第2回F1バルセロナテストを終えて、徐々に新車の実力が明らかになってきた。今回はF1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。第6回目はウイリアムズだ。
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■ウイリアムズのチーム戦力
100点満点中65点
■テストでの最速タイム
10番手/10チーム中 1分18秒130(ジョージ・ラッセル/C5タイヤ/2月28日午前)
■予想される本来の実力
10番手タイ/10チーム中 1分18秒0(トップとの差+2.5秒)
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名門らしからぬ失態だった。2月18日から始まる2019年シーズン最初のテストに新車が間に合わず、参加を見送ったのである。これまでもテストに参加できなかったというチームはあった。2008年限りでF1から撤退したホンダの後継チームであるブラウンGPは、2009年3月のテストまで走ることができなかった。またこの年はレギュレーションが大幅に変更されたため、新車の製作に手こずるチームが続出。フォース・インディアやトロロッソが新車をシェイクダウンしたのは、3月に入ってからだった。
2009年と同様にレギュレーションが大きく変更された2014年にはロータスが1回目のテストを欠席。2015年にも深刻な財政難に陥っていたフォース・インディアが最初のテストを見送っていた。
しかし、今回テストに間に合わなかったのは、フェラーリ、マクラーレンに次いでF1界で長い歴史があり、80年代から90年代にかけてチャンピオンを獲得した伝統を持つ、名門ウイリアムズだった。
しかも、チームの技術部門を統括しているのは、3年前まで王者メルセデスのトップにいたパディ・ロウ。ただし、ロウはこれまでマクラーレンやメルセデスで潤沢な資金を使って仕事してきたエンジニアだった。ここ数年は予算を大幅に縮小して生き延びているウイリアムズでは、少ない予算でも優れたマシンを作り出すアイディアが必要となるだけに、ロウには環境が違いすぎたのかもしれない。
しかも、2日半遅れで完成したウイリアムズの新車「FW42」は、遅かった。初テストとなった2月20日にステアリングを握ったジョージ・ラッセルのベストタイムは1分25秒625と、トップから8秒遅れ。翌日はラッセルとともにロバート・クビサも走らせたが、ウイリアムズだけが1分20秒を切れずに、最下位のままだった。
2回目のテストに入って、徐々にペースは上がっていったが、ライバル勢もペースを一層上げてきたために、2回目のテストを総合したベストタイムでは最終的に10チーム中、10番目に終わってしまった。
スピード以外にも、問題は残った。テスト最終日は午後のセッションが終了する前に、ガレージにマシンを入れて、テストを切り上げてしまった。ロウによれば、「いくつかのパーツの耐久性に問題が発覚したため、テストを断念しなければならなかった」という。これには、最終日にステアリングを握っていたクビサも「また貴重な一日を失った」とうなだれていた。
また情報ではFIAからフロントサスペンションとミラーに車検違反の指摘を受けたため、開幕戦オーストラリアGPを前に修正を施す必要があるという。果たして、オーストラリアGPまでに間に合うのか。名門チームの底力が問われている。