていて、なろうと思ってもなれない完璧さがあるのですが、スパイダーマンは、元は普通の学生。
しかも、体つきもひょろっとしていて、少しオタク気質な、どこにでもいそうなキャラクターが主人公なんですよね。

見ていて、「もしかして、僕もなれるんじゃ……?」と思わせてくれる(笑)。見ている人にとって一番身近に感じさせてくれるヒーローが、スパイダーマンだと思います。そこに魅力を感じますね。


――では、今作で字幕ではなく、吹き替えだからこそ楽しめるという部分はどこだと思いますか?

小野
日本語として面白い部分って、やはり日本語を主に使っている日本人だけがわかるのではないかと思うんです。
もちろん、字幕の本訳にもそれは表れているし、オリジナルキャストの演技を楽しんでいただくのもいいですが、僕たちはキャラクターの表情に合わせて言い方を変えるなどの工夫を凝らしているので、ぜひ耳で聞いて、文字だけではわからない感情の変化などを楽しんでいただきたいです。

――最後に、『スパイダーマン:スパイダーバース』の見どころをお願いします。

小野
今まで見たことのないような映像美を堪能できるだけでなく、ストーリーもかなり面白いので、何度見ても楽しめる作品になっています。
映画館の大画面で見ないと絶対に後悔すると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでみてください。