2019年シーズンのMotoGPが、3月8日、カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで幕を開けた。2回のフリー走行を終え、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がレコードを更新するタイムで総合トップ。幸先よく開幕戦の初日を締めくくった。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は初日総合12番手。コンスタントにタイムを縮めている。
■フリー走行1回目:ロッシが最後のアタックでトップ奪取
MotoGPクラスのフリー走行1回目は、現地時間15時40分から45分間にわたり、気温26度、路面温度29度のドライコンディションのもと、行われた。開幕戦はレギュラーライダーの22名に加え、2019年からアプリリアのテストライダーに就任したブラッドリー・スミス(アプリリア・ファクトリー・レーシング)がワイルドカードでエントリーしている。
フリー走行1回目で、まずトップに立ったのはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)だった。3周目で1分55秒667を記録。いきなり2番手以下に1.5秒以上のタイム差をつける。
マルケスに追随したのが、今季からマルケスのチームメイトとなったホルヘ・ロレンソで、1分55秒960をマーク。フリー走行1回目の開始早々、レプソル・ホンダ・チームのふたりが上位につける。
セッション残り時間20分を切るころ、ダニロ・ペトルッチ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)がマルケスのトップタイムに迫る1分55秒267をマーク。序盤からつけていた2番手のポジションをキープする。
セッション終盤になると、各ライダーがタイムを短縮し始め、残り時間3分を切ってロレンソが1分55秒127をマークしトップに浮上。ここまでトップをキープしていたマルケスから1番手の座を奪取する。
このままロレンソがトップでセッションを終えるかと思われたが、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が最終盤のアタックで1分55秒048を叩き出すと、一気にトップへ浮上。ロッシはこのままフリー走行1回目を制した。
ロッシはセッション中盤までトップ10圏外だったが、終盤になるにつれコンスタントにタイムを更新し、最後にはトップタイムで、開幕戦最初のセッションを締めくくった。
2番手にはロレンソ、3番手にはマルケスのレプソル・ホンダ・チームふたりが続き、ミッション・ウィノウ・ドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾはセッションを通じて5番手付近につけていたが、最終的には4番手。チームメイトのペトルッチは5番手に続いている。
最高峰クラス参戦2年目の中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は、一時は6番手につけるなど上位に食い込み、最終的にはトップから約0.5秒差の10番手でフリー走行1回目を終えた。
フリー走行1回目は1秒以内に17名のライダーがひしめく、混戦となった。
■フリー走行2回目:マルケス、レコードを上回るタイムで最速
陽が沈んだ時間帯に始まったMotoGPクラスのフリー走行2回目は、フリー走行1回目に比べ気温、路面温度ともに下がり、気温21度、路面温度21度のドライコンディション。当初は現地時間20時からスタート予定だったが、Moto2クラスのフリー走行2回目に起こったクラッシュによりトラックコンディションが万全ではなく、スタートディレイとなった。
フリー走行2回目は予定よりも5分遅れで始まった。フリー走行1回目同様に、開始早々、マルケスが1分54秒868をマークしてトップにつける。マルケスはフリー走行1回目でバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が記録したトップタイム、1分55秒048をいきなり更新した。
その後、ペトルッチが5周目でマルケスのタイムを上回るが、マルケスがすぐさまタイムを更新。トップの座を譲らない。
開始20分を過ぎるころにはトップのマルケス、ペトルッチ、そして3番手のマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)からファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)、ドヴィツィオーゾまでが1分54秒台のタイムを記録。セッション中盤には中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)も1分54秒887のタイムをマーク。4番手に浮上する。
さらに残り15分を切って、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)がトップに浮上。この日初めて、スズキがトップを奪った。カル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が相次いでタイムを更新し、続いてジャック・ミラー(アルマ・プラマック・レーシング)が1分54秒394を叩き出す。ミラーはミルがマークしたタイムを上回り、トップに立った。
セッションも終盤に突入し、残り時間10分。このセッション中、1コーナーでクラッシュを喫したフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)がミラーのタイムを更新。そのモルビデリのタイムをドヴィツィオーゾがわずか0.019秒短縮し、ドヴィツィオーゾがタイミングモニターの最上位につけるなど、目まぐるしくトップが入れ替わる。
激しいタイム更新合戦が繰り広げられるなか、ドヴィツィオーゾのタイムをさらに上回ったのが、ビニャーレス、そしてマルケスだった。マルケスは1分53秒380のタイムを叩き出すと、トップを奪還。マルケスがマークしたこのタイムは、2018年にヨハン・ザルコが記録したオールタイム・ラップ・レコード、1分53秒680を更新するものだった。
マルケスはそのままトップを守り、フリー走行2回目を最速で終え、同時に初日総合をトップで締めくくった。
2番手に続いたのはビニャーレス、3番手にはドゥカティのサテライトチームのミラーが続き、4番手にペトルッチ、5番手にMotoGPクラスルーキーであり、ヤマハのサテライトチームのクアルタラロが入っている。フリー走行1回目でトップだったロッシは17番手、ロレンソは11番手だった。また、一時、4番手につけた中上は最終的に12番手でフリー走行2回目を終えている。
MotoGPクラスのフリー走行3回目は、3月9日、日本時間21時15分よりスタート。予選Q2へのダイレクト進出をかけた、激しいタイムアタックが予想される。