AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズやマカオGTカップを制し、2017年からはWEC世界耐久選手権のLM-GTEアマクラスを戦っていた澤圭太が自チームとなるABSSA Motorsportを新たに立ち上げ、ブランパンGTワールドチャレンジ・アジア(旧ブランパンGTシリーズ・アジア)のプロ・アマクラスにフル参戦する。
国際派ドライバーとして知られる澤はスーパーGT GT300クラスなどの国内レースを経てアジアに進出。非メーカー系ドライバーとしてGTアジアやAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズといったグローバルシリーズで活躍してきた。
また、2016年には共にチャンピオンを獲得したクリアウォーター・レーシングのドライバーとしてル・マン24時間に初出場を果たすと、翌2017年からは同チームでWECのLM-GTEアマクラスにフル参戦してタイトル争いを繰り広げた。
しかし、チーム事情により参戦2シーズン目の途中2018年末を最後にWECでの活動を休止することに。今後の活動についてはマクラーレンの新型GT3カーでブランパンGTシリーズのアジア地域シリーズに挑むとしていた。
そんな澤は2019年初頭、自らが経営面を担うレーシングチーム、ABSSA Motorsportを設立。マクラーレン・カスタマーレーシングのサポートを受けるとされる同チームは今季よりデリバリー開始となるマクラーレン720S GT3を導入し、ブランパンGTシリーズ・アジアを再編した、ブランパンGTワールドチャレンジ・アジアのプロ・アマクラスに参戦することになった。
新チームのドライバーラインアップのひとり目はもちろん澤だ。そして相棒のアマチュアドライバー枠にはスーパーGT GT300クラスやランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアなどの参戦経験を持ち、2018年にはスーパー耐久シリーズTCRクラスチャンピオンとなった植松忠雄が起用されている。
「日本にはレーシングチームが数多くありますが、自国のチャンピオンシップ以外の選手権を戦うチームはそう多くありません。そうしたなかでこの2年間、ブランパンGTシリーズのアジアシリーズでは多くのレースが行われてきて、それがABSSA Motorsportとして初めて挑戦するGTプログラムを選ぶうえで有力候補に挙がるきっかけになりました」と語るのはドライバーとチームをまとめる立場の両方を担う澤だ。
「アジア最高のチームやドライバーたちと競争する機会こそ、僕たちの決断の重要な要素のひとつでした。僕は大陸(国外)で得られる最高のものを追い求めることを、つねに愛してきました。ブランパンGTワールドチャレンジ・アジアは我々にその機会を与えてくれるはずです」
参戦車両に実績のある既存GT3カーではなく新型のマクラーレン720S GT3を選んだことについて、澤は迷う余地はなかったという。
「マクラーレンは日本で非常に強いブランド力を持っており、(2019年の新車導入の面で)日本の新しいカスタマーとの結びつきに大きく貢献しました。また、かつてクリアウォーター(・レーシング)とマクラーレン650S GT3でAsLMSのタイトルを獲得したことが、今でも僕の心の中で特別な場所を占めています」
「そうしたことから2019年シーズンにどのクルマを使おうかとなったとき、選択肢は最初からひとつしかありませんでした」
マクラーレンがシリーズに加わり、参戦する自動車メーカー数が計7つとなったブランパンGTワールドチャレンジ・アジアは4月6日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで全6ラウンド、合計12戦からなるシリーズの開幕戦を迎える。