3月23日と24日にテレビ東京で放送されるドラマ『二つの祖国』の追加キャストが発表。あわせてポスタービジュアルが公開された。
山崎豊子の同名小説を映像化した『二つの祖国』は、1900年代と第二次世界大戦前、戦中、戦後のアメリカと日本を舞台に、歴史に翻弄されながら激動の時代を生き抜いた日系アメリカ人2世たちの姿を描いた青春群像劇。アメリカ・ロサンゼルスの日本語新聞の記者・天羽賢治役を小栗旬、アメリカで成功するため日本人であることを捨て去ろうとするチャーリー田宮役をムロツヨシが演じる。
新たに出演が発表されたのは、仲村トオル、田中哲司、柄本佑、甲本雅裕、リリー・フランキー、中村雅俊、余貴美子、泉谷しげる。
仲村は加州新報社長・松井竹虎役、田中は日本語学校の主任教官・オーソン相川役、柄本はマンザナー収容所でチャーリーたちプロアメリカンと敵対するプロジャパンのリーダー・池島努役、甲本は広島日赤病院の医師・倉石隆信役、リリー・フランキーは元総理大臣・広田弘毅役、中村は国際法学者・横山喜三郎役、余は賢治の父・天羽乙七の姉・天羽鷹役、泉谷は仲里依紗演じる天羽エミーの実父・畑中万作役をそれぞれ演じる。今後も追加出演者の発表を予定。
ポスタービジュアルには、賢治をはじめ、チャーリー、天羽エミー、多部未華子演じる賢治の同僚・井本梛子、高良健吾演じる天羽忠、新田真剣佑演じる天羽勇らの姿が写し出されている。
■田淵俊彦(テレビ東京)プロデューサーのコメント
作品の「覚悟」に乗ってくれた8人の猛者
今回発表する8人の俳優の皆さんは圧倒的な存在感を誇る方々ばかりで、「その方にお願いする意味」が明確にあり、作品の意義や山崎豊子作品というスケールに共感してくれた猛者たちである。中村雅俊さんと仲村トオルさんは、時代は違うがどちらも青春ドラマを牽引してきた大ベテランである。今回の青春群像劇を彩るには必要不可欠だと考えた。横山教授という敗戦国の学者でありながらアメリカに対して思うところを押し殺し、賢治に接する懐の深さを表現できるのは中村雅俊しかいないと思っていた。松井社長という賢治の人格のベースとなる思想を創り上げるまっすぐな情熱というものを表現できるのは仲村トオルだと直感していた。柄本佑さんはビシッと芯の通った俳優だ。私はドキュメンタリーで一緒にミャンマーに旅をしてそれを身に染みて知っている。池島の「かたくなさ」を「人間の負の部分」としてではない表現として見せられるのは柄本佑だと確信していた。甲本雅裕さんや田中哲司さんはバイプレイヤーとしてあらゆる作品に引っ張りだこだが、今回のように「表向き=建前」⇔「心の中=本音」を演技で表現することが出来る稀有な俳優だ。倉石医師も横山教授と同じようにアメリカには思うところがある。それを医師という「職業」の仮面に隠す甲本雅裕の演技を見たいと思った。オーソン相川はアメリカ人社会で成功した日系二世としての誇りを強く持っている人物だ。「きみも私のように振舞えば成功する」と賢治を揺さぶってくる。その賢治との心理戦での田中哲司は圧巻に違いないと感じていた。余貴美子さんは強い女性の役が秀逸だ。しかし強いだけではない。情けや温かさといった「温情」が上手い。鷹には余貴美子しか思い浮かばなかった。泉谷しげるさんの演技には「愛」がある。表面的ではない「下町的な」深さというか、心に訴えかける強さだ。だが万作は一癖も二癖もある父親。愛情の裏返しがどんな感じになるのか、泉谷しげる節を期待した。リリー・フランキーさんはご存知の通り、強烈なキャラクターの役が多い。しかし今回の広田弘毅は殆ど喋らない。寡黙で表情一つで気持ちを表現する役だ。本来、リリー・フランキーとはそのような表現者ではないのか。私は常々そう思っていた。
皆さん、主役級の方々ばかりであるが、今回のキャスティングの妙は、以上のようにそれぞれの俳優にこの役をやってもらう適材適所の意味があり、それらを十分に理解した上で彼らは作品に参加することを決めてくれたことである。
それだけに現場の熱量は半端無かった。一人一人の猛者たちが、他の演者とぶつかり合い、そしてコラボレーションしてゆくという素晴らしい化学反応が生まれた。
視聴者の皆さんが私のキャスティングの理由を知った上でリアルタイムにこのドラマを見て頂くと、8人の猛者たちの一挙一動が存分に楽しめることだろう。