帝国データバンクは3月8日、「1都3県の本社移転企業調査」の結果を発表した。2018年に1都3県へ転入した企業は308社。3年ぶりに前年の転入社数を超えた。転出は285社。前年を2年連続で上回った。
政府や自治体は税金の優遇措置など、地方への本社移転を促す制度を整えている。こうした動きが転出企業の増加につながったと見られる。しかし全体では転入が転出を23件上回り、8年連続で転入超過となっている。
この調査は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県に本社機能がある企業の転出と転入を調べた。転入出の調査では、同社の企業概要データベース「COSMONS2」を用いた。
税優遇措置の見直しで「近畿」「中部」への転出が進む可能性
転入企業の元の所在地として最も多かったのは、前年と同じく1位は「大阪府」で55件。2位の「茨城県」(30件)は前年の3位から、3位の「福岡県」(22件)は6位から順位を上げた。4位以降は、「愛知県」(21件、同2位)、「静岡県」(19件、同4位)が続いた。
転出先として名前が挙がったのは31道府県。1位は前年と同じ「茨城県」(39件)だった。2位は「大阪府」(38件)、3位は「愛知県」(22件)が続いた。4位の「静岡県」(18件)は昨年の5位から、5位の「栃木県」(16件)は昨年6位から1つずつ順位を上げている。同率5位の「兵庫県」(16件)は前年の13位から、9位の「岡山県」(10件)は30位から大きくランクを上げた。
1都3県への転入理由には、グループ間の連携強化などの経営効率化、営業の利便性向上を挙げる企業が多かった。
2018年には、東京一極集中を是正し地方への本社機能移転を促進する「地方拠点強化税制」が見直された。これまで対象外だった近畿圏、中部圏中心部まで制度が拡充されたため、これらの地域への転出が進むと考えられている。