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【小松礼雄のF1本音コラム】開幕前日の勢力予想。ハース新車は「素性がすごくいい」4番手争いに自信あり

2019年03月15日 10:51  AUTOSPORT web

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ハースF1で4年目を迎える小松礼雄チーフエンジニア。今年もトップ3チームに次ぐ4位を目指す
エアロのレギュレーションが変わり、勢力図に変化ありそうな2019年のF1。トップ争いも注目だが、同様に読めないのが4位以下の中団争い。特に今年は中団勢の勢力が拮抗しているようだが果たして、どのチームが抜け出すのか。いよいよ始まる開幕戦の走行前日、ハースF1チームの小松礼雄チーフエンジニアに聞いた。

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──まずはハースの今季型のマシン、VF19のパフォーマンスについて、オフのテストを終えての手応えはいかがでしょう。

小松礼雄ハースF1チームエンジニア(以下、小松):非常にいいと思います。去年のマシンも良かったですけど、それよりもいい。運転がすごくしやすいクルマなので、素性はとてもいいと思っています。

──オフのテスト、メニューは予定どおり消化できましたか?

小松:いや、もう少し距離を走りたかったですね。特に1回目のバルセロナテストは信頼性の問題が結構あったので大変でしたけど、2回目のバルセロナテストは結構、距離を伸ばすことができまいた。ですので、本音を言えばもう少し、走りたかったです。

──今年のレギュレーションで前後のウイングが変わりますが、フロントウイング変更の影響はどの程度ありますか。

小松:ムチャクチャ、影響が大きいですね(苦笑)。最初に今年の規定に沿ったフロントウイングを風洞に入れた時は、ダウンフォースはやはりものすごく減りました。そこから新しくフロントウイング、そしてバージボード、フロアなどを開発していって、失ったダウンフォースを少しずつ取り戻して行きました。それで今は結構、いいレベルまできていると思います。やはりフロントウイング、バージボードは今年のエアロのキモですね。どんなバージボードを使っているかで、パフォーマンスも変わってきます。

──毎年、小松エンジニアの開幕前の勢力図予想がドンピシャなのですが、現在のハースのポジションはどのあたりと想定していますか。

小松:4位だと思っています。

──今年、トップ3(メルセデス、フェラーリ、レッドブル)以下、4番手からの中団争いは昨年以上に接戦になりそうだと予想されていますが……。

小松:僕たちの解析が間違っていないといいのですけど、今のところのウチは中団の中でも少し抜けた4番手だと思っています。ウインターテストのパフォーマンスを解析しての、今のところですけどね。もちろん、ウインターテスト後のこの開幕に向けて新しいパーツを投入しているチームもあるので、それでどう変わるかは走ってみないと分からないですけどね。ですので、今週の開幕戦は速さを気にするというよりも、シンプルに基本的なことをしっかりとこなして、レースをきちんと完走することが目標ですね。

──このメルボルンでの開幕戦、ハースは昨年、予選で6番手と7番手、一昨年も予選で3列目を獲得しているように、得意なサーキットのひとつと言えますよね。

小松:そんなに得意では……たまたまだと思うんですよね(笑)。まあ、苦手なコースではないです。普通に走れば、クルマとドライバーのパフォーマンスなりにそのくらいの順位に行けると思います。

──ただ、去年も決勝ではピットワークのミスなどで結局、2台ともリタイアとなってしまいました。やはり、課題はレースをきちんと完走することですかね。

小松:そうですね。決勝でもドライバーもチームもミスをしないように、普通にぶつからずにスタートして、ピットストップをして、普通にレースができれば結果はついてくると思っています。クルマは速いと思っていますので。

──今年はワークス4番手としてルノーが上がってくるのではと予想していましたが。

小松:今のところ、僕の理解ではウチが勝っていると思っています。もちろん、今年は空力のレギュレーションが変わってまだどのチームもつかみ切れていないですし、シーズンに入ってから去年よりも開発面などでどんどんアップデート合戦になると思いますので、ルノーのようなワークス、そしてマクラーレンのように予算が大きいチームは有利ですけど、ウチの出だしはいいです。

──トップ3に関しては昨年と状況は変わりそうですか?

小松:やはりフェラーリが一番速いですよね。その後にメルセデス、レッドブル、そしてウチが続く形になっていると思います。そこから下は、すごく接戦の状況になっていると思います。

──改めまして、今シーズンの小松エンジニアの目標を教えて頂きたいと思います。

小松:やはり昨年、クルマは速かったのにミスが多くて150ポイント獲得を目標としていたのに93点しか獲れなかった(チームランキング5位)。獲れるべきポイントの6割くらいしか獲れていないわけなので、よくないシーズンでした。今年はこれだけベースのいいクルマがあるので、きちんとトラックサイドでやるべきことをミスなく行いたいと思います。

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 4年目を迎えるハースと小松エンジニア。スタッフ面でも他チームからヘッドハンティングをするなど、序々にチーム体制も強化されて、クルマの開発やチーム運営面でも年々、手応えを感じている様子。特に今年のクルマには自信があり、それは小松エンジニアだけでなくドライバーふたりも同様のようで、小松エンジニアも「ドライバーは喜んでロングランも走ってデータを取ってくれる」とチーム全体として上昇傾向にあるようだ。今年、ダークホースになりそうな小松エンジニアとハースF1チームの活躍は、また、連載コラムでお届けする予定だが、まずは開幕戦のハースのパフォーマンスをしっかりと目に焼き付けてみよう。