2019年のF1開幕戦の見どころとして、このコラム的には当然、新レギュレーションでのエアロパフォーマンスがまずは注目するところだろう。その中でも、特にそのパフォーマンスが気になるのが昨年から大きく進化したフェラーリの今季型マシン、SF90。エアロに注目するのはもちろんだが、ここでフォーカスしたいのは同じエアロでも、昨年から大変更されたSF90のインターナルエアロの部分だ。
SF90の大きな進化は、そのインダクションボックスのインテークダクトに見ることができる。昨年のSF71Hの楕円大口径インテークダクトから、今季型のSF90はトライアングルでスリムな形状のインテークへと変更した。
SF90の内部のダクト容積は縮小され、エンジンカバーは薄く低く狭く絞られ、その分ドーサルフィンは薄い一枚板部の面積が増えた。つまり、リヤウイング前の空間容積が拡大されたことになり、写真で見てもリヤウイング下部の空間の巨大さが理解できる。
これはエンジンのVバンクとギヤボックスベルハウジング上に置かれたセンタークーリングによる熱交換機器とその搭載方法が変更されたことを示している。冷却機器の構成が変わり、いくつかの熱交換機器はサイドポッド内に移動したようだ。
実際、サイドポッドのエントリーダクトのダブルデッカー開口部は幅を左右に広げている。理由はエンジンカバーの縮小で後方エアロの効率を確保するためだが、インタークーラー等の熱交換器の能力拡大も考えられ、特にICE(内燃エンジン)のパワーアップに伴う冷却効率向上の必要性、さらに重心位置の低位置化等が想像される。
今年のフェラーリは全方位開発を行ってきたが、タイトル獲得に向けて、どうやら正真正銘、フェラーリは本気になったようなのだ。そのパフォーマンスがいかほどのものか、まずは開幕戦で注目したい。そして、フェラーリと同じく開幕戦で興味が尽きないのが今シーズンのレッドブルとトロロッソのホンダ軍団。
これまでハース等、Bチームのスタイルがいろいろ言われてきたのだが、今年のトロロッソほどの本格的なBチームは久し振りだ。事実上、トロロッソの今季型マシンSTR14は、昨年のレッドブルRB14のアップデート・バージョンで、ホンダPUマウント型のマシンだ。RB14は昨年ルノーPU搭載で4勝を挙げているように車体能力には問題はなく信頼性も高いので、今季のトロロッソ意外な台風の目になるかもしれない。
もちろん、レッドブルには昨年ルノーで勝てたレースのすべてで勝てる可能性を持っている。トップコンテンダーになるにはまだまだ今シーズン一杯は掛かりそうだが、今季の初優勝等を視野に入れておいても、過分な期待ではないはずだ。