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男女ボーカルユニット・まるりとりゅうが、なぜインスタライブで人気に?

2019年02月27日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

 インスタライブ発の男女ボーカルユニット・まるりとりゅうがが、2月20日に1stミニアルバム『はじめまして。』を発売した。


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 YouTubeやニコニコ動画などの動画サイトの配信がきっかけでメジャーデビューするアーティストが珍しくなくなった昨今、なぜ彼らはインスタライブという場で注目されるようになったのだろうか。


 現在国内のアクティブユーザー数は2,900万人ほどで、世界では月間アクティブユーザーが10億人を突破した、画像共有サービスのトップランナー・Instagram(以下インスタ)。そのインスタ上で、フォロワーにリアルタイムで動画配信できる機能がインスタライブだ。最高で1時間のライブ配信が可能で、スマートフォン一つで簡単にできるのが特徴。ライブ配信を開始するとフォロワー全員に通知が届き、ユーザーは配信中にコメントやハートを送ったりすることできる。配信者と実際に会話しているような距離感でコミュニケーションがとれるのだ。


 改めてインスタの特色を考えると、Twitterはリアルタイムで思ったことをつぶやき、他者と共通の話題で交流しあう掲示板的な要素が強いのに比べ、インスタは”インスタ映え”という言葉があるように、自分のセンスを表現する場でありブログ的な要素があるように思う。Twitterは自分が発した言葉に対して他者が意見を言う場であるのに対し、インスタは自分が投稿した写真に感想を残していく……といったニュアンスの違いがある。また、インスタのユーザーで最も多いのは20代女性(参照:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/)。写真や動画をメインにしているインスタは、テキストではなくビジュアルコミュニケーションを好む人に支持されている。


 さて、そんなインスタを活用したのが、まるりとりゅうがだ。MaRuRiは、モデル並みの愛くるしいルックスと抜群の歌唱力で、ユニット結成前からすでに歌唱動画などで人気になっていた。昨年『Theカラオケ★バトル』(テレビ東京)に出演した際には「SNSで7万人を魅了!イマドキ渋谷系歌姫が登場!」と紹介され、現在Twitterやインスタはそれぞれ9万人のフォロワー数を誇るSNSの歌姫なのだ。


 一方Ryugaは、高校時代ニューヨーク留学中にSNSで自作の楽曲を投稿していたことをきっかけに国内外より多大な反響を得る。帰国後は様々なステージに出演し、活動の場を広げる現役慶應大学生だ。


 そんな2人が本格的にユニットを組んだきっかけは、Twitterに流れてきたRyugaオリジナルソング「好きなのに」を聴いたMaRuRiが「カバーしたい」とリプライしたことから(参照:https://maruritoryuga.amebaownd.com/posts/3957466?categoryIds=1153515)。その後2人がインスタライブを始めると、互いのファンが集まり閲覧数が増えていったという。本来であればソロ活動する予定だった2人であるが、ユニットとして人気が爆発したことで正式にまるりとりゅうがを結成。最初は同時視聴者数を100人と目標していたのが、今や3,000人以上にも達し、デビューまでの約1年間で彼らがSNS上にあげてきた歌唱動画の総再生回数は1,500万回を超える。インスタ映えする美しいビジュアルや歌唱だけでなく、年齢が主なユーザー層と近いことも相まって、彼らの言動や楽曲は多くの若者から共感されるようになった。昨年11月20日に『気まぐれな時雨』でメジャーデビューを果たすと、リリース直後のLINE MUSICリアルタイムランキングで1位を獲得。瞬く間に人気アーティストに上り詰めた。


 まるりとりゅうがのYouTubeには「なんかデビューが親戚のように嬉しい」というコメントをしているファンも。まさにこれこそ、インスタライブで人気を獲得した彼らの特色ではないだろうか。インスタライブで配信していたことで、ファンはユニット結成の経緯からデビューまでの過程をリアルタイムで見守ることができた。彼らをずっと見てきたことで、愛着が増してファンになったという人も多いのではないだろうか。


 また、インスタライブはユーザーとファンの距離が近いほか、基本的にライブ終了後には削除されるという特色がある(放送主が動画をシェアした場合でも24時間以内に削除されてしまう)。その時間でないと味わえない一体感と希少価値は路上ライブのようでもあるのだ。


 彼らのリアルな様子を知ることができ、なおかつ路上ライブのようでもあるインスタライブ。2人の美しい歌声と絶妙なハーモニーを多くの人に届ける手段として、インスタライブを活用し、誰よりも先に”インスタライブ=まるりとりゅうが”というイメージをつけたのは見事な戦略だったのではないだろうか。(本 手)