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日向坂46、冠番組の笑いは“団体芸”で生まれる? 乃木坂46&欅坂46注目コンビとあわせて考える

2019年03月13日 10:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 3月27日に念願のデビューシングル『キュン』を発売する日向坂46。彼女たちの冠番組『ひらがな推し』(テレビ東京)が、放送開始から約1年が経過した。同番組では、今年2月の放送回にて、メンバー発案企画「松田好花プレゼンツ!ひらがながっきょく うんどうかい」をオンエア。グループの個性や天賦のバラエティセンスを活かすなど、番組としての方向性も徐々に定まってきたようだ。


 『ひらがな推し』は、彼女たちが新規ファンに広く訴求できる重要なツールである。だからこそ、番組で生まれる笑いを最大化していく上で、メンバー複数名が絡む“団体芸”はとても重要だろう。その時々での注目コンビを明確に打ち出し、彼女たちを起点に笑いのパターンを生産するのは、発展途上なグループにとって大きな強みとなりえるはずだ。そこで本稿では、日向坂46を含めた坂道シリーズに所属する、乃木坂46と欅坂46の注目コンビを例に、それぞれの強みを紹介してみたい。


(関連:日向坂46、2部構成で表現した“けやき坂46”への別れと新たな始まり デビューライブを振り返る


■乃木坂46 白石麻衣×秋元真夏


 乃木坂46・白石麻衣といえば、グループ内でもお調子者なメンバーのひとりであり、白石の輝きをぐっと引き出すのが、メンバーきっての“いじられ屋”こと秋元真夏。そんな2人による鉄板ネタが“黒石さん”だ。“黒石さん”は、あざとさを狙った秋元の発言に対して、普段はモデル顔の白石が一変して、強張った表情でキレ芸を見せつけるというもの(参考:乃木坂46 白石麻衣、『ぐるナイ』初出演で“食べ石さん”も登場? 表情豊かなキャラクターを振り返る)。これまで、グループの冠番組やライブでもたびたび披露されている。


 思わず笑えるような2人の力関係は、今年1月放送の『乃木坂工事中SP』(テレビ東京系)でも目撃された。同番組では、メンバー2名が丸太の上に座り、相手を棒で叩き合うゲームに挑戦。白石と秋元が直接対決をする貴重な機会となった。ゲームでは終始、白石が秋元を攻撃。あまりの力強さに反撃できない秋元と、その様子に笑いすぎて攻撃を中断する白石の姿が印象的だった。そんな彼女たちだが、普段は超が付くほど仲の良い間柄。バラエティに振り切れる秋元がいるからこそ、白石もその流れに合わせられるのだろう。とても理想的な関係性だ。


■欅坂46 織田奈那×鈴本美愉


 欅坂46・織田奈那は、メンバーから絶大な人気を誇る“モテ女”。そんな彼女に並々ならぬ愛情を示すのが鈴本美愉だ。彼女たちこそ、特有の鉄板ネタを持ち合わせていないまでも、その関係性自体が冠番組『欅って、書けない?』(テレビ東京)を盛り上げる一因となっている。なかでも、2018年2月放送の番組ロケ企画では、鈴本が織田に得意の手料理を披露。最初こそ鈴本の愛情が伝わったかと思えたが、終盤には織田が想い人であるメンバーの小林由依に触れてしまうなど、鈴本の報われない様子にスタジオからも非難が飛び交った。


 そんな2人の関係性は、2018年末より大きく変化。同年11月の放送回では「最近織田にひっつかなくなった理由」として、鈴本が「なんとなく愛がなくなったから」と、心苦しいコメントを残していた。どうやら鈴本の心境は、いわゆる倦怠期に突入してしまったようだ。今後の展開はもちろん、2人の関係性が番組の活気に対して、どのように影響を与えるのかも気になるところである。


■日向坂46 柿崎芽実×宮田愛萌


 日向坂46の注目コンビは、柿崎芽実と宮田愛萌による“ぶりっ子ツートップ”。同コンビが誕生した経緯のひとつは、昨年12月放送の『ひらがな推し』クリスマス特別企画「けやき坂46 ぶりっ子選手権!」にまで遡る。同企画では、グループ内で突出したぶりっ子アピールを見せる柿崎と宮田をはじめ、どのメンバーが男子を最もドキドキさせられるのかを検証。オンエア以降、大会好成績を残した柿崎と宮田には、“釣り師”としてのキャラクターが本格的に定着した。


 そんな2人が芸人顔負けのコンビ芸を披露したのが、前述した「ひらがながっきょく うんどうかい」での一幕である。同企画内で、柿崎と宮田は「つっぱり尻相撲対決」に出場。他メンバーが真剣に尻相撲をするなか、彼女たちはカメラに対してウインクをしたり、手を振ってわざとらしく舌を出すなど、試合そっちのけで“ぶりっこフリースタイル”を展開。最後には番組MCを務めるオードリー・若林正恭がツッこむという“天丼”な流れに、スタジオ全体も大きな笑いに包まれた。柿崎と宮田は、現在のグループにおけるコンビ芸のパイオニアといえる。


 また、メンバーの齊藤京子は『BUBKA 2019年4月号』(白夜書房)にて、乃木坂46・秋元と対談。前述オンエアについて「“ぶりっ子ツートップ”が本当におもしろかったんですよ」と振り返ったほか、番組プロデューサーを交えて、自身も団体芸を習得したいと話し合ったという。秋元は、そんな齊藤の研究熱心な姿勢を「向上心が高い」と賞賛していた。


 同記事では、秋元がバラエティ番組での立ち回りについて語る場面も。齊藤は収録の際、他メンバーに比べて積極的に発言する一方、自身が何度も前に出ることへの葛藤があるという。それを聞いた秋元は、賑わいある番組作りには、メンバーとの円満な関係性が大切であるとコメント。ここまで振り返った乃木坂46と欅坂46の例を見れば、その言葉も自明に感じられるはずだ。幸いにも齊藤をはじめ、オードリー・春日俊彰を毒舌で切り捨てる小坂菜緒、いつでも天然な井口眞緒など、日向坂46には、個性豊かで仲間想いなメンバーが揃っている。彼女たちがさらに息を合わせることで、ますます笑いの絶えない番組となるだろう。


 日向坂46のグループカラーである空色は、どんな色にでも染まれるものだ。バラエティの面でもこれから先、乃木坂46と欅坂46それぞれの強みを兼ね備えながら、今までにない笑いを届けられるグループになるに違いない。そんな日向坂46の躍進を見守る際には、メンバー同士の“コンビ芸”にもぜひ注目してほしい。(青木皓太)