BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の名門チームで、2018年もダブルタイトルを獲得しているウエスト・サリー・レーシング(WSR)は、2019年にG20型にモデルチェンジした新型『BMW 3シリーズ』にスイッチすると発表。7代目セダンもツーリングカー・シリーズデビューを飾ることとなった。
2014年、そして2018年にエースのコリン・ターキントンをドライバーズチャンピオンに押し上げたBMW125i Mスポーツに代わって、BMWワークスのWSRは新たに330i Mスポーツの投入を決断。両タイトル防衛に向け3台の新型マシン製作を急ピッチで進めている。
いわずとしれたスポーツサルーンの代名詞的存在である3シリーズは、そのイメージどおりツーリングカーシーンでも大活躍を演じたモデルであり、WTCC世界ツーリングカー選手権での3連覇を筆頭に、BTCCでは1988年から2009年の間にフランク・シトナー、ウィル・ホイ、ティム・ハーベイ、ジョー・ウィンケルホック、そしてターキントンらがチャンピオンを獲得している。
約10年ぶりに3シリーズへのスイッチを決めたWSRは、G20型330i Mスポーツのうち2台をTeam BMWのエントリー名で走らせ、王者ターキントンと新加入のトム・オリファントにステアリングを託すことになる。
そして残る1台は自身のプロジェクトであるBMW Pirtek Racingとして、WSRと長期契約を結ぶ2013年王者のアンドリュー・ジョーダンがドライブする。
この新型ツーリングカーのデビューは、開幕戦に先立ち3月のブランズハッチで開催される恒例のシリーズ公式テスト“メディアデー”になると予想されている。
「BMW 3シリーズを再びBTCCの舞台に呼び戻すことができて本当にうれしい」と語るのは、WSRチーム代表のディック・ベネット。
「我々は2007年から2012年の間に第5世代(E90型)の3シリーズで大成功を収めた。その最新世代がどんな能力を引き継いでいるか。再びサーキットで輝きを見せてくれるだろうことにワクワクしているよ」
ディフェンディングチャンピオンとしての戦いと同時に、新型マシンの開発という重責も担って2019年シーズンに挑むことになったターキントンも「プレシーズンに限って言えば、これ以上の成功は望めない」と、3シリーズへのスイッチを歓迎する意向を示した。
「僕は2009年にこの3シリーズで初のBTCCタイトルを勝ち獲ったんだ。そしてTeam BMWのために新しい3シリーズで、新しい章を始めることができるなんて夢が叶ったような気分だよ」と語るターキントン。
「エンジニアリング部門にとっては非常に忙しいオフになっているけど、チーム全体のモチベーションには確実にプラスだ。新型3シリーズのエクステリアは最高で、レースカーはさらにその上を行くだろうね。この役割を担えて本当に光栄だよ」
一方、2018年限りでWSRを去ることが決まっていたロブ・コラードは、2019年シーズンに向け新たにパワー・マックス・レーシング(PMR)と契約。ボクスワール・ワークスに加入し、ジェイソン・プラトとともにアストラBTCCのステアリングを握ることが決まった。
「勝ちたいという欲望はこれまで以上に高まっているんだ」と語る50歳のコラードは、2018年のスネッタートン戦でマルチクラッシュに巻き込まれて脳震盪を経験し、シリーズ後半戦の参戦休止を余儀なくされ、そのまま2010年以来在籍したチームから放出される格好となっていた。
「ジェイソン(・プラト)のような強力で経験豊富なチームメイトと組めるのもうれしいね。こうした新興チームの成功を手助けするのは光栄だ」と、BTCC通算15勝を挙げているコラード。
「前輪駆動のマシンをドライブするのは2007年にGRアジアのセアト・レオンをドライブして以来だけど、インディペンデントで初タイトルを獲得したのはFFのアストラクーペだった。ひさびさにその前輪駆動の感触を味わえるのもうれしいよ」
また2017年にスバル・レヴォーグGTで初の王者に輝いたアシュリー・サットンも、引き続きチームBMRに残留してスバル陣営の一員としてタイトル奪還を目指すことを発表。
そしてシリーズに電撃参戦を表明した元F1ドライバーのマーク・ブランデルは、トレード・プライス・カーズ・レーシングのアウディS3セダンBTCCのメインスポンサーに、HP(ヒューレット・パッカード)を迎えることをアナウンスしている。