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名門・日比谷高校が定員割れで「二次募集」、一体なぜ? 「学芸大附属の大量追加合格」が影響か

2019年03月05日 18:30  キャリコネニュース

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都立日比谷高校が3月4日、二次募集を行うと発表し話題を呼んでいる。高校公式サイトによると、2月下旬に行われた一般入試の定員は男子が133人、女子が121人の合計254人。受験者は男子258人、女子223人で、倍率は全体で1.89倍だった。【関連記事】「日比谷高校の二次募集『34.2倍』と驚愕の高倍率 共通問題使用で熾烈な争いになる見込み」

このうち、合格者は男子が142人、女子が128人と定員を超えたが、入学手続きをしたのは合計249人と定員を5人下回った。東京都教育委員会によると、日比谷高校で二次募集が行われるのは、学校ごとに合格者を出す「単独選抜」が始まった1994年以降初めてだという。

日比谷高校は、偏差値・人気共に高く、昨年度は東大に48人の合格者(現役生33人、既卒生15人)を出している。名門の定員割れに、ネットでは動揺する人も多い。

なぜこうした事態が起きたのか。Z会進学教室の高校受験担当者は、「学芸大附属高校が多くの繰り上げ合格を出した影響では」と分析する。

学芸大附属の追加合格者は100人以上に上る可能性


学芸大附属は定員が106人。昨年は、辞退者が出ることを見込んで300人程度の合格者を出していた。しかし、今年は事前の説明会で「辞退者分の合格は出さない」と担当者が語り、実際に160人しか合格者を出さなかったという。

同校サイトの入学辞退に関する記載でも、「『入学手続き完了後、保護者の転勤にともなう転居等』のやむを得ない事情が生じた場合以外、他校の合格等の理由による入学辞退があることは、本校としては考えておりません」としていた。

しかし、蓋を開けてみると辞退者数は想定より多くなった。2月27日の神奈川県公立入試の発表や3月1日の都立高校の発表を受け、学芸大付属と公立高校の両方に合格した人が公立高校に流れたためだ。

学芸大付属の入学手続きは2月22日に締め切っているため、入学者を増やすには、繰り上げ合格を出す必要がある。

「(学芸大附属は)かなりの数の追加合格を出しました。『追加合格をもらった』と話す生徒の数を考えると、正規合格者と同等、もしくはそれ以上出している可能性があります」

学芸大付属の募集要項を見ると、繰り上げ合格は3月2日までに全て通知が完了するとある。都立高校の入学手続きの締切は4日だ。つまり、「日比谷高校の一次募集に合格し、学芸大附属の繰り上げ合格を貰った人」が4日までに、学芸大付属に流れてしまった可能性がある。

受験生の気持ちを考えると二次募集は「困ったことになった」

学芸大付属と日比谷高校を併願する人は多いという。2校で迷い、最終的に学芸大付属を選んだ生徒が例年より多かったために、定員割れが起きたようだ。

「日比谷高校は、昨年は男子で12人、女子で7人多く合格者が出ました。このうち男子は7人、女子は5人が辞退しましたが、それでも定員は満たしました。今年は男子9人、女子7人多く合格を出していますが、男子は2人、女子は3人、定員に足りませんでした」

Z会の担当者は二次募集を知った時、「困ったことになった」と感じたという。

「3月1日の合否発表で日比谷高校が不合格だった生徒は、残念だったけれど、私立に行って前向きに頑張ろうと気持ちを切り替えた。しかし二次募集があるとなれば受けたいでしょうし、受けると思います。とはいえ二次募集は5人と枠も少ない。そうした子たちの多くが2回落ちることになります。これが生徒たちにとって良いことかどうか……」

都立高校の二次募集は3月6日に願書が締め切られ、11日に学力検査が行われる。合格発表は15日を予定している。