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ライコネン率いる新生アルファロメオは“ビック3”直下の実力か/F1合同テスト総括(3)

2019年03月09日 13:31  AUTOSPORT web

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アルファロメオ・レーシングのキミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィ
スペイン・バルセロナで行われたF1プレシーズンが終了し、3月15日~17日に開幕するF1オーストラリアGPを待つのみとなった。連日のテストを終え各チームの仕上がり具合が気になるところ。果たして昨シーズンから勢力図は変わるだろうか。今回はピックアップした5チームの展望を紹介していく。第3回はアルファロメオ・レーシングだ。

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 スペイン・バルセロナで行われたF1プレシーズンが終了し、3月15日~17日に開幕するF1オーストラリアGPを待つのみとなった。連日のテストを終え各チームの仕上がり具合が気になるところ。果たして昨シーズンから勢力図は変わるだろうか。全5回に分けて開幕戦へ向けた各チームの展望を紹介していく。第2回はレッドブル・ホンダF1だ。

 フェラーリからザウバーへの移籍を決意したとき、キミ・ライコネンはチームが2019年、この状況になろうということを、すでに知っていたのか?

 フェラーリからの昨季限り放出が濃厚となった当時、ライコネンの去就は注目を集めた。大方の見方は他カテゴリーへの転向、もしくは年齢的にレーシングキャリアからの引退だったが、ライコネンが選んだのはF1デビュー時の古巣ザウバーへの復帰だ。

 2018年シーズンからタイトルスポンサーにアルファロメオを迎え、フェラーリからのサポートも強まり、確かに昇り調子のチーム状況ではあったが、元ワールドチャンピオンが何をいまさらザウバーへ!? 「ただ、レースを楽しみたいんだ」とライコネンは言ったが、2年契約は驚きをもって迎えられた。

 明けて2019年、ザウバーはアルファロメオ・レーシングとチーム名を改称することを発表。1993年のF1参入以来、BMWのワークスチームだった時代にも継承された名前が消滅した。ただチームの筆頭株主はスイスの金融企業で変わらず、“純ワークス”とは言えない体制だが、F1に伝説のアルファロメオの名前が復活する。そのオープニングを飾るドライバーとして、ライコネンは迎え入れられた。

 そして、フェラーリからの主要メンバーの移籍は、ライコネンだけに留まらない。昨年7月、チーフデザイナー職にあったシモーネ・レスタがテクニカルディレクターに就任済みだ。

■ロングスティントで印象的なペースを見せたアルファロメオ

 レスタは5月末でフェラーリを離れると、わずか1カ月ほどで当時のザウバーで仕事を開始した。これは上級エンジニアの移籍としては異例に“空白期間”が短く、前任のテクニカルディレクターが辞めたチームへのフェラーリからの派遣とも採れる。

 そのレスタが初めて新チームでイチからデザイン指揮を執ったのが、2019年アルファロメオの新車C38だ。このクルマの型番だけは、旧ザウバーからの継承がされた。そして外観(=空力面)としては、フェラーリの作風が安易に移植されることなく、前年からの正常進化形となった。レスタの専門はメカニカルデザインであり、“革新”があったとすればカウルのなかだ。


 C38は開幕前のテスト期間中のベストタイムとしては中団辺りであり、派手なパフォーマンスランの披露こそなかった。だが、ロングスティントでは印象的なペースを刻んでいた。評価として、開幕時点でフェラーリ、メルセデス、レッドブルの“ビッグ3”の次に来るチームなのではないかとの説も上る。

 ライコネンのパートナーには育成ドライバーのアントニオ・ジョビナッツィが起用され、このことからもフェラーリの影響力が強まり、本格的なセカントチーム化が進行していることは判る。

 マシンのハンドリングに繊細で、フェラーリ時代にも注文の多かったライコネンがオフのテスト期間を通じ、終始C38には前向きのコメントを残していたのも見逃せない。F1にビッグネーム復活のインパクトだけではなく、アルファロメオは何かをやってのけるだけの材料をそろえている。