帝国データバンクは3月8日、「業界天気図」(2018~2019年度見通し)の結果を発表した。同調査は、100業界198分野の状況について、企業業績や各種統計データ、業界ニュースなどから展望を分析。「快晴」「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」「雷雨」の7つの天気にたとえて業況を表した。
2018年度に"晴天"(快晴・晴れ・薄日いずれか)となったのは、「ホテル・旅館」、「不動産賃貸」など90分野。一方、"雨天"(小雨・雨・雷雨いずれか)は「流通業」や「外食」43分野で、晴天が雨天を上回った。前年度と比べ業況が改善したのは25分野。悪化は15分野で、前年度よりで8分野増えた。
業績別に見ると、「ホテル・旅館」は晴れから快晴に改善。外国人観光客の需要が高まったことが好影響した。「繊維製造・紡績」は、自動車部品や航空機など産業用途が好調で曇りから薄日に改善した。
一方、「自動車製造」は薄日から曇りへと悪化。国内生産はおおむね前年同期並みだが、海外市場の減速が響いた。「カメラ製造」は、コンパクトカメラ市場が落ち込み、雨から雷雨に悪化した。
2019年度は「居酒屋・レストラン」改善、「工作機械製造」は悪化の見通し
2019年度の"晴天"見込みは「ホテル・旅館」、「総合商社」、「ネット広告」など86分野。「ホテル・旅館」は、ホテル需要の高まりを受けて、2年度連続で快晴となっている。"雨天"は、「出版・新聞」や「銀行」、「アパレル」など43分野となる。
業況が改善の見通しとなるのは8分野で、2018年度比で17分野減少。悪化は12分野で、3分野増加する見込みだ。悪化が改善を3年ぶりに上回り、改善見込みの分野数は、帝国データバンクが集計可能な1999年度以降で最少を記録している。
業況の改善が見込まれるのは、「ソフトウェア開発」(薄日から晴れ)。改元や消費税引き上げによる特需が期待されるほか、AIやビッグデータを活用した生産性向上の動きも追い風となっている。
また「居酒屋・レストラン」は雷雨から雨に改善。客単価の上昇が好影響を与えたものの、人件費や原材料価格の高騰が続くため、経営環境は厳しい。
「工作機械製造」は晴れから曇天へと悪化の見通し。秋の消費税率引き上げ後に、自動車向け需要が減少する懸念が残る。また、米中摩擦で中国需要の減速は避けられそうにない。