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スパイバーとアデランスが新たな毛髪素材を共同開発、持続可能な社会の実現へ

2019年03月19日 16:22  Fashionsnap.com

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共同研究開発中の毛髪サンプル Image by: アデランス
スパイバー(Spiber)とアデランスは、新たな毛髪素材の共同研究開発に着手したと発表した。スパイバーが持つ構造タンパク質繊維技術とアデランスが長年培ってきた総合毛髪開発力を組み合わせて新たな毛髪素材を創出し、2年後の商品化を目指す。

 人毛は将来的に入手が困難になることが懸念されており、化学繊維を用いた人工毛髪は有限資源である石油を原料にしている。スパイバーが産業化に取り組んでいる構造タンパク質素材は植物資源をベースに発酵プロセスで生産されており、石油に頼ることなく繊維やフィルム、樹脂など多種多様な素材に加工できると言われている。アデランスは今後100年を見据え、枯渇資源に依存しない新たな選択肢としてスパイバーと共同で毛髪素材研究に着手することを決めた。
 具体的には、スパイバーは毛髪としての特性を満たすタンパク質を遺伝子レベルで設計し、微生物を用いた発酵プロセスにより原料となる構造タンパク質を取得する。また、毛髪素材に最適な形状や物性となるように構造タンパク質を加工するための新たな繊維化技術の開発や、製造条件の検討を進める計画だという。アデランスではこれまでの毛髪開発の知見を活かし、構造タンパク質繊維に対して毛髪のような風合いや特徴を付与するための加工や染色、カール付けなどを行い、製品としての評価を高めていく。既に基礎特性や各工程に関する研究は昨年スタートしており、関連特許も4件出願しているという。