STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の強豪で、2018年にはセアト・ディーラーチームとして初のチームタイトルを獲得したPWRレーシングが、2019年のWTCR世界ツーリングカー・カップにステップアップすることを発表。クプラ・レーシングのバックアップを受ける2番目のチームとして、セアト・クプラTCRの2台体制で戦うことが決まった。
PWRレーシングは北欧で長い歴史を持つツーリングカー・シリーズでは新興チームとして活躍し、同選手権がTCR規定を採用した2017年にはロバート・ダールグレンを擁して初のドライバーズチャンピオンを獲得。
2018年はそのダールグレンと、ドライバー兼チーム代表のダニエル・ハグロフがともにランキング2位、3位に入り、ルーキーのフィリップ・モーリン、そして女性初のSTCCウイナーに輝いたミカエラ-アーリン・コチュリンスキーの所属ドライバー全員がレースで勝利を挙げるなど、実力派チームとして活躍を演じてきた。
その実績を引っ提げ、PWRレーシングは2019年に満を持して世界戦に昇格を果たし、2019年はComtoyou Racingと並んで2台のクプラTCRを走らせることが決まった。
クプラ・レーシング代表のジェイミー・プイグが明かしたこの発表により、2019年から施行される“マニュファクチャラーにつき最大参戦上限4台”という規定の制限枠が埋まるため、2018年はクプラでシリーズを戦ったカンポス・レーシングのWTCR離脱も明らかとなった。
「クプラ・レーシングは今後も世界中のTCRシリーズに積極的関与を続けていきます。これは我々の基準となるシリーズであり、TCR規定はクプラとともに成長してきた、と言っても過言ではないからです」と、シリーズの技術規定策定に協力した実績のあるクプラ・レーシング代表のプイグ。
「現在のWTCRには多額の資金を投じているマニュファクチャラーもありますが、我々にできるのはComtoyou RacingとPWRレーシングのふたつの有力チームを支援することだけです」と続けたプイグ。
「クプラの精神は彼らとともにあります。彼らはファクトリーチームではありませんし(TCR各シリーズはワークスチームの参戦を禁じている)、それぞれにパートナーやスポンサーを見つけてこなくてはなりません」
「Comtoyouはトム・コロネル、オーレリアン・パニスともに彼ら個人のスポンサーカラーのマシンで走ることになります。それは、今後発表されるPWRのふたりのドライバーにも同じ条件が当てはまるでしょう」
ハグロフとともにPWRレーシングの共同創設者であるピーター・“ポーカー”・ウォーレンバーグは、このWTCR昇格は「チームにとって重要な、大きなステップになる」と語った。
「我々はTCR規定採用前夜の2016年に、TTA規定のレオン・クーペでセアトの公式パートナーチームに就任した。そして今、国際的シリーズの舞台でセアトのスポーツブランドであるクプラ・レーシングの一員として戦うチャンスを得たことは、過去数シーズンにわたる我々への信頼の証であり、チームメンバー全員の素晴らしい成果だ」と、元レーシングドライバーのウォーレンバーグ。
まだWTCRに挑むドライバー陣は確定していないが、チームはこれまでの伝統に従い、実績あるエースと若い才能の組み合わせになる、としている。
「そう、それがPWRレーシングの基本姿勢だ。チームは2012年の創設以来、若い才能を発掘し才能を伸ばすことにフォーカスして彼らをモータースポーツシーンに送り出してきた。WTCRのラインアップもその精神を反映したものになり、もう間もなくアナウンスできるはずだ」
2018年にSTCCでクプラTCRのステアリングを握った4名のうち、ルーキーのモーリンは2018年限りでの引退を表明。ダールグレン、コチュリンスキーの両名はすでにSTCCへの参戦継続をアナウンスしており、この事実からチーム共同オーナーのハグロフがWTCRデビューに向けたエース候補として有力視されている。
「チームはその創設以来、急速なスピードで発展を遂げてきた。そしてついに国際的シリーズの門を叩く位置にまで到達した」と喜びを語るハグロフ。
「これはPWRレーシングの実力を世界最高峰の舞台で実証する最高の機会だ。本当にワクワクしているし、このハイレベルなシリーズでブランドを代表して戦うチャンスをくれたクプラ・レーシングにも心から感謝しているよ」