フェラーリで1年間テストドライバーを経て、今シーズンF1復帰したトロロッソ・ホンダのダニール・クビアト。2019年第1戦オーストラリアGPの予選では15番手に終わったが、決勝では10位に入り、復帰後初戦の開幕戦で見事入賞を果たした。そのクビアトにレース後、聞いた。
──ものすごい悪戦苦闘の末の1ポイントでしたね。
クビアト:まったくだよ。僕のF1キャリアの中でも、もっとも苦労して取った1ポイントと言えるかもしれない。でも、同時に満足感も大きいよ。明らかに僕らより速いクルマを後ろに従えて、最後まで抜かせなかったんだからね。同時に前のクルマも抜こうとして何度もトライしたけれど、どうしても抜くことができなかった。
──この開幕戦、週末全般を振り返ってどんな印象ですか。
クビアト:前向きに捉えてるよ。なんといっても、(復帰後)最初のレースで入賞できたんだからね。そして新車への理解もずいぶん進んだ。もちろん予選は残念だ。Q3に行ける速さが十分にあったのに、いろいろな理由でできなかったからね。でもそれも含めて、次に繋がる多くのことを学んだ。然るべきグリッドからスタートできれば、十分な戦闘力があることもわかったしね。
──中団勢ではハースの(ケビン)マグヌッセンが6位に入賞し、しかもレースペースも安定して速かった。彼らの速さにも、対抗できると?
クビアト:マグヌッセンがどんな状況で走っていたのかはまだきちんと把握していないけれど、前が空いているかどうかでレースペースもタイヤの持ちも劇的に変わる。今日の僕は、それが一番の問題だった。スタートから58周目まで、必ず誰かとバトルしてたからね。それでもあれだけタイヤを持たせることができたし、いいペースで走り切れた。これが続けられれば、中団グループでの上位争いができるはずだよ。
──(ピエール)ガスリーを抑え続けるのは、簡単ではなかった?
クビアト:向こうは新品のソフトタイヤだし、こちらは中古のハードだったからね。決して簡単じゃなかったよ。ピエールがコースインしてきた直後に、思い切ってインを突いて抜いたのが大きかったね。ピエールが僕をミラーで見ているのがわかったし、ちゃんとスペースを空けてくれていた。とてもクリーンな戦いができたよ。そこから彼は猛然と反撃してきたから、ターンインではしっかり何度も攻撃を封じる必要があった。でもそれ以降は、僕のクルマの乱流で挙動が乱されてタイヤが厳しくなったのか、そこまで接近してこなくなった。とはいえ最後まで、気は抜けなかったよ。
──1年半のブランクの後で、これだけハードな復帰レースを戦ったのは、かなり厳しかったのでは?
クビアト:純粋に体力面だけでいうと、バルセロナでのレースシミュレーションの方がずっとキツかったよ。大きなGのかかる高速コーナーを、毎周駆け抜けていたからね。今日ももちろん疲れたし、予選は精神的にガッカリした。でも結果的に決勝でポイントが取れたからね。今週末みっちり実戦経験を積めたことで、次のバーレーン以降はもっとずっと伸び伸び走れると思う。