WEC世界耐久選手権第6戦セブリングは3月13日、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで走行初日のフリープラクティス1回目と同2回目が行われ、TOYOTA GAZOO Racingはマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス組7号車トヨタTS050ハイブリッドがこの日の全体トップタイムを記録。セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ組の8号車トヨタTS050ハイブリッドが総合2番手につけた。
2018年5月に行われたスパ・フランコルシャン6時間から2019年6月のル・マン24時間までの約13カ月に渡って争われるWEC“スーパーシーズン”。その第6戦として開催されるのがセブリング1000マイルだ。今戦はWECとともに北米のスポーツカーシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のセブリング12時間レースも同じ週末に行われる。
事前のプライベートテストと公式テストを経てレースウイークを迎えたトヨタは、走行初日となった13日、2台のトヨタTS050ハイブリッドで計2回、各90分間のフリープラクティスに臨んだ。
しかし、WECのプラクティスが併催イベントのセッション後となったことで路面状況がテスト時から一変。時より吹き付ける強風にも左右され、2台の最速ラップタイムは全体2番手となった8号車トヨタが1分41秒957(FP1)、ホセ-マリア・ロペスがアタックを担当した7号車トヨタは1分41秒730(FP2)と、公式テストで記録したファステストラップよりもわずかに遅れることとなった。
それでも、チームは難しい状況下にありながら予選と決勝に向けたセットアップの調整を続け、最終的に2台で181周、合計1089kmを走破してレースウイーク初日の走行を順調に終えている。
なお、日没後に行われたFP2で全体トップとなったロペスのタイムは、2013年に記録されたセブリングにおけるLMP1カーのレコードタイムを2.1秒短縮するものだ。そのため、14日の夜に実施される予選でこれと同等もしくは、上回るタイムを記録すれば、トヨタTS050ハイブリッドがセブリングの公式記録に名を残すことになる。
■レコード更新のロペスは冷静。「決勝に向けた準備がもっとも重要」
「事前テストで良い準備ができたので、今日の練習走行はうまく進みました」と語るのは現在、WECで2連勝中の7号車トヨタをドライブする可夢偉だ。
「今日は早い時間に別カテゴリーの車両が走ったために、テスト時とは異なる路面コンディションに直面することとなり、それに合わせる必要がありました」
「(今日は)良いスタートを切ることができましたが、さらなるパフォーマンス追求のために努力を続ける必要があります」
同様にロペスもクルマを仕上げることに最大のフォーカスをあてる必要があると言う。
「良い一日だったよ。コースに慣れていくに従い快適に感じていった」
「しかし、コース上が混雑しており、路面も汚れていたので、クリーンなアタックするのはほぼ不可能だったね」
「数週間前と比較すると、コースコンディションは大きく変化している。クルマを良い感触(を得られる状態)に仕上げ、決勝レースへ向けた準備をすることがもっとも重要なんだ」
■8号車のブエミは「テストを欠席したので、とにかく周回を重ねることが目標だった」
僚友7号車を上回り、FP1トップタイムをマークした8号車の一貴は「風向きの変化やその他の要素により先週末のテストの時とはまたtくコンディションが変わってしまい、なかなか難しい一日でした」と初日を振り返った。
「とはいえ、2回の練習走行セッションをともにトラブルなくこなせたという点では悪くありません」
「もっとも重要なのはナイトセッションです。ここの夜間走行は、どれだけ走っても充分ということはなさそうですが、予選、決勝へ向けて経験を積むことはできました」
その一貴のチームメイトで公式テストをフォーミュラE第5戦香港出場のため欠席したブエミは次のように語った。
「今日は多くの時間を使ってステアリングを握った。(僕は)先週末のテストを欠席したため、とにかく周回を重ねることが目標だったんだ」
「それでも問題なくこなせて良かったよ。コース上に車両が多く、先月の(プライベート)テストとはまったく違う状況だった」
「また、ここでの夜間走行は非常に暗く難しいので、その経験はとても重要になる。今日得られたデータを解析し、セットアップでの改良が進むことを願っているよ」
トヨタが初めて挑むWECセブリングラウンドは14日、FP3と予選が行われ、翌15日16時(日本時間16日5時)に最大8時間で争われる1000マイルレースがスタートする。