トップへ

コンビニ24時間「契約と命、どっちが大事?」 オーナー労組がセブンに団交要求

2019年02月27日 20:41  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

コンビニオーナーでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」は2月27日、セブン-イレブン・ジャパンに対し、どういう状況なら24時間営業をやめられるのかを話し合うため、団体交渉を申し入れた。


【関連記事:ファミマ「24時間やめた」オーナーに聞く「時短営業にしてどうなった?」】



ユニオンはその後、24時間営業をやめて本部と対立しているセブンオーナー松本実敏さん(東大阪市)とともに、国会内で記者会見を開いた。



ユニオンの酒井孝典委員長は「(24時間という)チェーンイメージが大切なのか、人の命が大切なのか考えてもらいたい」と訴えた。



●「状況が変わっても契約に縛られるのか」

松本さんは組合員ではないが、ユニオンでは人手不足や人件費の高騰などから、同様の事例は今後増えていくとみている。



現状でも、24時間営業を守るため少なくないオーナーらが過労死ラインを超える働き方をしている。24時間営業をやめるのは、確かに契約違反かもしれないが、長時間労働を続ければ命を落とす危険性もある。



ユニオン側は「契約にどこまで縛られるか。状況が変わったとき、どこまでやらないといけないか」という点を話し合いたかったと申し入れの狙いを語る。



実際、セブンの契約では「特別の合意」があれば、24時間営業ではなくてもよい。しかし、具体的にどんな条件なら「特別」なのかは明示されていない。加えて、契約書には、社会情勢の変化などに対応するため、5年ごとの見直しもうたわれている。



だが、セブンはオーナーによる組合を認めておらず、申し入れに対する回答は出てこない。



コンビニ加盟店ユニオンが労働組合と認められるかどうかは現在、中央労働委員会で審議されており、近く結果が出る見通しだ。ただし、中労委でユニオン側が勝利したとしても、行政訴訟への移行が予想され、完全解決までは期間がかかる。



一方、セブンは個別の店舗ごとに話し合うスタンスを取っているが、本部と各店舗の力関係は対等ではない。松本さんの事例でも、本部に窮状を訴えてきたが、十分なサポートを受けられず、24時間営業をやめた経緯がある。



松本さんのもとには、時短を始めて以来、24時間営業に苦しむオーナーからたくさんの連絡が寄せられているという。



状況を打破するためにも、松本さんは「悩んでいるオーナーさん、一緒に声をあげてください」「命を守ってください。行動を起こしてください」と呼びかけた。



●10年、20年後も「社会的インフラ」を維持できる?

セブンは松本さんに対し、24時間営業をやめてはいけない理由の1つとして、「コンビニは社会的インフラだから」ということを指摘している。



実際、コンビニには、加盟店の意見に関係なく、災害拠点などたくさんの機能が集約されてきた。



松本さん自身も「セブンイレブンは、世の中にはなくてはならない存在」だと認める。だからこそ、持続可能な仕組みを整え、「本当の意味での社会的インフラにしてほしい」と主張する。



「売上さえ上がっていれば良いということではなく、10年、20年、100年後を考えてほしい」(松本さん)



コンビニは大手3社がしのぎを削っている。24時間営業が便利なのは間違いなく、営業時間やチャージ(上納金)などの仕組みを変えれば、他社に遅れをとってしまうリスクもあるだろう。



酒井委員長は、「(コンビニ各社)それぞれ競争があるから難しいかもしれない。だからこそ、フランチャイズに関する法律が必要」と法規制の必要性も訴えていた。



(弁護士ドットコムニュース)