大阪府にあるセブンイレブンのフランチャイズ店が短縮営業を行ったところ、本社から契約解除と1700万円の違約金支払いを言い渡された件を受け、コンビニオーナーらで作る「コンビニ加盟店ユニオン」は2月27日、セブンイレブン・ジャパン本社に団体交渉の申し入れを行った。
団体は、営業時間の短縮がどのような条件の下で可能になるのか3月6日までに回答するよう求めた。しかしセブンイレブン側からは、団体を労働者団体として認めていないため「回答は出せない」と言われたことを明かした。
応援要請断られ「契約解除になる」が報道後に一転「サポートする」と申し出
対立しているのは、大阪府のセブンイレブン東大阪南上小阪店の松本実敏さん(57)。松本さんは人手不足を理由に、2月1日から19時間営業に入った。しかし、同日17時に地区マネージャーが通知書を持って店を来訪。通知書には「このまま時短営業を続けると契約解除になる。今すぐ24時間営業に戻してください」と書かれていたという。
松本さんが話し合いを希望し、7日に大阪の地区事務所で話し合いが持たれた。契約解除ではなく、本部の「オーナーヘルプ制度」を利用しての応援要請を頼んだが、本部側は、松本さんが1日から7日まで時短営業をしていることを理由に「契約違反」を主張。「契約解除は譲れない」という立場を取った。
さらに本部の担当者は、ノートに書かれた「1700万円」という数字を指差し「この位の額の違約金が発生する」と発言してきたという。その場で合意解約すれば、違約金は支払わなくても良いとの発言もあったそうだ。
しかし騒動報道後の21日には、西日本エリアの統括マネージャーが「サポートする」と申し出てくるなど、本部の対応は二転三転している。松本さんは、同様の問題で苦しむ他のオーナーにはサポートがないことから、対応を保留にしたと明かしている。
「このまま交渉しても何の解決もしないと分かった」「本部は腐りきっている」
松本さんを始めとするセブンイレブンのフランチャイズ加盟店では、オーナー側に営業時間の裁量がない。契約書では、24時間未満の営業は本部の許諾を受け、文書による特別の合意をしない限り認められないとされている。
しかし「特別の合意」も、具体的にどのような状況時に成立するのか明らかにされていない。昨年2月の福井豪雪時には従業員が出勤できないことを理由に閉店要請をしたフランチャイズ店が、本部から要請を許可されず、オーナーが丸二日以上店に立ったことも報じられている。
会見でユニオンの酒井孝典委員長は、東京労働局が昨年発表した「95.5%の加盟店が何らかの労働違反をしている」という調査結果を受け、「構造自体に何か問題がないと95.5%という数字は出てこない」と指摘。今回の申し入れ書提出は、
「人の命を大切にするのか、チェーンイメージを大切にするのか。そこをセブンイレブン本社に問い正そう」
という目的で行ったと話した。
松本さんはユニオンの組合員ではないものの、団体交渉の申し入れに合わせ、短縮営業に関する要望書を提出した。店舗の都合で24時間営業の継続が難しい場合、営業時間の短縮をオーナー自身が選択できるよう求めたものだが、こちらも「回答はできない」と言われたと明かした。松本さんは、セブンイレブン側の対応を、「このまま交渉し続けても何の解決もしないなということが分かりました。それが分かっただけでも価値があります」と批判する。
時短営業をしたことで松本さんの元には、各地のオーナーから「私のところも限界。すぐにでも閉めたいが契約解除が怖くてできない」という声も届いているという。
「もしも本部から契約違反とか縛られるとか言われた場合は私のところに連絡してください。一緒に戦います。ギリギリのオーナーさんがいたら、今、命を守る行動をしてください。本部は何も聞きません。団体交渉も何も一切聞きません。そのくらい腐りきっています。(中略)私はセブンイレブンを愛しています。セブンイレブン始めコンビニは世の中に無くてはならない存在。それをなくさないためにも行動を起こしてほしい。そして上の人に訴えてほしいと思っています」
と呼びかけた。