2019年02月25日 07:41 リアルサウンド
パズルゲームの古典的名作『テトリス』の新作が、まさかのバトルロイヤルとしてリリースされた。99人のプレイヤーが最後の1人になるまでテトリスで戦う『テトリス99』は、Nintendo Switch Onlineの加入者特典として、2月14日のNintendo Directの公開後より無料で配信開始された。
この記事ではクラシックさと斬新さを両立させた傑作『テトリス99』の源泉を探る。
(参考:『マリオメーカー 2』にSwitch版『ゼルダの伝説 夢を見る島』 2月14日配信のNintendo Direct新公開情報まとめ)
基本はスタンダードなテトリスだが、対戦相手は98人!
『テトリス』×バトロワと聞くと話題性だけのイロモノゲームのように思えるかもしれないが、安心してほしい。本作の根幹となる部分は従来の『テトリス』と同じであり、オリジナルの『テトリス』から大きな変更点はない。
しかし、本作の最大の白眉はタイトルの通り”99人同時対戦”を実現した点にある。攻撃方法はテトリミノを消した際に対戦相手に送れるお邪魔ブロックのみ。プレイヤーは最後の1人になるまで、お互いにお邪魔ブロックを送り合いしのぎを削ることになる。
誰を攻撃するかが勝負を決める
『テトリス99』が従来の『テトリス』と大きく違うのは、ただテトリミノを消していくだけではなく「誰を狙うか」を考えなければならない点にある。
通常『テトリス』の対戦は1vs1で行われるが、本作では99人のプレイヤーが同時に戦場に放りこまれる。となると、当然ながら発生させたお邪魔ブロックを誰に送るかを選択する必要が出てくるわけだ。そして、本作では誰を攻撃するかで試合の展開が大きく変わってくる。
攻撃対象はパズルを解きながらでも簡単に選べるよう、“ランダム”、“バッジねらい”、“とどめうち”、“カウンター”の4種類のコマンドから選択可能になっている。バッジねらいはプレイヤーを多くKOしたプレイヤーを狙うコマンドで、逆にとどめねらいはゲームオーバー寸前のプレイヤーを狙えるコマンドだ。
バッジねらいで上手いプレイヤーを先に潰しておくか、あるいはとどめうちでプレイヤーの数を減らしにいくか、それともカウンターで自分を攻撃してきている相手に抵抗するのか、誰を攻撃すれば自分の生存確率を上げられるか、プレイヤーはゲーム中常に選択を迫られることになる。
下手にKO(お邪魔を送って相手をゲームオーバーにすること)しすぎてしまうと、バッジねらいにしているプレイヤーから攻撃を受けてしまうので、序盤から中盤にかけては目立ちすぎないよう、あえてKOしないよう立ち回ったりするヘイトコントロールも重要かもしれない。
バトロワ特有のテンポの悪さがない
索敵やアイテム収集に割く時間の多い一般的なバトロワは、プレイ時間に対して純粋に戦っている時間が少なく、ともすればゲームとしてのテンポが悪くなりがちだ。
しかし、『テトリス99』はパズルゲームである特性も相まって、非常にテンポのいいバトロワに仕上がっている。
本作ではゲームが開始した時点で、プレイヤーは自分以外の98人の誰を攻撃してもいい。これは広いマップに放り出されて、場合によってはゲーム開始後数分経たないと敵に遭遇しないシューター系のバトロワとは一線を画するスピード感だ。
さらにマッチングも快適で、何分も待たないとマッチしないといった状況にはまず陥らない。だからこそ、一度負けても何度でも遊びたくなる。
欠点があるとすれば、テトリス猛者が強すぎてベスト10からは素人では一切歯が立たないレベルの戦いが繰り広げられることぐらいだろうか。『フォートナイト』は建築要素があるため実力の出やすいバトロワだとしばしば評されるが、『テトリス99』は『フォートナイト』以上にごまかしの効かない実力勝負だ。
2019年は非FPS・TPSのバトロワに期待
”バトロワ=シューター”というイメージが定着しつつあった中で突如発表された『テトリス99』は、バトロワの当たり前を逆手にとった傑作だった。
99人が同時に戦うというお祭り感の強く出るジャンル・バトロワは、FPSやTPS以外でも十分に面白いことが今回の『テトリス99』で証明された。
昨年は雨後の筍のように量産されたバトロワだが、今後は本作のように様々なタイトルとバトロワの融合が期待できるかもしれない。
(脳間寺院)