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『ANTHEM』プレイレビュー アクションとストーリーの両立に成功したハクスラTPS

2019年03月01日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

 2月22日、PS4/Xbox One/PCの3プラットフォームから『ANTHEM』が発売された。カナダのデベロッパー・バイオウェアによって開発された『ANTHEM』は、異なる特性を持つ4種のパワードスーツに乗りこんで戦う協力プレイ型のアクションRPGだ。


 この記事では『ANTHEM』のゲームシステムやアクションの特徴、独自の世界観についてお伝えする。


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・スピードからパワーまで得手不得手のある4種のジャベリン
 『ANTHEM』を語るうえで、はじめに説明しなければならないのがプレイヤーが乗りこむ“ジャベリン”だ。ジャベリンとは要するに身体能力を強化するパワードスーツであり、『ANTHEM』にはそれぞれ個性豊かな4種のジャベリンが登場する。


 単体攻撃から範囲攻撃まで無難にこなせる万能型の“レンジャー”。魔法のように雷・炎・氷を操る”ストーム”。タフで強力な近接攻撃が長所の”コロッサス”。俊敏な動きで戦場を駆け巡る”インターセプター”。どれも強力で、それぞれに得意な立ち回り方が存在する。


 『ANTHEM』は最大で4人で協力して戦うCo-oP型のゲームなので、難易度が高いクエストではそれぞれのジャベリンの長所を生かした協力プレイが重要だ。例えば、ストームやインターセプターは体力が低いため、敵の攻撃が激しい場合は盾役のコロッサスが敵を引きつける役目を担うことになる。


・ハクスラの王道を征く強化要素
 本作は『Destiny』シリーズに近いシューター系のアクションRPGであり、クエストをクリアすることで手に入る経験値やアイテム・装備で自分のキャラをどんどん育てていく”ハクスラ(※)”ジャンルに属するゲームでもある。


※ハクスラ…ハック&スラッシュの略称。RPGの中でも装備やアイテム収集によって自分のキャラクターの強化に重点を置くジャンル。代表的な作品は『Diablo』シリーズ。


 クエストの難易度はイージー・ノーマル・ハードに加えて、一定のレベルに達すると”グランドマスター”と呼ばれる高難易度モードが追加される。本作では高難易度のクエストほど希少で強力なアイテムが手に入りやすいため徐々に難易度を上げながら装備集めができる点が中毒性に繋がっている。


 また、ジャベリンの外見もクラフトやストアでの購入で変更可能であり、こちらはゲーム内のステータスに影響を及ぼすものではないが、自分好みに機体をエディットできる。


・どっぷり浸かれる奥深いSFの世界観
 ハクスラというジャンルでは、ストーリーはお飾りであるケースも多いのだが『ANTHEM』はストーリーも世界観もハリウッドの大作SFに劣らぬほど作りこまれている。


 固有名詞が目もくらむほど登場するので詳しい解説は省くが、怪物が跋扈し天変地異が相次ぐ世界で人間たちは壁を作りその中で暮らしている。というストーリーはどこか『進撃の巨人』を連想させる。


 パワードスーツ”ジャベリン”の乗り手たちはかつては英雄として尊敬を集めたが、数年前に防衛に失敗してからは信頼を失い単なる賞金稼ぎのような存在に成り下がってしまった。そんな世界でしがないジャベリン乗りとして糊口を凌いでいた主人公は、ある任務をきっかけに再び戦火の中に身を投じることになる……。これが『ANTHEM』の大まかなあらすじだ。


・アクションと世界観の両立に成功
 今後もアップデートと追加ストーリーの配信が予定されている『ANTHEM』は、現時点でも良質なアクションRPGであり世界観の作りこみも申し分ないが、なまじクオリテイが高いだけあって作りの荒い部分が目立っている側面もある。


 特にストーリーの中盤でクリア必須の「団員の霊廟」というクエストは、使い勝手の悪いマップ片手にフィールドを長時間飛び回る”お使いゲー”で、お世辞にも楽しいとは思えなかった。


 とはいえ、ハクスラ要素を多いに盛りこんだ協力型のゲームプレイに中毒性があることは間違いなく、今後のアップデートでより洗練された作品になることに期待したい。


(脳間寺院)