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スマホ版配信決定の『オクトパストラベラー』 なぜ傑作と言えるのか?

2019年03月18日 07:21  リアルサウンド

リアルサウンド

 スクウェア・エニックスは、Nintendo Switch専用ソフト『オクトパストラベラー』の最新作にあたるスマートフォン専用ゲーム『オクトパストラベラー 大陸の覇者』の配信を発表した。


 『オクトパストラベラー』は2018年のGameAwardでは最優秀RPG部門にもノミネートされており、国内のみならず海外でも人気の高いタイトルだ。読者の方の中にも、未プレイだがスマホ版の配信が決まり、Switchで出た原作が気になっている方がいるのではないだろうか?


 そこで、この記事ではNintendo Switch専用ソフト『オクトパストラベラー』の魅力を解説したうえで、最新作『大陸の覇者』の現時点で判明している情報をお届けする。


(参考:『オクトパストラベラー』、懐かしの“ドット絵”はなぜ人々を虜に? ファンタジックな魅力を考察


■クラシックかつ自由なRPG
 スクウェア・エニックスがこれまで世に送り出してきたRPGと『オクトパストラベラー』にはいくつかの共通点がある。実際のところ、8人のキャラから1人の主人公を選んでゲームを進める点は『ロマンシング サ・ガ』に近く、またプロデューサーの高橋真志氏は本作が『FF6』の影響を受けた作品であることを公言している(※リンク先仏語)。


 しかし、決して本作は「昔のRPGの焼き直し」には終わらない。グラフィックとゲームシステムの両面において『オクトパストラベラー』はかつての名作RPGを踏襲しつつもアップデートしている。


 後述する戦闘システムは単調になりがちな戦闘にうまくメリハリを効かせており、ストーリーを読み飛ばしても次の目的地を表示してくれるシステムは忙しい現代のゲーマーにとってありがたい機能だ。


 他にも本作は細かな仕様によってRPGとして快適に遊べるようにデザインされている。このようなハイクオリティのRPGを生み出せたのは、『FF』や『ドラクエ』『ロマサガ』などの名作RPGを数々世に送り出してきたスクウェア・エニックスだからこそだろう。


■戦略性の高い戦闘システム
 本作の戦闘システムはコマンド式バトルを下敷きにした独自のもので、相手の弱点属性を突く攻撃を仕掛けることで相手を”ブレイク状態”にすることが戦略のキモになっている。モンスターごとに各属性の中から3~5種類程度の弱点が設定されており、その弱点を数回突くことでモンスターをステータスの下がったブレイク状態にできるのだ。


 ブレイクさせたモンスターはそのターン行動不能になるので、先手をとってブレイクさせてノーダメージで敵を倒したり、強力な攻撃を仕掛けてくる敵をブレイクさせたりと、ブレイクをめぐる攻防は本作の戦闘の要となる。


 本作では弱点を確認しながらのコマンド入力が必要なこのシステムのおかげで、RPGにつきもののザコ戦の単調さは軽減され、あらゆる戦闘が戦略的かつ爽快になっている。


■ドット絵の味と見やすさを両立する”HD-2D”
 『オクトパストラベラー』はキャラクターと背景の両方がドットによって描画されているが、本作のドット絵は単なる2Dではなくドット絵に3DCGの画面効果を加えた”HD-2D”と呼ばれる手法で表現されている。


 PSで発売された『ドラゴンクエスト7』では、本作と同じように「キャラは2Dで背景は3D」という表現方法がとられていたが、『オクトパストラベラー』はドット絵の背景に立体効果をかけている点が異なる(『ドラクエ7』の建物や背景はポリゴンによって描写されている)。味のあるドット絵と見やすい3D、どちらも両立させたのが”HD-2D”なのだ。


■気になるスマホ版の詳細は?
 そして、3月12日に先行体験版のプレイヤー募集を開始した『オクトパストラベラー 大陸の覇者』は、前作からどのような進化を遂げているのか。


 大きな変更としては、前作では4人までだったパーティの上限人数が最大8人編成までパワーアップしている。前作では8人いる仲間の中から誰を使おうか悩む場面も多かったが、8人で編成できるとなればそんな悩みはなくなりそうだ。


 逆に前作から変わらない点は”シングルプレイRPG”だということ。基本無料のスマホゲームとシングルプレイRPGが実際にどのような取り合わせでリリースされるかは未知数だが、詳細は今後の情報を待ちたい。


 Switchの『オクトパストラベラー』を遊んでいないという方も、スマホ版の配信を期にこの傑作RPGに触れてみてはいかがだろうか。懐かしくも新しいロールプレイがあなたを待っているはずだ。


(脳間 寺院)