フォルクスワーゲンは2019年夏に計画しているドイツ、ニュルブルクリンク北コースでのタイムアタックに向けて、『フォルクスワーゲンI.D. Rパイクスピーク』の実走テストを開始したと発表した。
2018年6月にアメリカで行われたパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにフル電動レーシングカーのI.D. Rパイクスピークを投じ、これまでWRC世界ラリー選手権9連覇王者のセバスチャン・ローブ(プジョー208T16パイクスピーク)が持っていたレコードタイムを約16秒上回る7分57秒148を記録して、EV初の総合優勝を達成したフォルクスワーゲン。
同社は今年1月、そのI.D. Rパイクスピークを用いて、現在『NIO・EF9』が持つニュルブルクリンク北コース“ノルドシュライフェ”のEV最速記録6分45秒90に挑戦すると発表した。その後、今月にはタイムアタックにブリヂストンタイヤを使用するとアナウンスしている。
そんなフォルクスワーゲンは21日、スペイン南部のアルメリア・サーキットでタイムアタックに向けた最初のテストを4日間の日程で行ったとを発表。ドライバーはポルシェワークスドライバーで、I.D. Rとともにパイクスピーク、グッドウッドに続く3つ目の新レコード樹立を目指すロマン・デュマが担当したという。
「ドイツ、オッシャースレーベンでのシェイクダウン後、スペインでの最初のテストも計画どおりに進められた」と語るのはフォルクスワーゲン・モータースポーツのスヴェン・スミーツ。
「パイクスピークで新記録を樹立した後にI.D. Rが本当のレーストラックを走る姿をみることでき、とてもわくわくしているんだ」
「ニュルブルクリンクでの電気自動車最速を目指すための開発は、チーム全体にとって大きな挑戦になる。今回我々は伝説のノルドシュライフェで、もう一度電気自動車の強さを披露したいと考えている」
新たにブリヂストンタイヤが装着されたI.D. Rの初テストでは、メカニカルブレーキと回生ブレーキによるバッテリーの回復のバランスをコントロールするソフトウェアの最適化に焦点が当てられたという。
この点についてマシンをドライブしたデュマは次のように述べた。
「ニュルブルクリンクのノルドシュライフェのような“安全な”トラックでは、(崖下への転落の可能性もある)パイクスピーク・ヒルクライムよりもはるかにクルマの限界に近づくことができる」
「ソフトウェアの最適化が完了すれば僕はさらに強く、アグレッシブにブレーキを踏むことができるはずだ」
また、新しいパートナーであるブリヂストンについては「彼らとの連携は初めから順調に進んでいるよ」とスミーツ。
「(今回のテストでは)ノルドシュライフェでの新記録達成のための最適なタイヤを選ぶため、さまざまな種類のポテンザ(タイヤ)を試している」
フロントタイヤハウス上部のルーバーやリヤウイング外側のカナードを取り払うなど、マシンのエアロダイナミクスにも手を加えているフォルクスワーゲンは今テストの2週間後、ふたたびアルメリアでテストを実施する予定だ。