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ほんこんがYouTubeで中年の星に!? 趣味全開のチャンネル「ほんこん流波乗りのすすめ」が面白い

2019年03月17日 08:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 テレビを主戦場に活躍してきた芸人やタレントがYouTuberとしてデビューすることが珍しくなくなってきた。以前はトークやネタ動画が多かったように思えるが、最近では自身の趣味を活かしたチャンネル開設が主流となってきている。以前はCSチャンネルでしか見られなかったような「芸人の趣味全開の番組」がYouTubeで気軽に楽しめるようになってきているのは喜ばしい。


(参考:ヒカキンが語る、明石家さんまや米津玄師など“尊敬する人たちの共通点”


 例えば自虐芸で一世を風靡したヒロシの「ヒロシちゃんねる」ではテーマをキャンプに絞り、「ソロキャンプ」の様子や「野外グルメ」が話題を呼び登録数が34万人を突破。ゴージャスの「ゴージャス動画」は登録数37万人を超え、ゲーム関係者をゲストに呼んで「大乱闘!スマッシュブラザーズ」や「モンスターストライク」など人気ゲームを解説する内容が一部の層から熱狂的な支持を集めている。


 かつて1発屋と呼ばれた芸人たちの再ブレイクの場ともなっているYouTubeだが、大御所芸人も自慢の趣味を引っさげて、参入してきているらしい。その中でも今回は昨年10月に開設され、じわじわ登録数を伸ばしている「ほんこん流波乗りのすすめ」を紹介したい。


 波乗り歴10年のほんこんが馴染みのサーフショップ「COASTKINE」の店長とともにサーフィングッズを解説したり、サーフィン初心者のマネージャーたちに波乗り体験をさせたり、といい意味でプライベート感満載の内容だ。ゲストにタレント仲間を呼ばないことで、純粋にサーフィンの面白さにフォーカスし、初心者に向けた解説番組としてじわじわ人気を集めている。


 実際にテイクオフ(波に乗る瞬間)の様子をほんこん自ら別ワイプで解説するなど、彼の熱意と経験で得た確かな知識がうかがえる。正直、陸でのカメラワークはイマイチだが、波乗りシーンは防滴カメラで撮影されているからか、臨場感は抜群。初心者のマネージャー陣が波乗りをしている回だけでも、かなりサーフィンの面白さは伝わるはずだ。


 また、特筆すべき点は現在全10回ある動画を1テーマ1本でアップしていること。本来であれば1本の動画で済むようなサーフボード、ウェットスーツの種類や選び方、フィン(ボードの底につける方向舵)の付け方、ボードへのワックスの塗り方、といった超基本的なことを詰め込まず、いい意味で内容を薄めてお届けしている。


 専門用語が出てきても「初心者の方はわからんから」とほんこんが細かくツッこんで解説してくれるので、サーフィンに関する知識が全くなくとも一度も手を止めることなくするする最後まで見られてしまう。


 タレントがYouTubeを始める際、テレビのフォーマットを封印し、軽いノリの効果音やカット数の多さでテンポを出し、画面いっぱいのテロップを多用するなど、若者にも馴染み深い作風を寄せる場合も多い。しかし、「ほんこん流波乗りのすすめ」ではカット数は少なく、テロップも必要最小限。まさに冒頭でも触れた「CSで放映されている芸人の趣味全開の番組」のようにマイペースに動画を作成している。だからこそ、テレビから流れてきた視聴者にも安心して楽しめるテンポ感になっているのだ。


 コメント欄を見ると、「こんにちは! 初心者オヤジロングボーダーです」とほんこん氏と同世代と思われるお父様方のコメントも。「僕と同じくらいの歳の方でも……」と動画中にほんこんが言っているように、中年の動画視聴者やサーフィン初心者に向けてのガイドライン的な役割も大きい本番組。実際に再生回数や視聴者数を見ていると伸び悩んでいるように見えるが……内容はかなり練られているので、中級編も見てみたいところだ。実はサーフィンは365日楽しめるスポーツ。暖かくなる季節に向けて、軽い気持ちでぜひ視聴してみてほしい。


(ミーネ夏彦)