トップへ

香取慎吾、国内初個展そのものがNAKAMAとの芸術作品に アート活動追ったSP番組を見て

2019年02月25日 08:11  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 香取慎吾が、3月15日より『サントリー オールフリー presents BOUM ! BOUM ! BOUM !  香取慎吾NIPPON初個展』を開催する。会場は、360度回転する日本唯一の回転劇場・IHIステージアラウンド東京だ。カルティエやBMWなど有名ブランドとのコラボレーション、香港やフランス・ルーブルで作品を発表するなど、次々と活躍の場を広げてきた香取。きっと私たちをまた驚かせてくれるに違いない、と期待が高まる。


(関連:香取慎吾と共に今年も“BOUM!BOUM!”する1年に 『NIPPON初個展』開催に寄せて


 いよいよ来月に開催が迫る中、2月24日に香取のアート活動を追ったスペシャル番組『密着!4000時間 アーティスト香取慎吾2年間の軌跡』(TBS系)が放送された。「子どものころから、絵を描いて“上手だね“って言われたら、すごく嬉しいのはいまだにかわらないかな。褒めてほしい。いいねって」。冒頭から紡ぎ出される、香取の飾らない言葉に心が解きほぐされる。目覚ましい成長を遂げる“アーティスト・香取慎吾”も、昔から親しまれてきた“みんなの慎吾ちゃん”も、マーブル模様のように美しく調和している。


 ゼロになる、そう思っていた新たなスタートから、たった1年で彼はルーブルに立っていた。多くのNAKAMAと共に。香取の人生は、きっと誰も経験したことのないスピードで動いてきたはずだ。SMAPが結成された当時、香取の年齢は11歳だった。小学生でありながら、プロとしてステージで仕事をする日々。急激に大人になることを求められた香取少年にとって、仕事の合間に絵を描くことは、自分を自由に解放する時間だったのかもしれない。


「2017年から自分の新しい人生を、さぁもう1回新しい道を歩き始めてみようかなって、そのときに自分は何をやりたいんだろうって。アートは好きだったんで、やりたいなと思ってたんだけど、自分の想いだけじゃできない。僕のことを想ってくれてる人の繋がりが、重なって重なって開催まできて、来てくれる人がやっぱりいないとできないこと。すべてが繋がりかな。感謝ですね。幸せ者です」


 2月23日に発売された雑誌『GINGER』4月号のインタビューでは、自分の夢を形にするために必要なこととして「好きなもの、好きな人への愛を叫び続けることかな」と答えた香取。「個展や舞台、映画など、一緒に作品を作ってくれる才能あるクリエイターの皆さんへの尊敬と愛は、常に口にするようにしています」。その愛の発信から、次の縁に繋がっていくことで、夢の実現に結びついているのだ、と。


 さらに「人って褒めてもらったり、好意を見せられると相手を好きになっちゃうでしょ? なんか人生って、その積み重ねのような気がします」とも。このマインドは、香取がアイドルとして多くのファンと触れ合ってきた結果、刻まれたものに違いない。仕事の合間に描いていた絵を、ファンや多くのスタッフたちが「いいね」と褒め、愛を伝えてきたのだ。その愛の連鎖が、今の香取の作品には息づいている。


 アクリル絵の具をチューブからキャンバスに絞り出したり、手や腕で塗りたくったり、ダンボールに描いたり、切ったり、貼ったり……香取の創作風景を見ていると、躊躇することがない。そして「完成!」と口角を上げて目を輝かせると、すぐにまた「どんどんアートするよ!」と、次の作品へと取り掛かる。まるで、遊び疲れることを知らない子どものようだ。


 また番組では、香取の親友として長年となりにいた草なぎ剛の姿も。楽屋に持ってきた香取の作品を見て、開口一番「すごいね! おー! やったね!」という草なぎ。きっと一番そばにいた草なぎが、これまでもずっとこうして香取の絵を褒めてきたのだろう。「タイトルは『Lie.ARIGATO』です」と説明する香取に、草なぎは「ライ? ありがとう? どういうことですか? ライって?」と率直に聞く。子どものように夢中で描いた絵を、少年のようにまっすぐな心で見つめる草なぎ。タイトルを聞いて「この白いやつが嘘?」と草なぎが聞けば「この白いのはいつも絵描いてるときに着てる、あのコート」と香取が率直に答える。そのやりとりに、アートとは自由に楽しんでいいものなんだ、と嬉しくなる。いろいろと考察するのも、肩の力を抜いてシンプルに感じ取るのも、どちらも間違っていない。


 「(個展の準備を)やっていくうちに、コンサートのライブを作ってるのとすごく近い。今までやってきたことと変わらない。パリの大きなホールも、5万人のドームと比べたら気が楽になって(笑)」。その感覚は、もしかしたら開催する側の香取のみならず、個展に足を運ぶ側にとっても言えることかもしれない。個展とは、コンサートのライブと同じく、お互いが楽しく愛情を交わし、幸せになる時間と空間なのだ。


 尊敬と愛を発信して、縁が繋がって、もっとお互いが好きになって……その集大成が、今回の国内初個展なのだとしたら、この個展そのものが香取とNAKAMAの芸術作品だ。(文=佐藤結衣)