現地3月10日に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第3戦メキシコ。3台のトヨタ・ヤリスWRCで臨んだTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がひとつポジションを上げて総合2位となり、トヨタにメキシコで初の表彰台をもたらした。
シーズン初のグラベル(未舗装路)イベントであるラリー・メキシコ、競技最終日はサービスパークを中心にSS19~21の3SS、計60.17kmで争われた。
ポイントリーダーとして今大会に臨んだタナクは、前を走るエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)と2.2秒差の総合3番手で最終日に挑むと、SS19~20と連続でトップタイムを記録し、7.2秒リードで総合2番手に浮上する。
総合首位と24.4秒差で臨んだ最終SS21ではパンクに見舞われてしまいペースを上げられず、6位に終わり逆転優勝こそならなかったものの、総合2位で3戦連続表彰台を達成した。
また2017年からWRCに復帰参戦しているトヨタにとっては、これはラリー・メキシコ初の表彰台獲得となった。
チームメイトのクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は前後とギャップのある総合5番手で競技最終日に臨んだこともあり、ボーナスポイントが獲得できる最終SS21にターゲットを絞り、SS19~20ではタイヤを温存する作戦に出る。
そのSS21では最速だったセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)にわずか0.1秒届かずステージ2位。それでも総合5位に入るとともに、貴重なボーナスポイント4点を持ち帰っている。
競技2日目のマシントラブルで大きく出遅れたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS20を終えた時点で総合7番手につけていたが、ステージ走行中にマシンフロントにダメージを負ってしまう。
そのためSS21に挑む前、ラトバラとコドライバーのミーカ・アンティラはサンプガードの修理を行いタイムをロス。ひとつ順位を落として総合8位でのフィニッシュとなった。
ドライバーズランキングでは総合2位で18ポイントを獲得したタナクが65ポイントで首位をキープ。ランキング2位のオジエとは4ポイント差となっている。そのほかミークは35ポイントでランキング4位、ラトバラは14ポイントでランキング8位だ。
各チームが投じる3台のうち、上位につけた2台の合算ポイントで争われるマニュファクチャラーズタイトルでは、総合2位と5位を獲得したトヨタが28ポイントを上積みし、86ポイントでトップを維持。78ポイントのランキング2位にシトロエン、77ポイントのランキング3位にヒュンダイが続いている。
■トミ・マキネン、大会初表彰台に安堵。「冷却系に問題は起きず、高いパフォーマンスを発揮できた」
「ドライバーにとっても、エンジニアにとっても、そしてメカニックにとっても、非常に厳しいラリーだったが、過去2年間と比べると我々のクルマは大きく進化した」とチーム代表のトミ・マキネンは大会を総括する。
「冷却系に問題は起こらず、高いパフォーマンスも発揮できた。オット(タナク)は初めて選手権リーダーとなり、1番手スタートを初めて経験したが、冷静に対応し、素晴らしい走りをした。彼が置かれた状況を考えると、総合2位は最高の結果だと思うよ」
「クリス(ミーク)とヤリ-マティ(ラトバラ)はアンラッキーな面もあったが、最後まで戦い続け、選手権争いにおいて重要なポイントを獲得してくれた」
3月末に控える第4戦にもポイントリーダーとして臨むタナクは「このラリーはクルマにとっても、タイヤにとっても、そしてクルマの中で戦うドライバーにとっても、非常に過酷なイベントだった。しかし我々はうまくやったと思うし、ミスをすることも、問題に遭うこともなく走り切れてうれしく思う」と喜びを語っている。
「開幕3戦で3回表彰台に立つなど、ここまで良いシーズン序盤戦を過ごしているから、引き続きこの良い流れを保ちたいと思う」
総合5位に入ったミークは「14ポイントを獲得できたからポジティブな結果だといえるだろう。チームにとって、そしてマニュファクチャラー選手権にとって、本当に価値のあるラリーになったと思う」とコメント。
不運が続いたラトバラは「この週末は本当にいろいろなことが起きたので、次のラリーは平穏無事であることを願っている」と述べた。
2019年シーズンの第4戦は3月28~31日にかけて、フランス・コルシカ島で行われるツール・ド・コルス。地中海に浮かぶ島を舞台に争われるシーズン初のターマック(舗装路)イベントだ。
このツール・ド・コルスは険しい山岳地帯が戦いの舞台で、狭く曲がりくねった道が連続することから“1万コーナーのラリー”という異名を持つ。その特徴からドライバーにはミスの許されない精度の高いドライビングが求められる。