WEC世界耐久選手権は3月14日、アメリカ・セブリングで第6戦セブリング1000マイルの公式予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racingはセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ組8号車トヨタTS050ハイブリッドと僚友7号車トヨタが予選1番手、2番手を奪取。2018/2019年シーズン4回目となるフロントロウ独占を果たした。
前日13日に行われたフリープラクティス(FP)1回目、2回目に続き、14日午後のFP3もワン・ツーで終えたトヨタは、同日22時過ぎに始まった公式予選に臨んだ。
WECの予選はふたりのドライバーがアタックを行い、その平均ラップで順位が決定する。トヨタにとって初挑戦となるセブリング・インターナショナル・サーキットの予選では、7号車はIMSAシリーズのセブリング12時間に参戦した経験を持つマイク・コンウェイとホセ-マリア・ロペスのふたりがアタックを担当することに。一方、8号車は経験者のブエミではなく、テストでのみ同地を走行しているアロンソと一貴がアタッカーを務めることとなった。
迎えた予選ではアロンソが陣営内でもっとも早くアタックを行い、1分40秒124というタイムを叩き出してみせる。これは2013年にアウディが記録した予選レコードタイムを3.762秒上回るセブリングの新レコードタイムだ。
そんな驚異的なタイムを出したアロンソから代わった一貴も同じく1分40秒台のタイムをマークして、アベレージタイムを1分40秒318とした。
対する7号車は、FPでは好調だったコンウェイのタイムが伸びず1分41秒台どまり。代わったロペスもアタック1周目はトラフィックに捕まりアタックができず。また、2周目にはアタック中のミスでコースアウトを喫しタイムを伸ばせない。
そうしたなかで、一時はライバル勢に2番手の座を奪われ7号車だったがセッション終了間際にロペスがアタックを完遂。アベレージタイムを1分40秒803に押し上げ、トヨタの今季4度目となるフロントロウ独占を実現させた。
TOYOTA GAZOO Racingはこのもっとも有利なグリッド位置から1000マイル(約1600km)のレースに挑み、シーズン5回目のワン・ツー・フィニッシュを目指す。
■ポール獲得の中嶋一貴「アロンソのおかげで、プレッシャーか軽くなった」
「僕にとっては難しい夜になってしまった」と予選を振り返るのは、7号車トヨタTS050ハイブリッドを駆るコンウェイ。
「アタックした2ラップともにハードにプッシュしたのだけど、最終的にどちらもあまり良いタイムではなかったんだ」
「しかし、明日の決勝レースは長いし、2番手というのは決して悪いスタート位置ではない。明日は良い結果で終えられることを願っているよ」
また、チームメイトのロペスも「我々はこの週末、ここまで良いペースでの走りを見せてきたが、予選のたった1ラップだけがそうはいかなかったと」悔しさをにじませる。
「チームがライバルと充分な差を築いて予選ワン・ツーを獲得できたことは喜ばしいよ。僕らのクルマははとても頼もしく感じられる」
「(予選では)僕は(アロンソよりも)速いタイムを出す必要があることを理解したうえで、アタックに入った。しかし、最初のアタックラップでは他の車両にブロックされ、2周目は攻めすぎてワイドに行きすぎてしまった」
それでも元WTCC世界ツーリングカー選手権王者は「最終的にポールポジションには届かなかったけれど、決勝レースは楽しみにしているよ」と前を向いた。
対して、ニューコースレコードでポールポジションを獲得した8号車トヨタのアロンソは、「セブリングでの新たな予選コースレコードをマークできて、とてもうれしいよ」と明るく語る。
「軽めの燃料と新品タイヤでのアタックラップは良い感触だったし、とても楽しめた」
「このコースを夜走るのは、コース上の目標が見にくくなるため、本当に難しい挑戦になる。だけど、今回は良いアタックができたよ。1分39秒台も可能だと思ってたけど、わずかコンマ数秒及ばなかったね」
そんなアロンソの走りに助けられたと語るのは中嶋一貴だ。
「フェルナンド(・アロンソ)の素晴らしいアタックラップのおかげで、僕は良いタイムを出すことだけを考えれば良く、プレッシャーが軽減されました。夜間走行はいつでも非常に難しいものですが、結果には満足しています」
通常の6時間レースよりも長丁場となる決勝に向けては、「ポールポジションからスタートできるのはうれしいですが、決勝レースは長い戦いであり、トラブルなく最後まで走り切るということ自体がつねにチャレンジだということは分かっています」と気を引き締めた。
2012年以来、7年ぶりに開催されるWECセブリングの決勝は現地時間15日16時(日本時間16日5時)にスタートが切られる予定だ。