香取慎吾のアート作品展『サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』が3月15日から東京・市場前のIHIステージアラウンド東京で開催される。
本日3月14日には香取慎吾が登壇した会見と、プレス内覧会が行なわれた。
■フランスで初個展を行なった香取慎吾。日本では初の個展
画家としても活動し、国内外で作品を発表している香取慎吾。昨年には自身初の個展『NAKAMA des ARTS』をフランス・パリのルーヴル美術館地下「カルーセル・デュ・ルーヴル」で行なった。
日本では初の個展となる『BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』では、『NAKAMA des ARTS』展で発表した100点以上のペインティングを展示するほか、新たに制作する体感・体験型のインスタレーション作品群を公開。会場のIHIステージアラウンド東京は客席が360°回転する劇場となる。
来場者は展示の鑑賞前に座席に座り、映画『クソ野郎と美しき世界』にも参加した児玉裕一と共に制作された映像作品を視聴。その後にステージへ移動して作品が展示されたスペースを回遊する。
■「一人の男の夢が叶う瞬間を見てもらいたいです」
記者会見に登場した香取慎吾は、あいさつ後の第一声で、「いよいよこの時が来ました。すごくドキドキしています」とコメント。「3か月先まで開催しているので、時間があるときに訪れて、会場の壁や床などのスペースにちょっとずつ絵を描いていきたい。変化していくのもいいんじゃないかなと思います。増えていきそうです」。絵を描き足した際には映像を撮影し、その映像も会場内で見ることができるようにするとのこと。
初となる日本での個展開催については、「個展をやるのが夢だったんですが、こんな大きな劇場で個展をやれるとは思ってもいなくて、本当にたくさんの方のお力添えに感謝しています。今日こうして来てくださった方々にも感謝しています」とコメント。その後に続けて、「一人の男の夢が叶う瞬間を見てもらいたいです」と語り、自ら「カッコいい……」とおどけてみせた。
■展示鑑賞前に、インパクトの強い映像を見る。「みなさんの気持ちを最高潮まで上げたい」
今回の個展では、展示の鑑賞前に映像作品を上映する演出がある。これについては、「ステージの幕が開く前のオープニングムービーですね。僕が今までコンサートやライブでやってきたことと同じで、みなさんの気持ちを最高潮まで上げたい。他では体験できないような気持ちになってもらいたい。ここは何だったんだろう、体験したことのないような場所だった、楽しかったと言ってもらえるような場所になったと思う。ぜひ来てもらいたいです」と胸を張った。
映像作品についてはネタバレになるので多くは触れないが、インパクトが強い内容。香取は「やりたいこと全部詰まっているような映像」と語っていた。
■メインオブジェは、触ることができる大型作品『BOUM! BOUM! BOUM!』。会場内に香取慎吾の心音が響く
個展のメインオブジェとなるのは大型作品『BOUM! BOUM! BOUM!』。オブジェ内からは香取の心音が響いており、ある程度離れた場所でも鼓動の揺れが感じられた。「本当に(自分の)全部を見てもらいたくて。心臓の音まで聴いてもらいたいんです」と語った。『BOUM! BOUM! BOUM!』には実際に触れることが可能だ。会場では自らの内蔵や歯型、目などをモチーフとして使用した作品も展示されていた。
■草彅剛も会見にこっそり来場。「あの人にプロデュースされている気分になった」
囲み取材では、本日の会見時に草彅剛が来場しており、実際に客席に座っていたことを明かした。「(草彅が)一番後ろのほうで見ていて。あの人にプロデュースされている気分になった」と笑いを誘いつつ、「つよぽんはフランスの個展にも来てくれたけど、作品が増えているので、つよぽんも見たことがないものがある」と語った。
さらに「僕が『個展が実現できて、みなさんに感謝だね』と(草彅に)言ったら、『それはお前の持ってる何かが、そうさせるんじゃない?』と言ってくれました」と語った。稲垣吾郎は来場したか、という質問には、「稲垣さんは……来てくれます」と回答し、笑いを誘った。
■アートへの想い。「境界はない。エンターテイメントとして展示を楽しんで」
アートへの想いについては、「アイドルって自分が素材になるんです。自分が表に立ってステージに立つ。僕が描く絵も僕がモチーフ。自分のいろんな部分を見てほしい。今までも見せたかったが、その場がなかった。アート作品ならもっと深いところまで見せられる」と明かした。
加えて、「自分にとってはステージで踊ることもアートだし、ミュージックとアート、ファッションとアート、境界はなく、全部が繋がっている。エンターテイメントとしてこの個展を楽しんでほしい」とコメント。
ファンに向けては「いろんなものに、いつまでもわくわくドキドキして欲しいです。僕の個展がその一部になれたら」とメッセージを送った。
会見と取材を通じて、「香取慎吾をもっと見てほしい、中に入ってほしい」「ドキドキしてほしい」という言葉が印象的だった。それは展覧会のテーマにも繋がるものだろう。また、ジャニーズ事務所退所後初の公の場となった、2017年の企画展『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』の会見も取材したが、そのときよりも明るい表情も印象深かった。
■「境界線」をあっさり飛び越えるエンターテイナー・香取慎吾
正規の美術教育を受けていない芸能人やタレントが絵や彫刻といった創作物を発表すると、「あんなものはアートではない」とか「アーティスト気取りではないか」とかいった指摘を受けることもある。しかし香取慎吾は、そういった狭い「アート」の枠組みをあっけらかんと飛び越えるエンターテイナーである。個展会場に「劇場」を選んだことも、境界線上に立つエンターテイナーたる自らの存在を自認してのことではないか。
作品にはそれぞれ、香取自身による言葉で製作時の心境やエピソードなどが添えられていたのも記憶に残った。絵画や立体だけでなく、言葉や色鮮やかな光、映像などを総動員し、来場者を飽きさせないよう、楽しませようとする香取慎吾のエンターテイナー精神。心臓の音にいざなわれて、そのさらに奥の心の中に踏み込むような展示空間だった。