映画『カメラを止めるな!』が、本日3月8日の日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』で放送される。
『カメラを止めるな!』は、俳優映画監督養成スクールのENBUゼミナールによる企画『シネマプロジェクト』の第7弾。とある山奥の廃墟で撮影されたゾンビ映画を巡る物語で、劇中には約37分間におよぶワンシーン・ワンカットの映像が使用されている。メガホンを取ったのは、同作が長編デビュー作となる上田慎一郎。東京2館での公開から全国300館以上に拡大上映され、興行収入30億円を超えるヒットを記録した。
■さんざん驚かれたサクセスストーリー。だが、もっと驚かれるべき。
驚きのサクセスストーリーだった。超低予算で製作されたほぼ無名キャストたちによる新人監督の長編作品が、その年の邦画興行収入で上位に食い込み、『日本アカデミー賞』各部門で優秀賞も受賞する。そんな荒唐無稽な夢物語が現代日本で実際に起こったというのは、これまでもさんざん驚かれていることだが、もっと驚かれてもいいことだ。きわめつけが、地上波プライムタイムでの全国放送である。
■『金曜ロードSHOW!』で昨年放送された実写邦画は40本中9本だけ
たとえば今回放送される『金曜ロードSHOW!』。30年以上続くこの放送枠は普段映画を進んで観ない層にもよく見られるし、SNSでも時折バズを生み出している。地上波テレビの視聴率低下している現在だが、お茶の間への影響力はいまだ健在だ。
その『金曜ロードSHOW!』で2018年に放送された映画は40本。うち23本が邦画だが、スタジオ・ジブリや細田守監督作品、劇場版『名探偵コナン』などのアニメ映画が過半数以上を占め、実写の邦画は9本(『DESTINY 鎌倉ものがたり』『謝罪の王様』『斉木楠雄のψ難』『海賊とよばれた男』『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』『るろうに剣心 伝説の最期編』『るろうに剣心 京都大火編』『ちはやふる-下の句-』『ちはやふる-上の句-』)。
『ちはやふる』『るろうに剣心』はそれぞれ2本ずつ放送されているので、作品タイトルとしては7本とすることもできる。今年の同番組の放送スケジュールが今後どうなるのかわからないが、実写の邦画が『金曜ロードSHOW!』で放送される機会は、それほど多くはないのだ。その1本として、大半の民放ドラマ1話分の製作費にも満たないであろう、約300万円ともいわれる低予算で作られた『カメラを止めるな!』が放送される。これはやはり、驚くべきことだ。
■あの人は誰?」が増殖する。新鮮な驚きを生む無名キャスト陣
そうした驚くべきサクセスストーリーが実現した理由については、これまでも多く分析されてきたが、この記事ではキャスト陣のフレッシュさにその理由を求めたい。出演者たちがほぼ無名だったからこそ生み出せた、なにか新しいものに触れたときのみずみずしい感覚。「こんなに個性的な役者がいたんだ」という発見。それがこの作品の持つ「驚き」の源泉の1つであることは間違いない。そして地上波放送によって、そんな「あの人は誰?」が日本全国でさらに増殖するのは確実だろう。
■冒頭約40分間ノーカット。監督&キャストの副音声解説も
なお『金曜ロードSHOW!』では、本編がノーカットで放送されるほか、冒頭約40分間はCMなしで放送予定。加えて副音声では上田慎一郎監督とキャスト陣による映画解説を生中継する。