2月26日、バルセロナ合同テストは2週目を迎え、初日はピエール・ガスリーがRB15のステアリングを握ることになった。
テスト1週目に収集したデータ分析結果を受け、レッドブルは短いランで寄り多くの項目をテスト評価することにした。そのため前回とは違い朝の早い時間帯から精力的に走り込みを開始し、マシンには気流センサーなどの計測機器も搭載せず、C3タイヤで純粋なマシン挙動の変化を確認していった。
5周のランを行ってはピットに戻ってテスト項目の調整作業を施し再びコースへという繰り返しで、午前中だけで61周。いくつかのチームが午前最後の12時台後半に予選シミュレーションでタイムアタックを行う中、レッドブルはC3タイヤで淡々とロングランを続けていた。
午後はまず14周のロングランを行い、その後にソフトタイヤで5周のパフォーマンスラン。燃料搭載量やパワーユニットのモードは完全なフルアタック設定ではなかったようだが、C3タイヤで1分17秒715というこの日2番手のタイムを記録してみせた。レッドブルにとっては実質的に今年初めてのアタックラップだった。
その感触をガスリーはこう振り返った。
「今日は先週よりもさらに少しプッシュしたけど、まだ全開でアタックしたわけではないしパフォーマンスはまだまだ残されているよ。それよりもクルマがどのように反応するのかを理解するためのプログラムに重点を置いていたからね。周回数を稼ぐことを最優先に考えてそれが果たせたし、今のところはとても良いよ」
その後は再びC3タイヤでのロングランによるテストアイテム評価を続け、最終的に周回数は136にまで伸びた。
RB15は従来型の延長線上にある正常進化型とはいえ、パワーユニットをホンダにスイッチし、その制御システムも異なれば、そのコンパクトさゆえに実現できた空力的追究の度合いも凄まじい。
そのため、RB15の性能をフルに引き出すためには従来以上に慎重で確実な準備作業が求められるとレッドブルは考えている。
「レッドブルにとってもホンダと組んで初めてのマシンだし、このパッケージからポテンシャルを引き出すためには多大な作業量が必要になると考えているんだ。だから時間も掛かるし、目的意識を持ってしっかりと取り組む必要がある。ポテンシャルはあるんだから、地に足を付けてそれを引き出す作業に専念し続けなければならない」
■ホンダはレース週末を想定したシミュレーションを実施
パワーユニットは依然としてこの日もノートラブルでテストを完了した。
ホンダはテスト1週目に使用したパワーユニットをそのままバルセロナに留めおき、インターバルの間にチェック作業を行った。田辺豊治テクニカルディレクターは「当初の計画に沿って使用しています」とだけ述べ詳細を明らかにしないものの、必要な対処は施しながら2週目にも引き続き使用することでさらにマイレージを稼いで実走で耐久性を確認しようという腹づもりのようだ。
トロロッソ側で4日間使用したパワーユニットは482周(2243.71km)を走破しており、これは3レース週末分にあたる。今週4日間も走り切れば、合計で6レース週末分を走ることも可能で、それだけ走れれば年間3基で走るための耐久性が確認できたと言えることになる。
加えて、テスト2週目ではチームとして予選・レースシミュレーションを行うこともあって、ホンダとしても木曜から日曜までのレース週末全体を想定した運営のシミュレーションを行うという。つまりパワーユニットのハードウェアそのもののテストだけでなく、パワーユニット供給者としてのレース全体のテストでもあるというわけだ。
「もちろんレッドブルとは事前に詳細を付き合わせて話し合ってきましたが、実戦の現場で『え、そんなことがあるの?』とドタバタするようなことがないようにここでしっかりと一度シミュレーションをします」(田辺テクニカルディレクター)
つまり、このテスト2週目はRB15のポテンシャルを最大限に引き出す作業だけでなく、レッドブル・ホンダというチームとしてのテストでもあるのだ。
「とにかく今のところ予定していたプログラムは全てこなせているし、テスト内容はポジティブだよ」
依然としてあまり多くを語りはしないが、ガスリーの表情は明るく自信に満ちている。
残り3日間でレッドブル・ホンダに期待すべきは、どのような走りを見せるのかというだけでなく、レース週末を想定してどんな戦いぶりを見せるのかというチームとしての総合力への期待でもあるのだ。