第2回F1バルセロナテストを終えて、徐々に新車の実力が明らかになってきた。今回はF1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。第7回目はマクラーレン、ハース、そしてレーシングポイントだ。
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■ハースのチーム戦力
100点満点中80点
■テストでの最速タイム
6番手/10チーム中 1分17秒076(ロマン・グロージャン/C5タイヤ/3月1日午前)
■予想される本来の実力
4番手タイ/10チーム中 1分16秒5(トップとの差+1.0秒)
■マクラーレンのチーム戦力
100点満点中72点
■テストでの最速タイム
5番手/10チーム中 1分16秒913(カルロス・サインツJr./C5タイヤ/3月1日午前)
■予想される本来の実力
8番手/10チーム中 1分16秒9(トップとの差+1.4秒)
■レーシングポイントのチーム戦力
100点満点中75点
■テストでの最速タイム
9番手/10チーム中 1分17秒556(ランス・ストロール/C5タイヤ/2月28日午前)
■予想される本来の実力
6番手/10チーム中 1分16秒7(トップとの差+1.2秒)
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ハース、マクラーレン、レーシングポイント――この3チームの中で、ベストタイムが最も速かったのは、マクラーレンだった。
第2回バルセロナテスト最終日にカルロス・サインツJr.がマークした1分16秒913は、ルノーとトロロッソ・ホンダの1分16秒8に次ぐ好タイムだった。しかし、マクラーレンのこの日のプログラムは、アルファロメオ同様、走り始めからC5(旧ハイパーソフト)タイヤを履いて、ショートランを重ねていた。
途中、C3(旧ソフト)タイヤに履き替えてセットアップを確認して、最後に再びC5タイヤでコースイン。まさに絞り出してマークしたタイムだった。
これに対して、フォース・インディアからチーム名を改名して再出発したレーシングポイントに今年移籍して、チームのベストタイムを刻んだランス・ストロールは、C5タイヤでアタックする前まではC2(旧ミディアム)タイヤとC3タイヤのみで走行。
1分17秒556というタイムは、レーシングポイントとしてC5タイヤで初めてアタックして記録されたタイムだった。サインツがC5タイヤで合計4回アタックして4回目に記録したのと比べると、レーシングポイントはセットアップも十分ではなく、ドライバーもまだ限界で走っていなかった可能性が高い。
ハースのベストタイムを記録したロマン・グロージャンに至っては、C5タイヤを履いたのがアタックする直前だっただけでなく、その数周前まではロングランのメニューをこなしており、C5でのアタックはセッション最後の数回だけだった。
つまり、アタックしていた条件がマクラーレンが最も有利で、次にレーシングポイント、その次がハースだったことから、ハースはまだまだポテンシャルを出しておらず、レーシングポイントにもまだ若干の伸びしろがあると思われる。
■中団チームの中で光る速さを見せるハースF1
タイムアタックしていた条件以外にも、ハースがこの集団の中で断トツで速いことをうかがわせるのは、ロングランペースだ。最終日の午後、ハースはケビン・マグヌッセンがレースシミレーションを行なっていたが、最初のスティントは前日にレースシミレーションを行なっていたレッドブル・ホンダのピエール・ガスリーと遜色のないペースを刻んでいた。
レーシングポイントはハースほど速くないものの、マクラーレンよりは安定したペースで、ハースと同様、2ストップで66周を走りきっていた。これに対して、ショートランに時間をかけすぎていたためか、マクラーレンは第1スティント以外はC2タイヤを履きながら、なんと4回もピットインしてタイヤを交換しなければならなかった。
これはマクラーレンのマシンがタイヤに熱を入れやすいものの、オーバーヒートしやすい悪癖を抱えている可能性がある。もし、そうだとすれば、今後マクラーレンはセットアップを予選よりもレースに振らなければならないことになり、一発の速さという点では、これ以上の伸びは考えにくい。
この3チームの中でQ3進出をかけた戦いができるのがハースで、レーシングポイントはQ2どまり。マクラーレンはアルファロメオ、トロロッソとともにQ2進出を賭けた戦いを演じるのではないかと予想する。