WTCR世界ツーリングカー・カップに参戦する大ベテランでシリーズを代表する人気ドライバーでもあるトム・コロネルが、2019年もシリーズにフル参戦することが決定。長年のスポンサー体制を引き連れて心機一転、ベルギーのComtoyou Racingに移籍し、オーレリアン・パニスとともにセアト・クプラTCRをドライブすることが決まった。
現在46歳のコロネルは、WTCRの前身となるWTCC世界ツーリングカー選手権が創立された2005年からシリーズを戦う最古参ドライバーのひとりで、ロブ・ハフと並んでツーリングカー世界選手権皆勤賞のレギュラードライバーとなっている。
同シリーズがWTCRに生まれ変わった2018年は厳しいシーズンとなり、ベルギーに拠点を置くブーツェン・ジニヨン・レーシングでFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブしたものの、ベストリザルトはオランダ・アッセンとスロバキアリングでの7位となり、チームはその初年度限りでWTCRからの撤退を余儀なくされた。
一方、新加入先となるComtoyou Racingは2018年後半戦はつねに優勝戦線へ絡む活躍を演じ、今季から新たに設けられた“マニュファクチャラー1社につき最大4台まで”という参戦上限枠に対応する形でチームを分割。
Audi Sport Comtoyouとしてフレデリック・バービッシュ、ニールス・ラングフェルドがアウディRS3 LMSのステアリングを握り、前述のパニスとコロネルがクプラ・レーシングのバックアップを受ける最初のチームとして、シリーズにエントリーすることになる。
「チームとのコンタクトは昨年最終戦直後から始まったんだ」と語るのは、DHLやTW STEELなど長年のパートナーを引き連れてお馴染みのカラーリングを維持したまま移籍を決めたコロネル。
「マカオでのレースが終わった後、チームのエンジニアやマネージャーらと何度も会話を重ね、議論を続けてきた。そしてチーム代表のジャン-ミシェル・バートから来るべきシーズンに向け素晴らしい提案を受け、こうして契約に至ったんだ」
「元セアトWTCCチームのマネージャーである(現クプラ・レーシング代表の)ジェイミー・プイグもこの契約に際して重要な役割を果たしてくれたよ」
コロネルがセアトに“再会”するのは実に9シーズンぶりとなり、このスペインのマニュファクチャラーは現在、モータースポーツ活動において高性能部門のサブブランド“クプラ”の名称を使用しており、今回コロネルは初のクプラ・レーシング所属ドライバーとしてシリーズを戦う。
「契約にはいくつかのテストでのドライブも含まれていて、その最初の機会は2月27~28日のオランダ・ザンドフールトになる。今回はまだホワイトボディの暫定仕様のままになるけど、マシンは開幕までにあのおなじみのイエローに塗られる予定だ」
「2019年シーズンはカーナンバーに“50”を使用する。これは僕の長年のスポンサーであるDHLが創立50周年を迎えることにちなんでの決定で、彼らを祝福するとともに僕にとっても脚光を浴びるのに良いキッカケになるだろう。昨年からすべてのスポンサーが引き続き僕を支援してくれているのも、本当に光栄なことだ」
コロネルは2005年にセアトでWTCCデビューを飾り、その後もGRアジアのセアト・トレド・クプラなどをドライブ。2008年にはWTCC初開催となった日本ラウンドの岡山国際サーキットでチーム初の総合優勝を記録し、このサンレッド・エンジニアリングでは第2世代のセアト・レオンTFSIのステアリングを握った。
そして2010年まで所属したセアト陣営を離れてROAL Motorsportに移籍しBMW 320TCで初の後輪駆動マシンを経験し、7年間にわたってこのイタリアン・チームと世界選手権を戦ってきた。
「トム・コロネルが再びクプラを選択してくれたことをうれしく思う。我々とともに戦い、再び良いリザルトを勝ち獲ることができると思うよ」と語るのは、クプラ・レーシング代表のプイグ。
「私はトムが2001年にツーリングカーへの挑戦を始めた頃からの旧知の仲だ。その後、彼はセアト・ブランドで選手権を戦い、2008年には岡山で彼自身の初優勝を記録した」
「そのとき彼は特別なタイヤチョイスをして、フロントにスリック、リヤにレインを履いてミックスコンディションのレースを制したんだ。そのことは今も忘れられないよ! そして2019年もその再現を果たしてくれると思っている」