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『グッドワイフ』小泉孝太郎、キーマンとしての演技も好評 “日曜劇場の常連”で役の幅広げる

2019年03月03日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 日曜劇場『グッドワイフ』(TBS系)で、弁護士・多田征大役を演じている小泉孝太郎。同枠には『下町ロケット』『ブラックペアン』に続く出演で、今や“日曜劇場の常連”のひとりとなった。


【写真】壮一郎(唐沢寿明)と対峙する多田(小泉孝太郎)


 小泉といえば、元内閣総理大臣・小泉純一郎の長男であることは周知の事実。ハンサムな顔に、細身の背格好、さらには滲み出る品の良さで、2002年に役者人生をスタートさせてから、長きに渡り“爽やかな好青年”というイメージが強かった。


■『下町ロケット』


 そんな小泉のイメージを覆したのが、2015年に放送された『下町ロケット』。小泉は、同作の後半パート「ガウディ計画編」に出演し、自身初のヒール役に挑んだ。演じたのは、佃製作所社長・佃航平(阿部寛)のライバル企業であるサヤマ製作所社長・椎名直之役。卑怯なやり口で、すべてを手に入れようとする椎名に、嫌悪感を示す視聴者が続出。それは、役者としては誉むべきことであり、小泉にとって大きなターニングポイントとなった。


■『ブラックペアン』


 2018年には、『ブラックペアン』で二宮和也扮する天才外科医・渡海征司郎と対立する新任講師・高階権太役を熱演。物語開始当初は、多くの患者の命を救うために、誰でも安全に高度な手術を行うことができる医療機器「スナイプ」の導入を目指しているかのように見えた高階。だが、研究者としての評価につながる“インパクトファクター”を上げたいだけというブラックな一面が飛び出したり、かと思えば、ライバルであるはずの渡海に協力したり……。小泉は、時に視聴者をイラつかせながら、悪なのか正義なのかが掴めない、多面性のある役柄を演じ切った。


■『グッドワイフ』


 そして現在、小泉は『グッドワイフ』で、またもや視聴者を惑わせている。演じているのは、主人公・蓮見杏子(常盤貴子)の同期弁護士・多田征大。杏子の夫・壮一郎(唐沢寿明)のスキャンダルを機に、彼女を弁護士へと復帰させたキーマンだ。司法修習時代から杏子に惹かれていたが、司法修習を首席で卒業した杏子に対して「俺がどうこうするより、幸せになると思った」と想いを伝えずにいたという多田。しかし現実の杏子は、夫のスキャンダルに疲弊する日々。多田は、そんな彼女にますます思いを募らせていく。


 第3話では、壮一郎の一件に涙する杏子を「もう、別の未来を行けばいい」と抱きしめ、第6話では電話越しに「ずっと好きだった。司法修士の頃からずっと」とついに告白(実際は電話口に壮一郎がおり、着信履歴ごと告白の事実を消されてしまうのだが)。杏子を見守る目は得も言われぬ愛情に満ちた多田だが、かたや壮一郎に向ける目は厳しい。「(杏子が)泣いていましたよ、僕の前で」と挑発し、「僕にはあなたが彼女を幸せにできるとは思えない」と。温かな顔があるから一層、この冷徹さにしびれてしまう。


 なにかと騒々しい壮一郎より、自分のことを一途に愛してくれる多田先生にしちゃえばいいのに……とついつい肩入れしてしまうが、一方で多田の“情報提供者説”や“黒幕説”まで飛び出すなど、SNSは大いに賑わっている。恐らくそれは、小泉が“良い人”から“信じ切れない人”へとイメージを広げたからこそ。どことなく漂う怪しさは、視聴者を物語に引き込むうえで欠かせない香りであり、小泉はその体現者になったと言えるだろう。


 二世と呼ばれる俳優、とりわけ家柄までも明らかであれば、イメージが先行して新たなキャラクター像を作り上げるのは難しい。だが、“爽やか・上品”といった印象を反動にすることで、ダークな役柄まで大きく幅を広げた小泉。多田の本性はさることながら、その先にも、まだまだ私たちの知らない顔を見せてくれるに違いない。


(nakamura omame)