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『3年A組』福原遥、菅田将暉との共演で見せた迫真の演技 “まいんちゃん”から更なるステップアップ

2019年03月07日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 菅田将暉主演の話題のドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)に水越涼音役で出演中の福原遥。子役時代に子ども向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(NHK・Eテレ、2009年~2013年放送)の主人公“まいんちゃん”として人気を博し、その後は戦隊モノから『プリキュア』シリーズの声優、映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』など徐々に活動の幅を広げ、今年は『3年A組』出演に続き、人気少女漫画原作の映画『4月の君、スピカ。』の主演や、ドラマで人気を博した『賭ケグルイ』の映画版など話題作が控え、20歳となった福原はさらに「女優」としてステップアップを遂げている。


参考:福原遥が見せた迫真の演技


 『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』の柊まいん役で、同世代の子どもやその親世代など幅広い年齢層から人気があり、まさに国民的アイドル子役であった福原。そこからローティーン向けファッション雑誌『ピチレモン』の専属モデルを経て、『プリキュア』シリーズなどの声優としても活躍、子役アイドルの王道を歩んでいた彼女。ただ福原の優れていた点は、子役時代のピュアさを保ちつつ、確かな演技力と年相当な大人っぽさを備え、今現在、女優業としても数多く活躍する。


 連続ドラマ初主演となった『グッドモーニング・コール』(フジテレビオンデマンド/Netflix・2016年)では、明るくて元気でピュアという、福原の国民的アイドルイメージをそのままを女子高生に置き換えたような役柄なので、自然に溶け込んでいた。ただキスシーンが何度もあったことで、ショックを受けるまいんちゃんファンが続出。“みんなの妹”から卒業をした作品と見ることもできよう。


 新たな一面を見せたと話題となったのが『レンタル救世主』(日本テレビ・2016年)。当初はイケイケな女子高生グループのリーダー的存在でいじめっ子キャラだったが、後に自分に自信がなく虚勢を張っていることが判明。一生懸命で愛らしい役柄だった。顔を作りながら慣れないラップを疲労したり、胸にタオルをつめてEカップバストを揺らしながら登場するというシーンには、あの清純派のまいんちゃんがここまで吹っ切れた役を演じるのかと、Twitterでトレンド入りするなどネット上では絶賛と驚愕の嵐となった。映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年)での自分よがりのアイドル系ダンスを披露する役も、福原の愛らしさを生かしたもので、世間がイメージする彼女のキャラのデフォルメであり、延長線上にある役柄を演じることが多い。顔芸も辞さない表情の変化が実に繊細で、少女漫画に出てくるようなピュアで面白いキャラクターがハマっている。


 中でも傑作だったのが、『ふたりモノローグ』(AbemaTV・2017年)で演じた、小学校時代は明るく人気者だったが、地味でネクラになってしまった高校生・麻積村ひなた役。金髪ギャルに愛情を持って挨拶されても、カツアゲされるのではないかと怯えたり、好意がゆえに見つめられるのを、恨みをもって睨まれていると思ったりと、愛情を全て否定的に捉えオドオドする女子高生役の演技が絶妙で、コメディエンヌとしての才能を抜群に発揮させていた。


 しかし『3年A組』では、「敵に回すと一番の厄介」という恋愛体質系女子の元水泳部員・水越涼音役を演じ、今までとは一味違う少しダークな女子高生を演じている。水泳部員・景山澪奈(上白石萌歌)の自殺の真相を知るために、人質として監禁されている3年A組のひとり。特にTwitterでトレンド入りするなど、福原の号泣の演技が話題となったのが第6話。


 福原演じる涼音は、水泳部の顧問に理不尽に退部させられた過去があり、その顧問が澪奈自殺に関わるフェイク動画の黒幕だと決めつけ、告発動画を撮影しネット上に投稿しようと計画。しかし退部させられたのは、涼音のためを思った別の真相があったことで、顧問も黒幕でないことが判明。投稿も未然に阻止されており、「良かったぁ……」と囁くも、その言葉に菅田将暉演じる柊一颯(偶然にも柊まいんと同じ名字)が激昂し、「何が良かったんだよ?」と一喝。動画が投稿されていたらどんなことになっていたかを凄まじい剣幕で激しく叱責する。その菅田の鬼気迫る迫真の演技に、福原は、顔をクシャクシャにして怯え、体が自然と震え涙が溢れ出てくる。もはや演技というより“ガチ泣き”と思うほど、追い詰められた人間の自然なリアクションをみせた。


 子役上がりの俳優は、昔のイメージに縛られ苦労することが多いが、福原は役を自分に引き寄せて演じることができ、昔のイメージを生かしたり発展させたりして、輝くことが可能だ。そして、今回の『3年A組』では、役の中に入り込んでいく演技ができることも証明した。子役からの長年のキャリアと声優としても活躍している福原なだけに、今まであえて出していなかった引き出しなのかもしれないが、スター性と演技派、その両方を兼ね備えた女優として今後の活躍が期待される。これから公開される、映画『4月の君、スピカ。』の主演や、過激なリアクションと顔芸が炸裂するドラマ『賭ケグルイ』の映画版オリジナルキャラなど、物語のテンションは違えど、漫画に登場する女子高生キャラを演じさせればトップクラスの存在感を見せる福原。今度どんな演技を見せるのか、注目の存在となるだろう。 (文=本 手)