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『3年A組』『中学聖日記』でクラスのお調子者キャラを好演 若林時英、今後の飛躍に期待大!

2019年03月08日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 全く続きの読めない怒涛の展開で最終回まできてしまった『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系、以下『3年A組』)。これまで物語の各回のキーマンとなった生徒、そして彼らを演じていた役者たちが何人も話題に上がってきた。そんな今注目の若手俳優たちがひしめくなか、最近の学園モノ作品でよく顔を見せ、存在感を着々と残してきている役者がいる。3年A組の人質となった生徒たちの中で一際明るくひょうきんなキャラクター・兵頭新を演じる若林時英だ。


 第9話の冒頭で亡き一颯(菅田将暉)の三回忌に集まった元生徒たちの暗い表情を、持ち前の明るさでほぐしていた兵頭。悲しい空気になりそうな場所でも、明るいテンションの兵頭の姿に、教室中の雰囲気が和らいで見えた。兵頭のお調子者な一面は、公式YouTubeチャンネルで公開されていた生徒たちの日常を描いた前日譚でも伺える。人質になる7日前の様子が収められた「#26 居眠りしてません!」で兵頭は奇妙な動きを見せて女子生徒たちを笑わせ、3日前の「♯28 アクション映画を撮ってみよう!」では、クラスメイトとの他愛もないじゃれ合いを見せていた。若林の無邪気な笑顔が印象的で、彼らが人質にとられるなど知る由もない日常生活が強調されていた。


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 兵頭を演じる若林は子役から実力をメキメキとつけてきた俳優のひとりだ。12歳で芸能事務所に所属すると、蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』に出演。その後、映画『ソロモンの偽証』やドラマ『代償』(Hulu)など数々の作品に出演し続けている。なお、今作には若林同様に『ソロモンの偽証』に出演した望月歩、富田望生が出演。同級生の転落死の謎を校内裁判で追求しようとする中学生たちを描いた作品で、同じく学校を舞台にした『3年A組』での再共演は話題となった。


 若林は、昨年から立て続けに学園モノに出演。中学教師と教え子の恋愛というセンセーショナルな内容で話題になったドラマ『中学聖日記』(TBS系)では、有村架純演じる末永聖に恋をする黒岩晶(岡田健史)の幼馴染・九重順一郎を好演した。若林が、まだまだ子どもな中学生をやんちゃに演じたことで、10歳年上の女性に恋する同級生の黒岩の精神的に未熟な一面が引き出されていた。若林が見せる屈託のない笑顔に、自らの青春を思い起こさせられた視聴者も多かったはずだ。


 また、本作で若林は、黒岩の理解者として、彼の複雑な心境に寄り添う姿も演じきった。
聖を思う黒岩に真正面から「黒岩を尊敬する」と言葉をかけた九重。若林は、九重の朗らかなキャラクターはそのままに、黒岩に対する嘘偽りのない気持ちを、はっきりと発することで表現していた。


 さらに、ドラマ放送と映画が公開された『覚悟はいいかそこの女子。』では、いじられキャラな久瀬龍生役に。幼いころから女子に囲まれてきたイケメン主人公・斗和(中川大志)たちとつるみ、男子同士ではしゃぐシーンが多い久瀬の存在が、斗和も彼らと同じ普通の男子生徒なのだと気づかせてくれた。主人公のキャラクターが浮世離れせずに済むのは、若林の飾らない溌剌とした演技によるものかもしれない。


 読者モデルとして活動する諏訪唯月(今田美桜)や、クラスのリーダー的存在・甲斐隼人(片寄涼太)など、クラスメイトの中で一目置かれた存在以外にも、個性的な生徒一人一人を演じた役者が注目されるきっかけとなった本作。若林もまた、この作品で改めて存在感を示した一人だろう。若林は、シリアスな内容にほっと一息つける空間を生み出してくれる存在でもあった。今後のドラマでも、その魅力が発揮されることに期待したい。


(片山香帆)