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「本当に就活で勝ちたいなら」 SHOWROOM前田裕二著『メモの魔力』が教える「5つのスキル」と「人生の軸を見つける自己分析」

2019年02月25日 07:10  キャリコネニュース

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メモには、人生を変えるほどの大きな力がある――。SHOWROOM代表・前田裕二氏は著書『メモの魔力』(幻冬舎)の中でこう説きます。2018年12月に刊行され、発売後2か月足らずで22万部発行というベストセラーに。幻冬舎の敏腕編集者として有名な箕輪厚介氏が手掛けたことでも知られる本書は、情報に敏感な人ならば無視できない一冊でしょう。

前田氏いわく、これはハウツー本ではなく、「知的生産を目的とした本質的な方法を説くもの」とのこと。8歳で両親を亡くし、小学生にして路上ライブで稼いでいたという前田氏が、人生を好転させたのもまさに「メモ」の力。読めば自身の可能性や学びの広がりを感じさせてくれます。(文:篠原みつき)

知的生産性が増す、「ファクト・抽象化・転用」で人生を変える


前田氏は、いついかなる時もメモを取りまくる「メモ魔」を自任していますが、やみくもにメモを取るわけでなく、今後に役立てるアイディアや生き方を、常にメモによって生み出しています。そんな前田氏が、本書で説く「メモによって鍛えられる5つのスキル」がこちら。

1)アイディアを生み出せるようになる。(知的生産性の向上)
2)情報を「素通り」しなくなる。(情報獲得の伝導率向上)
3)相手の「より深い話」を聞き出せる。(傾聴能力の向上)
4)話の骨組みがわかるようになる。(構造化能力の向上)
5)曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる。(言語化能力の向上)

つまり、メモを習慣化することで情報をキャッチし、蓄積し、アイディアを生み出す力や、コミュニケーション能力が向上するということのようです。しゃべるのが苦手な筆者も実際にやってみたところ、新しい気づきや人に話したいことを整理して伝えるのに役立ちました。

その具体的な手法や意味は本書に当たっていただきたいですが、簡単に紹介するとノートの見開きに「ファクト(事実)、抽象化(本質)、転用(今後にどう役立たせるか)」を書き出すこと。その他キーワード化するという作業も入りますが、大切な大枠はこの3つです。

巻末にある「自己分析のための1000の質問」に答えていく際にも、この3つを意識して考えます。例えば「将来の夢は?」「理想の職業は?」といったことを幼少期から遡り、小中高、大学、社会人20代、現在までを細分化して答えていきます。大学時代は「空気を読むタイプだったか?読まないタイプだったか?」「運は強いほうだったか?」なんて質問も。

これは前田氏自身が自己分析を深めるために続けた30冊にも及ぶ「自己分析ノート」が元になっているとか。同時に、そこに書き留めた起業のアイディア、ビジネスモデルは100を超えるといいます。ただ、読者は最初から1000問すべて答えようと気負う必要はなく、まずは100問じっくり取り組んでみましょうとのことでした。

前田氏の面接エピソードで分かる、就活生のための「メモ」の活かし方

本書が説くメモによるメリットは色々ありますが、著者が一番推しているのが「生き方を変えていく」という効果です。今の仕事に満足できず転職を考えている人や、就活生にも役立つとしています。

興味深いのが前田氏の就活エピソード。彼が当時志望していた外資系の投資銀行は、エントリーシート段階から志望者母数を見ると1万人受けて2~3人受かるという倍率でした。「この中で『偶然』上位数パーセントに入ることはできない」と考え、偶然を必然に変えるために、「自分を徹底的に深堀りすること」を決意します。

その結果、例えば面接で「好きな色は何か」と聞かれたときに、「色については結構考えていて、実は3色あります。青と紺と黒です。どれか選んでいただければ、なぜその色が好きか、お話します」などと即答。結果はここに書いていませんが、超難関の外資系証券会社に希望通り入社を果たします。

もし就活生の方がこの本を読まれているなら、人より多くの量をこなすこと自体が他者を圧倒するようなエピソードになるし、「すごく細かいところまで自己分析しているんだな」と面接官にも感じてもらえる。(中略)本当に就活で勝ちたいと思う方は、巻末の1000の質問にすべて答えるくらいの熱量で挑戦してみるとよいと思います。

そう薦める言葉には、前田氏ならではの説得力があります。自分を徹底的に分析していくと、「人生の軸」が明確になり、自然と自信が持てるようになるのだとか。もちろん至らぬところに気づくことも多いが、それも成長だとしています。

就活といえば一般的に「業界研究」や「自己分析」から始めますが、「やりたいことが分からない」と悩んでしまう人も少なくないでしょう。就活が本格化する今、本書が薦める自己分析を元に「自分の軸」を探り当てる挑戦をしてみてはいかがでしょうか。