2月28日に発表されたフォーミュラ・ワン・グループの財政報告書によると、2018年度のF1は4400万ドル(約49億2000万円)の増収となり、合計では18億2700万ドル(約2044億7000万円)の収益を上げた。しかしながら支出の増加により6800万ドル(約76億円)の営業損失が発生しており、全体的には2年連続で減収となっている。
またレース宣伝料、放映料、広告とスポンサー料からなる“F1基本収益”における増収は600万ドル(約6億7000万円)にとどまった。
増収分の残り3800万ドル(約42億5000万円)は、「物流収益、デジタルメディアとテレビ制作関連収益、各種ファン向けイベントからの増収益、サポートシリーズであるFIA-F2およびGP3向けのスペアパーツ販売による増収益」といった様々な項目から成り立っている。
F1の10チームへの収益金配当額も、2年連続で減少しており、2017年の9億1900万ドル(約1027億8000万円)から2018年は9億1300万ドル(約1021億1000万円)へと下落している。
さらに、F1は2017年の20戦と比較して、2018年は21戦が開催されたにも関わらず、レースイベントの収益は横ばいだった。
「2018年のレース宣伝からの収益は、F1カレンダーの変化による影響を受けた。2018年のマレーシアGP脱落の影響は、フランスGPとドイツGPのふたつのヨーロッパラウンドの復帰があっても完全に補うことができなかった」とフォーミュラ・ワン・グループは報告書で述べている。
F1テレビ放映からの収益も、2017年の数字と同レベルだ。
「放映権料からの収益は2018年全体で基本的に横ばいだった。契約率の増大と有利な外国為替動向は、業績が悪化した放映権ブローカーとの契約が一件、早期に終了したことによって相殺された」
F1は広告収入とスポンサー料による収益向上を目指していたが、2018年には期待された数字には達しなかった。
リバティ・メディアの投資戦略にいくつか関係しているCEOのチェイス・キャリーは、F1において全体的な減収が続いているにも関わらず、将来について強気の姿勢を見せている。
「この2年で我々はビジネスに膨大な投資を行なってきている。その結果はレース観戦者の増加と、すべてのメディア基盤によってファンが増えたことで示されている」とキャリーは語った。
「これによって2019年は力強い勢いが生まれるだろう」
「オフシーズンから今現在までに、我々はアゼルバイジャンとのレース開催契約を延長し、Sky Deutschlandとの放映権契約を更新した。また、新たなスポンサーとの契約を締結している」
「F1 TVは独占コンテンツを番組に追加しており、プレシーズンテストの生放送と毎日の解説番組を提供している。また、F1が制作したミハエル・シューマッハーについての新たなドキュメンタリー番組も製作予定だ」
「さらにコンテンツについては、F1のNetflixシリーズである『Formula 1: Drive to Survive』の3月8日の公開が待たれているところだ」
『Formula 1: Drive to Survive』は、2018年シーズンの全戦を振り返る新たなドキュメンタリー番組。全10回のシリーズとなっており日本では『Formula 1: 栄光のグランプリ』として日本語字幕付きで公開される予定だ。