2019年03月18日 10:11 弁護士ドットコム
友人の都合で、2人で行く旅行がキャンセルになってしまったら、自分の分のキャンセル料や追加料金は誰が支払うべきなのか? そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。
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旅行代理店や宿泊先によっては「1人旅行代金」「1人部屋料金」が設定されるため、1人でも行こうとする場合には、加算料金が発生します。
相手の都合でキャンセルとなった場合、自分の分のキャンセル料や追加料金の支払いを相手に求めることはできるのでしょうか。半田望弁護士に聞きました。
ーー同行者がキャンセルした時は、行くべきか、行かざるべきか悩みそうですね。
旅行に行くにしても、行かないにしても、追加負担が生じる可能性があります。
1人で行く場合には、ホテルのシングルチャージなどの加算料金がかかったり、ツアーによっては1人あたりの参加料金が割高になったりする場合もあるでしょう。また、行かない場合でも、キャンセル料が発生してしまいます。
ーーそうした場合の追加費用やキャンセル料は誰が負担することになるのでしょうか。
キャンセルした同行者に負担して欲しい、という心情は理解できますが、法律上はなかなか難しいと思われます。
参加者の間で「キャンセルした場合の追加費用やキャンセル料はキャンセルした側が負担する」との約束(契約)がある場合には、この契約に基づき追加費用を請求することは可能です。しかし、こんな約束は普通しませんよね。
ーーほかには、何か考えられないでしょうか。
次に考えられるのは、契約関係を前提としない不当利得や不法行為となります。しかし、いずれも成立すると考えるのは難しいと思われます。
まず、不当利得はキャンセルにより同行者に「利得」が生じている必要がありますが、キャンセルした同行者が何らかの利益を得ている可能性はまずないでしょう。
ーー不法行為はどうでしょうか。
不法行為は「故意又は過失により」他人に損害を与えたことが要件となります。キャンセルの理由にもよりますが、通常は病気や怪我などのやむを得ない理由でキャンセルする場合がほとんどだと思われます。
その場合には、キャンセルした人に権利侵害に対する「故意又は過失」があると考えることは難しいと考えます。
ーーあらかじめ「ドタキャンして、相手に負担を与えよう」と目論んで、実際にキャンセルする人はそうそういなさそうですね。
そうですね。同行者のキャンセルによって発生した追加費用、あるいは自分の分のキャンセル料やその他の損失については、これを同行者に請求できるという約束がない限り、基本的には自己負担と考えるべきです。
ただ、そのような約束を交わすことは滅多にないはずですから、自己負担となるケースがほとんどでしょう。
ーー場合によっては、相手からキャンセル料の支払いを申し出ることがあるかもしれません。その場合には受け取っても良いのでしょうか。
そのような場合には、ありがたく受け取って構いません。
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(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
半田 望(はんだ・のぞむ)弁護士
佐賀県小城市出身。交通事故や消費者被害などの民事事件のほか、刑事弁護にも取り組む。日本弁護士連合会・接見交通権確立実行委員会の委員をつとめ、接見交通の問題に力を入れている。
事務所名:半田法律事務所
事務所URL:http://www.handa-law.jp/